あらすじ

第四十三話は、拓跋弘タクバツ・コウが西山への旅を通して拓跋昀 タクハツ・ユンの陰謀を挫き、同時に容止ロン・ジーを試すという内容でした。しかし、拓跋弘タクバツ・コウ容止ロン・ジーの対応に失望しました。容止ロン・ジー劉楚玉リュウ・チュユウと政の複雑さについて語り合い、劉楚玉リュウ・チュユウの純粋な心に触れ、その大切さを改めて感じました。

一方、馮家の長男が私兵を率いて宮中に乗り込んだため、太后は窮地に陥ります。馮家を保全するためには、私兵を引き渡すしかありませんでした。息子の謀反が失敗に終わったことを知ったセイ太妃は、絶望のあまり自害を選び、拓跋弘タクバツ・コウ拓跋昀 タクハツ・ユンの赦免を乞います。母妃の死によって、拓跋昀 タクハツ・ユンは心を病んでしまいます。楽蘊ラクウン拓跋昀 タクハツ・ユンを哀れみ、生涯に渡って彼を世話する事を申し出ます。

劉楚玉リュウ・チュユウは太后に謁見し、潜在的な脅威に警戒するよう忠告を受けます。その後、太后がセイ太妃付きの宮人全員を処刑したことを知ります。最後に、天如鏡テン・ニョキョウ劉楚玉リュウ・チュユウ容止ロン・ジーの行方について知らせます。

ネタバレ

拓跋弘タクバツ・コウは臣下からの報告を受け、容止ロン・ジーが激怒して劉楚玉リュウ・チュユウと共に去ったことを知ります。臣下を下がらせると、霍璇カクセンが現れ、拓跋弘タクバツ・コウは今日初めての笑みを浮かべます。西山への狩りは拓跋昀 タクハツ・ユンの陰謀を挫くため、そして容止ロン・ジーを試すためでしたが、その結果に失望したと漏らします。霍璇カクセンは、国を思う拓跋弘タクバツ・コウと親を守る容止ロン・ジー、どちらも間違っていないと諭します。

美しい景色の中、湖畔に佇む容止ロン・ジー。心配して駆け寄った劉楚玉リュウ・チュユウに、容止ロン・ジーは自らの行動を正当化します。西山の件は拓跋昀 タクハツ・ユンへの牽製だけでなく、自身への試練でもあったのです。もし護衛に行かなければ、拓跋弘タクバツ・コウの矛先は自分に向けられたでしょう。朝廷の複雑な事情に劉楚玉リュウ・チュユウを巻き込みたくないと語る容止ロン・ジー。しかし劉楚玉リュウ・チュユウは、どんな危険があっても容止ロン・ジーを守ると、愛を告白します。その純粋さに心を打たれた容止ロン・ジーは、劉楚玉リュウ・チュユウを抱き寄せます。

平城宮では、太后が兄を呼び出し、私兵を率いて宮中に乗り込んだことを叱責します。彭戈ほうこは皇宮を掌握した後も、馬中良バ・チュウリョウが太后を自害に追い込もうとするのを止めませんでした。それは、各勢力の動向を探るためでした。馮家の私兵が露見した今、一族を守るには私兵を引き渡すしかありません。太后は不満を抱え、セイ太妃のもとへ行き、拓跋昀 タクハツ・ユンの失敗を告げます。セイ太妃の苦悩を見ることで、わずかな慰めを得ようとしたのです。

息子の失敗を知ったセイ太妃は、死を覚悟します。拓跋昀 タクハツ・ユンは謀仮の計画を母に知らせませんでした。それは、母に累が及ぶのを恐れたからです。息子の優しさを知るセイ太妃ですが、今後のことを案じます。

拓跋弘タクバツ・コウが宮殿に戻ると、セイ太妃は許しを請うため彼のもとを訪れます。土下座して、拓跋昀 タクハツ・ユン馬中良バ・チュウリョウに唆されただけで、以前は拓跋弘タクバツ・コウに忠実だったと訴えます。拓跋弘タクバツ・コウは心を痛めますが、多くの臣下の前で、馬中良バ・チュウリョウ拓跋昀 タクハツ・ユンが首謀者だと主張し、拓跋弘タクバツ・コウは庇いきれません。万策尽きたセイ太妃は、ある決断を下します。

摂政王府では、臣下たちが容止ロン・ジー拓跋昀 タクハツ・ユンの処分を求める上奏文を出すよう進言します。臣下が去った後、容止ロン・ジーセイ太妃の自害を知ります。母の死を目の当たりにした拓跋昀 タクハツ・ユンは、悲しみに暮れます。容止ロン・ジーが宮殿に著くと、正気を失った拓跋昀 タクハツ・ユンが走り出てきます。一方、紅袖コウシュウ拓跋弘タクバツ・コウの傷の手当てをしますが、勝利を収めた拓跋弘タクバツ・コウの心は晴れません。

楽蘊ラクウン容止ロン・ジーに会おうとしますが、沈遇シン・グウに阻まれます。劉楚玉リュウ・チュユウへの密告は罠でしたが、本心では容止ロン・ジーを助けようとしていたと釈明します。劉楚玉リュウ・チュユウのとりなしで、楽蘊ラクウン拓跋昀 タクハツ・ユンの助命を嘆願し、生涯をかけて彼を支えると誓います。容止ロン・ジー劉楚玉リュウ・チュユウは彼女と共に康王府を訪ねますが、拓跋昀 タクハツ・ユンは既に発狂していました。楽蘊ラクウン容止ロン・ジー拓跋昀 タクハツ・ユンの命乞いをします。容止ロン・ジー楽蘊ラクウンを利用するつもりでしたが、結果的に彼女を傷つけてしまいました。しかし、楽蘊ラクウンはそれを受け入れているように見えます。

康王府を後にした容止ロン・ジーは、重苦しい気持ちを抱えています。セイ太妃は自らの命と引き換えに拓跋昀 タクハツ・ユンの罪を償おうとしました。しかし、拓跋昀 タクハツ・ユンは発狂してしまいました。劉楚玉リュウ・チュユウは永遠に容止ロン・ジーを守ると誓い、容止ロン・ジーは顔を赤らめます。

劉楚玉リュウ・チュユウは太后に謁見します。太后は劉楚玉リュウ・チュユウ容止ロン・ジーを救ったと勘違いしますが、霍璇カクセンが救ったと知り、劉楚玉リュウ・チュユウに警戒を促します。セイ太妃の侍女たちが処刑されたことを聞き、劉楚玉リュウ・チュユウは衝撃を受けます。屋敷に戻り、太后の言葉を仮芻すると、誰かが容止ロン・ジーを奪おうとしているように感じます。蘭若ランジャクは何かを言おうとしますが、口をつぐみます。容止ロン・ジーが不在の中、天如鏡テン・ニョキョウが現れ、劉楚玉リュウ・チュユウ容止ロン・ジーの居場所を伝えます。

第43話の感想

第43話は、様々な登場人物の苦悩と悲しみが交錯する、重苦しいエピソードでした。陰謀と策略が渦巻く宮廷の中で、それぞれの愛と忠誠が試され、その結果として悲劇が生まれていく様子が胸を締め付けます。

特に印象的なのは、セイ太妃の母としての愛です。息子の拓跋昀 タクハツ・ユンを守るため、自らの命を犠牲にする彼女の決断は、あまりにも悲しいものでした。拓跋昀 タクハツ・ユン馬中良バ・チュウリョウに唆されて謀仮に加担したとはいえ、根は優しい青年であったことが、セイ太妃の言葉から伺えます。だからこそ、彼の最期はより一層残酷に感じられます。発狂してしまった拓跋昀 タクハツ・ユンの姿は、権力闘争の残酷さを象徴しているかのようでした。

また、容止ロン・ジーの苦悩も深く描かれていました。拓跋弘タクバツ・コウの信頼を得るため、そして劉楚玉リュウ・チュユウを守るため、彼は常に難しい選択を迫られます。西山での一件は、彼にとって大きな試練となりました。劉楚玉リュウ・チュユウの純粋な愛に触れ、心を揺さぶられる容止ロン・ジーの姿は、彼の抱える重圧を物語っています。

つづく