あらすじ

第二十九話は、康王が宦官を買収し、皇帝を脅迫して皇位を譲らせようとする陰謀を描いています。しかし、龍吟衛のタイムリーなな介入により、康王の企みは失敗に終わります。

激怒した康王は長公主を誘拐し、商易之シャン・イージーを罠に嵌める計画を立てます。一方、故郷へ帰るため、北漠ほくばくの質子である申亭淵シン・テイエンは皇帝の密命に従い、康王の軍師を毒殺します。

幽閉された長公主は、機転を利かせて康王を激怒させ、自ら命を落とします。これは、商易之シャン・イージーの決意を固めさせるための、彼女の苦渋の決断でした。

母の死を目の当たりにした商易之シャン・イージーは、皇位奪還を決意し、ついに康王を討ち取ります。そして、阿麦アマイ率いる青豫の大軍が援軍として駆けつけます。

長公主は生前、既にこの結末を予見していました。このような試練を経てこそ、商易之シャン・イージーは真に国を守護する君主へと成長できると信じていたのです。

ネタバレ

皇帝が目覚めると、傍らには康王の姿が。驚愕する皇帝に、康王は買収した宦官により扉は開かないと告げ、斉鈺セイ・ギョクの皇位継承権に疑問を呈し、帝位を譲るよう迫る。皇帝は驚きつつも康王の野心を察知する中、扉が開き龍吟衛が現れる。皇帝は康王に対し、既に商易之シャン・イージーに帝位を譲ったと嘘をつく。

康王府に戻った康王は激怒し、長公主の妨害と北漠ほくばく質子申亭淵シン・テイエンの扇動により、長公主を捕らえるよう命じる。ホウ軍師は定南侯テイナンコウ府の勢力と商易之シャン・イージーの権力を鑑み仮対するが、皇位への執著に狂った康王は聞き入れず、軍師を牢獄へ入れる。

長公主拉緻の報を受けた商易之シャン・イージーは宮中を探し回る。故郷への帰還を切望する申亭淵シン・テイエンは、皇帝よりホウ軍師殺害の密命を受け、牢獄を訪れ毒酒でホウ軍師を始末する。

密室に閉じ込められた長公主は、侍女を通して多数の兵に囲まれていることを知る。康王が現れ、商易之シャン・イージーをおびき寄せる罠だと明かす。長公主は商易之シャン・イージーの身を案じ、康王を挑発し自らの命を危険に晒す。

康王は人質交換を持ちかけ、商易之シャン・イージーは長公主を救うため康王府へ向かう。再会を喜ぶ二人だが、長公主は康王を激怒させ、剣で刺されてしまう。激昂した商易之シャン・イージーは康王を殺害し、駆けつけた阿麦アマイ率いる青豫軍と共に康王府を製圧する。瀕死の長公主は商易之シャン・イージーに「守りたいものを守るには帝位につくしかない」と言い残し息を引き取る。この言葉は商易之シャン・イージーの心に深く刻まれ、彼は即座に皇宮への進軍を命じる。

実は長公主は拉緻される以前よりこのような事態を予期し、商易之シャン・イージーに帝位を継ぐよう諭していた。彼の迷いを断ち切るため、自らの命を賭け康王を「試練」としたのだ。軍師はこの仕打ちを非情と嘆くも、長公主は仁愛と知略を持つ商易之シャン・イージーこそが帝位に相応しいと微笑んでいた。

第29話の感想

第29話は、まさに怒涛の展開でした。長公主の命を懸けた賭け、商易之シャン・イージーの苦悩と決意、そして康王の最期と、息つく暇もないほど様々な出来事が起こり、見ているこちらも心が揺さぶられました。

特に印象的だったのは、長公主の覚悟です。愛する息子を守るため、そして彼が真の皇帝となるために、自らの命を犠牲にする。その強い母性愛と深い愛情に胸を打たれました。これまで幾度となく危機を乗り越えてきた長公主だからこそ、最後の最後でこのような決断を下せたのでしょう。彼女の最期の言葉は、商易之シャン・イージーの心に深く刻まれ、今後の彼の行動を大きく左右していくことでしょう。

また、商易之シャン・イージーの葛藤も心に響きました。これまで皇位に執著せず、争いを避けてきた彼が、大切な人を守るため、そして天下泰平のために、ついに立ち上がる。その決意の固さに、彼の成長を感じました。康王を討ち、皇宮への進軍を決意した彼の表情は、これまでの彼とは全く違う、力強いものでした。

つづく