あらすじ
第11話は、阿麦と青州軍が豫州軍との武術試合に向けて準備を進める様子を描いています。豫州軍の傲慢な挑発にも屈せず、阿麦は父の教えを思い出し、知恵で勝利することを決意します。商易之は阿麦と唐紹義の親密な様子を見て不安になりますが、阿麦が唐紹義を好いていないことを知り、安心します。試合では、阿麦の知略と唐紹義の勇猛さによって、青州軍は重要な第3試合に勝利します。その後、阿麦は商易之を説得し、北漠軍に捕らわれた太子を救出します。太子を救出しただけでなく、青州軍と豫州軍の連合も実現させます。阿麦の機転と知恵は幾度となく商易之の危機を救い、二人の関係はより親密になりますが、阿麦は北漠へ行くという自分の目標を諦めません。
ネタバレ
武術大会に向け、阿麦は商易之の命運がかかる試合の行方を固唾を飲んで見守っていた。豫州城から王教衛が青州軍の訓練場に現れ、高圧的な態度で降伏を促すが、阿麦はひるまない。勝負はまだついていないからだ。しかし、青州兵の訓練の様子を見て、内心では不安を抱いていた。幼い頃、父から「戦は力だけでなく知恵も使って勝つものだ」と教えられたことを思い出し、策を練る必要性を感じていた。
商易之は、昼間、阿麦と唐紹義が肩を組んで親しげに話しているのを見て、不安に駆られていた。夕方、阿麦の部屋を訪ね、唐紹義との関係を問い詰める。「唐紹義が好きか?」と尋ねると、阿麦は否定する。商易之は安堵の息を吐き、「兵士たちが噂しているから」と付け加えた。
試合当日、第一試合は豫州軍の勝利。審判席の石達春は、食事をしているように見せかけて内心落ち著かなかった。妻は石達春が太子に忖度してわざと負けるのではないかと心配していた。太子に逆らえば、自分たちの未来はないからだ。石達春もそのことは重々承知していたが、太子と命の恩人である商易之の間で板挟みになり、苦悩していた。
太子の軍師・楊玄は豫州軍の勝利を確信し、勝ち誇った様子で、青州軍に手加減するよう指示を出す。第二試合、青州軍代表として出場したのは唐紹義。阿麦が資金を出して買った駿馬に跨り、五人の敵兵を相手に奮闘する。商易之は手に汗握る思いで見守る中、唐紹義は見事勝利を収めた。
これで両軍一勝一敗。勝負の行方は第三試合に委ねられた。砂時計の砂が落ち切るまでに旗を奪い合うというルール。阿麦も自ら戦場に出て指揮を執る。砂が落ち切りそうになったその時、阿麦はあらかじめ用意しておいた砂を旗の周りにまき散らし、豫州兵の目をくらませた。その隙に青州兵が旗を奪い、勝利を掴んだ。楊玄は「卑怯だ!」と怒鳴りつけ、袖を拂って立ち去った。
程なくして、太子が北漠軍に捕らえられたという知らせが届く。阿麦はすぐに商易之に出兵を命じるが、商易之は驚く。命を狙われている太子を助ける義理はないと思っていたからだ。しかし、阿麦は「長期的に見れば、太子を救えば見逃してもらえるかもしれない」と説得する。
阿麦の言葉に心を動かされた商易之は、腹心の部下と共に北へ向かい、太子を救出する。太子は初めて商易之と対面し、その勇姿に感銘を受ける。命を救われた恩もあり、これまでの罪を不問にすることにした。青州軍と豫州軍は合流し、共に訓練することになったが、両軍の融和は容易ではない。商易之が頭を悩ませていると、阿麦は「共に戦場に出れば、自然と打ち解ける」と助言する。
阿麦の機転と知恵で幾度も危機を乗り越えてきた商易之は、彼女を側に置いておきたいと思っていた。しかし、阿麦の心は北漠に向いていた。
第11話の感想
第11話は、阿麦の知略と機転が光る、手に汗握る展開でした。武術大会での勝利は、まさに彼女の周到な準備と機転の賜物と言えるでしょう。特に、最後の旗を奪う場面での砂を使った奇策は、見ているこちらも思わず「なるほど!」と唸ってしまうほど鮮やかでした。楊玄の悔しがる様子も、阿麦の作戦勝ちを際立たせていました。
また、商易之と阿麦の関係性の変化も印象的でした。唐紹義との仲を疑う商易之の姿は、彼の阿麦への想いを改めて感じさせるものでした。そして、太子救出の場面では、阿麦の冷静な判断と的確な指示が、商易之の成長を促しているようにも見えました。二人の信頼関係が深まっていることが感じられ、今後の展開がますます楽しみになります。
一方で、石達春の苦悩も胸を締め付けられました。太子と命の恩人の間で板挟みになり、苦渋の決断を迫られる彼の姿は、権力争いの残酷さを改めて浮き彫りにしています。今後の石達春の動向にも注目したいところです。
つづく