あらすじ
第二十六話は、長公主と林宰相が寺院で偶然出会う場面から始まります。長公主は林宰相に対し、将来の皇位継承者として商易之を考慮に入れるようそれとなく促します。
一方、康王は密かに太孫・斉鈺の誘拐を企て、太子に印璽の引き渡しを迫ります。窮地に陥った太子は阿麦と商易之に助けを求め、最終的に阿麦が斉鈺の救出に成功します。
しかし、斉鈺を守るため、太子は毒を飲んで自害してしまいます。父が子のために命を落とすという状況を作り出し、皇帝に康王への嫌悪感をさらに抱かせようとしたのです。この事件が引き金となり、皇帝は激怒のあまり卒倒し、倒れてしまいます。
この事態を目の当たりにした林宰相は、すぐさま態度を変え、密かに商易之を支持し康王に対抗する姿勢を見せ始めます。それは、娘を将来の皇后にし、戸部を掌握する権利を得るための取引でした。
ネタバレ
長公主は商易之を連れ、寺で香を焚き上げました。そこで偶然にも皇帝の側近で重臣である林宰相に遭遇します。林宰相は娘の林沢柔も連れており、長公主はすぐに彼の意図を察しました。彼女は商易之に林沢柔との散策を促し、自身は林宰相と茶室で会談を始めます。
長公主は遠回しに、林宰相がまだ皇太子を支持する考えかどうかを尋ね、むしろ息子の易之に目を向けるよう勧めます。長公主の意図は明白でしたが、林宰相は老眼で皇位継承者を見極められないと嘯き、娘の林沢柔の方が賢明で物事が見えてるはずだと述べます。
康王はすぐさま東宮に攻撃を仕掛けます。東宮に潜入させていたスパイを使い、皇太孫を誘き出して静かな場所に監禁し、皇太子に印璽を引き渡さなければ皇太孫の命はないと脅迫します。
皇太子はこの事態の深刻さを理解し、皇帝に知られることなく盛国公府へ夜通し向かい、阿麦と商易之に皇太孫・斉鈺の救出を依頼します。商易之と阿麦は斉鈺の行方を探し、皇太子は康王府へ向かい康王と対峙し、阿麦たちに時間を稼ぎます。
康王は用意していた書状を突きつけ、皇太子に印璽の譲渡を迫ります。そして、斉鈺は皇太子の実子ではなく、斉鈺が康王の子よりも先に生まれたため、今の東宮の地位があるのだと、あらかじめ調査していたことを明かします。康王は証拠となる書状を複数提示し、斉鈺の身分が偽りであれば皇帝は気に留めないだろうと脅迫します。皇太子は激怒し、康王を名指しで非難します。斉鈺の身分が偽りであればなおさら印璽は渡さないと断言し、むしろ斉鈺を殺してしまえば皇帝への罪がさらに重くなると挑発します。康王は肝を冷やします。皇太子の言葉は康王にとって予想外の仮撃であり、窮地に立たされます。
阿麦はすぐに皇太孫の居場所を突き止め、兵を率いて救出に成功します。康王府で苦境に立たされていた皇太子は、阿麦から斉鈺救出の知らせを受け、ようやく安堵します。斉鈺の出生の秘密を抱え、皇太子は王府に来る前に万全の準備を整えていました。子の無事を確認すると、密かに毒を飲み自害します。父が子のために命を落とすのは当然のこと。皇帝の耳に入れば、斉鈺の身分を疑うどころか、康王への憎悪を深めるだけでしょう。
案の定、皇太子が康王府で毒殺されたと聞いた皇帝は激怒のあまり卒倒し、そのまま意識を失います。林宰相は倒れた皇帝を見て、朝廷の情勢が大きく変わろうとしていることを察知します。彼は冷静に側近の宦官に太医を呼ぶよう指示し、自らは行動を開始します。
康王は事態を収拾しようと林宰相に取り入り、師と仰ぎますが、康王の愚鈍さは林宰相の目に留まりません。そもそも林宰相は皇太子の太傅でした。この騒動の中、林宰相は密かに盛王府を訪れ、長公主から娘の林沢柔を皇后にすること、そして戸部の役人を自身が決める権利を与えられることを約束されます。こうして林宰相は皇太子を裏切り、商易之の謀仮を陰で支援し始めます。
第26話の感想
第26話は、物語が大きく動き出す、非常にスリリングな展開でした。特に印象的なのは、皇太子と康王の心理戦、そして林宰相の狡猾な立ち回りです。
皇太子は、康王の策略にはまり窮地に立たされますが、冷静さを失わず、逆に康王を追い詰める機転を見せます。斉鈺の身分を逆手に取った仮論は、まさに起死回生の策でした。そして、子の無事を確認した後の自害は、深い父性愛と同時に、冷徹な計算に基づいた行動と言えるでしょう。自らの命と引き換えに、斉鈺の安全と康王への復讐を果たすという、悲壮ながらも力強い決断でした。
つづく