あらすじ
第27話は、商易之と阿麦の間に、殺父仇人という関係から生じる複雑な感情の葛藤を描いています。まず長公主は商易之と林宰相の娘との縁談を進めますが、その後、阿麦に商易之の父・商維が彼女の家族を皆殺しにした張本人であることをわざと知らせます。このことで、阿麦の商易之に対する想いは大きく変わってしまいます。商易之は真心込めて作った真っ赤な婚礼衣装と求婚で阿麦の心を取り戻そうとしますが、阿麦の心にはもはや愛情はなく、商易之の父への憎しみだけが残っていました。
一方、太子妃は流言蜚語が原因で自害し、太子は皇帝に宮中に呼び戻されます。そして康王は、言官の弾劾を受けて窮地に立たされます。商易之は長公主から、全ての黒幕が皇帝であることを知らされます。それは阿麦の家族の悲劇だけでなく、商易之の実の父である前太子・斉顕の死にも関わっていました。この事実により、二人は共通の敵を持つことで再び強く結びつきますが、二人の未来は依然として不透明なままです。また、長公主は二人の婚礼の準備を進めていますが、阿麦は何も知りません。
ネタバレ
長公主は既に林宰相に商易之の生年月日を記した帖を送り、商易之にその決定を告げました。商易之は驚きを隠せません。つい先程まで阿麦のために嫁入り衣装を自ら仕立てていたというのに、母の心変わりを知り愕然とします。長公主は商易之に慎重な判断を促し、阿麦がいつか父の仇を突き止める時が来ると諭します。二人の仲は長くは続かない、と。しかし商易之は、阿麦に秘密が知られることはないと頑なに信じます。そこで長公主は一計を案じ、阿麦に真実を知らせようとします。
阿麦は路地裏で方大牛を見つけ、彼から当時の惨劇を聞かされます。定南侯・商維が玄武軍の兵士数名を率いて阿麦の一族を皆殺しにしたこと、そして方大牛が屋台を出していなかったことも。阿麦は、商易之がずっと真実を知っていたことに気づきます。盛府に戻ると、商易之は仕立て上がった真っ赤な嫁入り衣装を嬉しそうに見せ、阿麦に結婚を申し込んできます。しかし阿麦の心は既に冷え切っていました。目の前にいるかつて愛した人は、父の仇の息子だったのです。この深い憎しみは、愛情を完全に覆い隠してしまいました。阿麦は商易之に何故騙していたのかと問いますが、商易之は黙り込んでしまいます。出会いから今日まで、商易之はこの秘密をずっと守り通そうとしてきたのです。
太子はかつて斉鈺を守るため、毒を飲んで自害しようとしました。しかし、それでも噂は止まず、ますます広まるばかり。太子妃は手の施しようがなく、東宮で首を弔って自害してしまいます。東宮は一気に静まり返りました。この知らせを聞いた林宰相は大変な衝撃を受けます。斉鈺は太子が亡くなった日に既に皇帝によって宮中に連れて行かれ、太子妃の死も隠蔽されています。皇帝は太子妃の葬儀を長公主に任せます。
皇帝は脳卒中で静養が必要で、怒らせることは禁物です。しかし、そんな中、どうしても皇帝に謁見したいという者が現れます。曽太という宮中の言官で、最初は大したことではないと思われていました。しかし、この曽太は皇帝の前で康王を弾劾し、康王が謀仮を企てていること、そして太子が康王府で亡くなったことを訴え、皇帝に真相究明と民への説明を求めます。皇帝は不快感を露わにし、曽太を捕らえようとしますが、曽太は壁に頭を打ち付けて自害してしまいます。
康王府に戻った康王は激怒します。皇帝は表向きには太子の死因を隠蔽し、康王を罰していませんでした。しかし、今や言官から弾劾を受け、皇帝は激怒のあまり吐血してしまいます。康王は曽太の背後に黒幕がいると考え、直ちに部下に徹底的な調査を命じます。林宰相は黙ってその様子を見守っています。
長公主は商易之を呼び出し、盛府の兵符を渡し、本来自分が持つべき軍権を取り戻したいかと問います。商易之は驚きを隠せません。心優しく、争いを好まない商易之にとって、母が勝手に林宰相の娘との縁談を進め、謀仮を唆すとは思いもよりませんでした。商易之は母に明確な返事をせず、今はただ阿麦を守りたいと考えています。
商易之は阿麦を見つけ、阿麦の両親を殺害した真犯人は今の皇帝だと告げます。皇帝は阿麦の一族だけでなく、盛府をも警戒しており、長公主を使って侯爵・商維を排除しました。そして、商維は商易之の実の父ではなく、商易之の本当の父親は先の太子・斉顕だったのです。つまり、皇帝は商易之にとっても父の仇でした。同じ運命を背負った阿麦と商易之は、抱き合って涙を流します。
長公主は既に林宰相府に豪華な祝いの品を送り、両家は結婚の準備を進めています。阿麦は何も知りません。
第27話の感想
第27話は、怒涛の展開で息つく暇もないほどでした。特に阿麦が真実を知ってしまうシーンは、胸が締め付けられる思いでした。愛する商易之が、殺された父の仇の息子だったという残酷な事実に直面した阿麦の悲しみは計り知れません。商易之もまた、愛する人を欺き続けなければいけない苦悩を抱えており、二人のすれ違う想いに涙が止まりませんでした。
真実を知ったことで、阿麦と商易之の関係はどうなっていくのでしょうか。復讐か、愛か。大きな岐路に立たされた二人の今後の選択が気になります。
また、宮中では太子妃の自害、言官・曽太の告発と自害など、不穏な出来事が立て続けに起こります。康王への疑いが深まり、皇帝の怒りも爆発寸前です。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、緊張感が高まっていく展開に目が離せません。
つづく