あらすじ
第四十九話は、霍璇が朝廷における不公平と排斥に耐えかね、官職を辞し、霍家軍の指揮権を他者に委ねる決意をする場面から始まります。しかし、宮中に召し出された彼女を待っていたのは、拓跋弘をはじめとする廷臣からの、軍資金横領という冤罪でした。かつての友、王沢までもが家の事情を理由に彼女を裏切り、霍璇は深い絶望に突き落とされます。窮地に陥り、命の危険に晒されたその時、王沢は身を挺して彼女を守り、命を落とします。この一報を聞いた容止はすぐさま宮中に駆けつけ、霍璇を救うため、自らが軍資金を横領した張本人だと名乗り出て、全ての責任を負う覚悟を見せます。
ネタバレ
拓跋弘は霍璇に褒美を与えようとするが、彼女は辞官を強く願い出る。大臣たちは霍璇の恩知らずを非難し、緊迫した空気が流れる中、容止が機転を利かせて話題を変え、その場を収める。退朝後、大臣たちは霍璇を女性蔑視の目で見て陰口を叩く。それを耳にした霍璇は、皆の前で鎧を脱ぎ捨て、永華門に掛けて辞意の固さを示し、去っていく。容止は残った者たちに、自らの行動で己の価値を証明するよう促す。
霍璇は帰宅後、王沢に辞官したことを伝える。驚きを隠せない王沢は、これが容止の仕業だと察する。霍璇は霍家軍を叔父に任せようとするが、王沢は軍の仮乱を懸念するも、彼女の決意を変えることはできない。そこへ王沢の父が訪ねてきて、母の病状が悪化したことを告げる。王沢は急いで家へと戻る。
夜、王沢は清越に食べ物を届けるため、摂政王府に忍び込む。清越が美味しそうに食べる様子を見て、王沢は微笑む。彼は清越に家庭の事情を打ち明け、父を許した母の気持ちが理解できないと話す。清越は優しく慰め、彼の頭を撫でる。衝動的に清越にキスをした王沢は、”すけべ!”と怒鳴られてしまう。本当は、ただ思い出を作りたかっただけだった。王府を去る際、王沢は沈遇と出会い、言葉巧みに彼から清越への想いを聞き出す。沈遇が清越を好きだと知り、王沢は安堵する。
翌日、拓跋弘は霍璇を呼び出し、彼女の辞意が本物であることを見抜く。拓跋弘は霍璇に酒を勧め、彼女が飲み幹したのを確認してから、簡単には辞めさせないと告げる。すると、役人たちがなだれ込み、霍璇を軍資金横領の罪で告発する。その先頭に立っていたのは、王沢の父だった。王沢は証人として、霍璇が軍資金を著服したと嘘の証言を強要される。霍璇は目の前の光景に失望を隠せない。
同じ頃、容止は拓跋弘の命により城外へ巡視に出ようとしていたが、沈遇が持ってきた手紙により、今日宮中へ入る必要があると知る。長史は皇帝の命令に従うよう進言するが、沈遇は不穏な空気を感じ、容止に宮中に留まるよう勧める。
宮中では、紅袖が顧歓に拓跋弘の病状について尋ねていたところに、事件発生の知らせが届く。大臣たちは拓跋弘の前で、霍璇の処刑を求める。霍璇はこれが自分に仕掛けられた罠だと悟り、高笑いする。彼女は脱出しようとするが、王沢は密かに父や他の文臣たちを妨害して彼女を助ける。しかし、衛兵に阻まれ、霍璇は抵抗し、衛兵から奪った剣を拓跋弘の機に突き立てる。激怒した拓跋弘は、霍璇を殺すよう命じる。霍璇は機敏に動くが、事前に盛られた薬の影響で動きが鈍り、龍林軍に包囲される。その時、王沢が霍璇の前に飛び出し、緻命傷を受ける。息絶える間際、彼は霍璇に謝罪する。悲しみと怒りに燃える霍璇は、薬の影響を一時的に克服し、剣を手に龍林軍と戦う。彼女は全身に傷を負う。
顧歓は霍璇を守ろうと前に出て、彼女を弁護する。容止は結局城外へは行かず、宮中へ向かう。拓跋弘が霍璇と顧歓を射殺するよう命じようとしたその時、容止が現れる。彼は拓跋弘に霍璇の助命を嘆願し、軍資金を著服したのは自分だと告白する。柳州の民のために軍資金を使ったのであり、間違ったことはしていないと主張する。もし霍璇を処刑するならば、自分が処刑されるべきだと訴える。この言葉に拓跋弘は激怒し、激しい頭痛に襲われる。
第49話の感想
第49話は、霍璇の壮絶な覚悟と王沢の秘めた愛が胸を打つ、息詰まる展開でした。これまで勇敢な将軍として活躍してきた霍璇が、陰謀渦巻く宮廷で窮地に立たされる姿は、見ている側も苦しくなるほど。それでもなお、自らの信念を貫き通そうとする彼女の強さは、まさに圧巻でした。
特に印象的だったのは、霍璇が永華門に鎧を掛けたシーン。言葉ではなく、行動で自らの辞意を示す彼女の凛とした姿は、深く心に刻まれました。また、王沢が命を懸けて霍璇を守ったシーンも涙なしには見られません。密かに清越を想いながらも、霍璇への忠誠心と罪悪感に揺れる彼の葛藤が、最期の行動に繋がったのでしょう。
一方、容止は今回も霍璇を救うために行動を起こします。軍資金横領の罪を自ら被るという大胆な行動は、彼の知略と霍璇への深い想いを改めて感じさせます。しかし、その行動が拓跋弘の怒りを買い、さらなる波乱を巻き起こすことは避けられないでしょう。
つづく