あらすじ
第36話は、阿麦が商易之の裏切りと陳起の犠牲に直面し、その後靖陽城を治めていく物語です。
商易之は南下のための和平と引き換えに、密かに北漠と協定を結び、鎮北軍を犠牲にしようと企てました。真実を知った阿麦はすっかり失望し、兵を率いて靖陽へ戻ることを決意、二度と商易之とは会わない覚悟をします。
陳起は北漠からの命令で靖陽を攻めることになりますが、阿麦への深い愛ゆえに、最後は自らの命と引き換えに靖陽を戦火から守る道を選びました。
三年後、阿麦は靖陽の統治に成功し、城内の民は豊かで穏やかな暮らしを送っていました。商易之は何度も阿麦と和解しようと試みますが、その度に拒絶されます。
北漠を代表して常鈺青が阿麦を訪れ、北漠の常夫人になるよう説得を試みますが、これもまた断られます。
阿麦の人生は多くの波乱に見舞われましたが、彼女はついに自らの理想を実現し、南下してきた民に平和をもたらしたのでした。
ネタバレ
商易之は徐靜の阿麦排除の提案を却下したものの、鎮北軍が盛都に近付いたと聞き、不安を覚える。阿麦は単身皇帝に謁見を求め、慕白は止めようとするが、阿麦の強い意誌に押され、許可する。
商易之と二人きりになった阿麦は、先帝が韓懐成を排除した真の理由、そして商易之が北漠と密約を結び、鎮北軍を犠牲にして平和を得ようとしていることを知らされる。阿麦は大きなショックを受け、商易之を裏切り者と断じ、靖陽へ戻り、二度と会わないと告げる。
北漠から靖陽攻撃の命を受けた陳起は、愛する妹である阿麦との戦いに苦悩する。そして、阿麦の形をしたペンダントを握りしめ、靖陽城門前で阿麦に決闘を申し込む。陳起は阿麦を挑発するが、仮撃の機に武器を捨て、自ら阿麦の刃を受け入れる。息絶える間際、林宰相に騙され、韓懐成を排除しなければ阿麦が殺されると脅迫され、誤った選択をしたと真実を明かす。
陳起の死は靖陽の惨事を防いだ。3年後、阿麦の統治により靖陽は繁栄していた。商易之は6度も阿麦を訪ねるが拒絶され、軍師のみが入城を許される。ある日、北漠の大軍が迫るとの知らせに、阿麦は迎撃に出るが、現れたのは常鈺青だった。彼は改めて阿麦に求婚するが断られる。北漠の若き皇帝は他の地域への侵攻を決めたため、南下は当面安泰となるだろうと常鈺青は告げる。これは同時に、商易之に阿麦の実力を示すためでもあった。軍師から報告を受けた商易之は悲しみながらも、国境の安全と皇帝の政務への専念を考えれば最善の策だと納得する。
靖陽の防衛を固めた阿麦は、軍務を部下に任せ、一人馬で野を駆ける。多くの苦難を乗り越え、心の平穏を得た阿麦は、南下の民が平和に暮らすという夢を実現させていた。
第36話の感想
「華の出陣~麗将・阿麦の仇討」の最終回、第36話は、様々な感情が渦巻く、深く心に響くエピソードでした。阿麦の揺るぎない信念、商易之の苦悩、陳起の悲劇的な最期、そして常鈺青の変わらぬ想い。それぞれのキャラクターの生き様が交錯し、物語は幕を閉じます。
特に印象的だったのは、陳起の最期です。愛する妹を守るため、誤った選択をしてしまった彼の悲劇は、涙を誘います。林宰相の策略によって追い詰められ、苦渋の決断を下した彼の心中を思うと、胸が締め付けられます。彼の死は、靖陽の平和を守ると同時に、阿麦の心に深い傷を残したことは間違いありません。
また、商易之と阿麦の関係性の変化も注目すべき点です。国のために非情な決断を下した商易之と、民のために戦う阿麦。二人の道は分かれてしまいましたが、互いを想い合う気持ちは、消えることはないでしょう。商易之が六度も阿麦を訪ねたことからも、彼の未練が感じられます。
最終的に、阿麦は靖陽の平和を守り、民の安寧を実現させました。多くの苦難を乗り越え、成長した彼女の姿は、まさに「麗将」の名にふさわしいものです。しかし、その裏には、計り知れない悲しみや孤独があったはずです。ラストシーンで、一人馬を駆る阿麦の後ろ姿は、彼女の強さと同時に、抱えるものの大きさを物語っているようでした。