あらすじ
第31話は、阿麦が敵国に通じたという濡れ衣を着せられ投獄される場面から始まります。商易之は阿麦を救うため、林宰相の要求を受け入れ、即位と同時に林宰相の娘を皇后に迎えることになります。阿麦は商易之の結婚の知らせに深く傷つき、街で一人酒を呷って悲しみに暮れます。それでもなお、阿麦は復讐を果たすため、父を殺した仇敵・陳起を討つべく北漠へ帰る決意を固めます。しかし、出発しようとした矢先、商易之が兵を率いて阿麦を止め、宮廷へ戻るよう説得します。翌日、朝議の場で、商易之は阿麦の本当の身分を明らかにし、軍師・徐靜の助力も得て、朝廷に阿麦の身分を受け入れさせ、ついに盛府を阿麦に返還します。同時に、林宰相が陳起を利用して政敵を排除するなど、陰謀を巡らせていたことが明らかになります。
ネタバレ
阿麦の署名入りの証文を見た商易之は状況を察し、軍師に目配せします。軍師は皇帝の結婚と同時に大赦が行われると説明し、林宰相は即位と同時に娘を皇后に、そして大赦を行うよう懇願します。阿麦の命を守るため、商易之は仕方なく承諾します。
牢獄で常鈺青の隣の房にいた阿麦は、彼から通敵の疑いについて尋ねられます。商易之が裏で糸を引いているのではと疑う常鈺青に対し、阿麦は商易之が自分を害するはずがないと確信しています。
皇帝の婚礼当日、林宰相の娘、林澤柔は皇后となります。徐靜軍師は常鈺青を牢から出し、北漠軍が近くにいること、そして城を攻めないことを条件に解放すると持ちかけます。阿麦の無事を確認した常鈺青は、提案を受け入れます。
夜、林宰相は阿麦に酒と肉を持っていきます。阿麦は断頭酒だと思い込みますが、林宰相から今日は商易之の婚礼だと聞かされ、断頭酒よりも辛い現実を突きつけられます。牢を出た阿麦は街をさまよい、酒を飲んで悲しみに暮れます。遠くから常鈺青は阿麦の涙を見守ります。夜露に濡れながら、阿麦は酔いつぶれ、過去の思い出が蘇り、商易之への恨みを募らせます。
翌朝、阿麦は皇帝に謁見し、盛府への帰還を願い出ます。商易之は驚きながらも許可します。説明しようとする商易之をよそに、阿麦は深く頭を下げて立ち去ります。
盛府に戻った阿麦は、かつて家族と過ごした日々を思い出します。雨の夜に家族を失った悲しみ、そして復讐を果たしていない陳起の存在を思い出し、北漠へ戻ることを決意します。急いで軍営に戻ると、兵士たちは温かく阿麦を迎えます。阿麦は用事を済ませたら戻ると告げ、皆と酒を酌み交わします。
その後、常鈺青に会い、北漠へ行き陳起を討つと告げますが、商易之が兵を率いて追いかけてきます。阿麦の真意を知りながらも、彼女の北漠行きを阻止しようとする商易之。包囲された阿麦は、常鈺青の命と引き換えに、商易之と共に帰ることを余儀なくされます。
翌日、商易之は阿麦が韓懐成の娘であることを公表します。林宰相の息のかかった官僚たちは、女の軍隊参加を非難し、処罰を求めます。徐靜軍師の尽力により、盛府を阿麦に返すことが認められます。
夜、林宰相はこれまでの策略を振り返ります。陳起を使って忠臣を排除し、北漠の情報を集めさせ、韓懐成が陳起の両親を殺したという嘘で陳起を操っていました。すべての悪事は、老獪な林宰相の仕業でした。
第31話の感想
阿麦の復讐劇もいよいよ佳境に入り、第31話は彼女の苦悩と決意が深く描かれた回でした。婚礼という祝いの場で、愛する商易之と林宰相の娘が夫婦となる残酷な現実を突きつけられた阿麦の悲しみは、見ているこちらも胸が締め付けられるようでした。断頭酒よりも辛い、というのはまさにその通りでしょう。酒に溺れる姿は、彼女の絶望と無力感を物語っています。
しかし、悲しみに暮れるだけでなく、すぐに復讐へと意識を切り替える彼女の強さも印象的です。盛府への帰還は、過去の自分との決別、そして未来への決意表明のように感じられました。家族を失ったあの場所で、彼女は復讐の炎を再燃させ、北漠へと向かいます。かつての仲間との再会シーンは、彼女がどれほど信頼され、愛されていたかを改めて感じさせ、温かい気持ちになりました。
商易之の葛藤もまた、この物語の重要な要素です。阿麦への愛と国の安定の間で揺れ動く彼の苦悩は理解できますが、阿麦の気持ちを理解しようとせず、力ずくで連れ戻そうとする姿には、もどかしさを感じました。二人のすれ違いが、今後どのように展開していくのか、目が離せません。
つづく