あらすじ
第三話では、仲間が捕らえられたことを知った阿麦が救出を試みます。しかし、ロープの結び方がきつすぎたため失敗し、逆に一緒に捕まってしまいます。幸いにも、商易之が間一髪で駆けつけ、自分の身分を証明することで役人に掛け合い、阿麦と仲間を解放させます。
夜は冷え込み、商易之は阿麦を気遣い、一緒に宿に泊まるよう誘います。阿麦は最初断りますが、最終的にはその申し出を受け入れます。二人は語り合い、それぞれの境遇を打ち明けます。阿麦は家族が殺された過去を語り、商易之は今の自分の苦境を明かします。
翌朝、阿麦は怪しい人物が役人に扮していることに気づき、危険が迫っていることを察知します。すぐに宿に戻り、商易之に警告し、機転を利かせた作戦を立て、商易之たちを無事に逃がすことに成功します。
別れ際、商易之は阿麦に同行を勧めますが、阿麦は復讐心が強く、それを断ります。商易之は複雑な思いを抱きながら、阿麦の去っていく後ろ姿を見送るのでした。
ネタバレ
宿場にて、阿麦は隙を見て仲間の縄を解こうとするが、役人の仕事が丁寧すぎたのか、固く縛られてなかなか解けず、逆に役人に見つかってしまう。結局、阿麦も仲間も一緒に縛られてしまう。
このまま外で一晩過ごせば凍死してしまうところだったが、幸運にも商易之一行が宿場に到著。かつて命を救われた阿麦の窮地を目にし、商易之は役人に縄を解くよう頼む。商易之が役職の印章を見せると、役人は素直に従った。阿麦は機転を利かせて仲間を屋内に避難させ、凍える夜をしのぐことができた。夜も更け、阿麦が役人と雑魚寝すると言うと、商易之は一緒に泊まるよう勧める。だが、相手は盛府の若様。身分の違いをわきまえている阿麦は遠慮する。
部屋に戻った商易之に、侍衛の穆白は、ただの江湖人に身分を明かすべきではなかったと諫言する。命を狙う者も多い中、商易之は、阿麦に二度も命を救われた恩義を忘れず、見捨てることはできないと返す。阿麦が女性だと知っている商易之は、心配になり彼女の部屋を訪ねる。酒を見つけ、軽く酌み交わしながら近況を語り合う。師匠も父も隠れ家も罠に嵌められ、まるで大海を漂う一片の浮萍のようだと嘆く商易之。
阿麦もまた、数年前、両親が殺され、信頼していた兄が仇だと知った時の苦しみを語る。その日から彼女は復讐を誓い、別人のように変わったのだ。
翌朝、宿場を後にした阿麦だったが、怪しい男たちが役人の服に著替えているのを目撃する。不審に思い、男たちが落とした令牌を拾うと事態の深刻さを悟り、急いで宿場に戻る。商易之に危険が迫っていると警告する。
男たちは明らかに商易之を狙っていた。阿麦は彼を危険に巻き込みたくないと考え、令牌を宿場の主に示し、自分は皇帝の密命を受けた刑部の密偵だと偽る。そして、役人に扮した盗賊を追っていると説明し、怪しい集団が現れたら足止めするよう指示する。事前に築かれた信頼関係もあり、主人は阿麦の言葉を信じ、指示に従う。
阿麦は機転を利かせ、脱出計画を立てる。宿場の主に地元の役人を呼び、刑部の人間に偽装した者がいると通報させる。地元の役人が状況を把握できないうちに、商易之とその一行を連れて脱出する。別れの時、商易之は阿麦を誘うが、彼女は復讐を果たすまではと断り、一人で旅を続ける。阿麦の後ろ姿を見つめながら、商易之の心は揺れる。前途に何が待ち受けているか分からないが、もし再び阿麦に会えたら、今度こそ彼女を手放さないと心に誓うのだった。
第3話 感想
第三話は、阿麦の機転と商易之の優しさが際立つエピソードでした。危機的状況の中でも冷静さを失わず、知恵を絞って仲間と商易之を救う阿麦の姿は、まさに「麗将」の風格を感じさせます。特に、偽の身分を使い、宿場の主を巧みに操って脱出を図る場面は、彼女の頭の回転の速さと大胆さを示す見事なシーンでした。
一方、商易之は、阿麦への恩義を忘れず、危険を顧みず彼女を助ける姿が印象的です。侍衛の穆白からの諫言にも、自分の信念を曲げない強い意誌を感じます。また、阿麦の過去に触れ、自身の境遇と重ね合わせるシーンでは、二人の間に特別な絆が生まれていることを予感させます。
二人の関係性も、今後の展開を期待させるポイントです。身分の違いを意識しながらも、互いに惹かれ合っているような描写は、今後のロマンス展開への期待を高めます。阿麦の復讐という大きな目的と、商易之の運命がどのように交錯していくのか、今後の物語から目が離せません。
つづく