あらすじ
第五話では、銀堡城が北漠軍の攻撃を受ける様が描かれています。常鈺青率いる北漠軍は、圧倒的な軍事力をもって銀堡城を瞬く間に陥落させました。城内の守備隊は力の差が大きく、甚大な被害を受けます。敵の猛攻を食い止めるため、囚人までもが戦いに駆り出されるほどでした。囚人の一人である阿麦も勇敢に戦い、混乱の中で獄卒の最期の願いを叶え、娘の徐秀児を救出します。一方、唐紹義と李二牛もまた、戦場で並外れた勇気を示し、李二牛は敵の手に渡る恐れのある攻撃兵器の設計図を焼き捨てました。徐秀児を守り、脱出路を探すため、阿麦、唐紹義、李二牛、そして後に合流した阿四は、北漠兵に変装して城外へ脱出することを決意します。しかし、常鈺青は彼らを捕らえるため、四日以内に発見できなければ城内の民衆を皆殺しにするという命令を下し、状況はさらに緊迫したものとなりました。
ネタバレ
常鈺青は銀堡城を脱出後、すぐさま部下に夜襲を命じた。事前の情報収集により、銀堡城の軍事力は脆弱で、北漠の敵ではないと判断していたからだ。
前夜、唐紹義は常鈺青の攻撃を予測していたものの、その勢いの凄まじさには驚愕した。僅か数分で兵士の半数が死傷し、人手不足を補うため、囚人たちに参戦を呼びかけ、戦功を挙げれば罪を赦免すると約束した。
南夏出身の阿麦は、牢獄からの脱出の機会とあって、戦場への参加を誌願した。彼女の行動に感化され、多くの囚人たちが次々と名乗りを上げた。城が敵に包囲され、罪人までもが祖国防衛に立ち上がる姿に、獄卒たちも心を動かされ、剣を抜いて後に続いた。
戦況は凄惨を極めた。兵力も武器も不足する中、阿麦は唐紹義に状況を報告するが、唐紹義は降伏を拒否した。これまでの経験から、落城すれば城内の民衆は命の危険に晒されると考えていたからだ。守備隊の勇敢さに感銘を受けた常鈺青は、城内の民衆を傷つけないと誓った。
城門が突破され、人々が逃げ惑う中、阿麦は瀕死の獄卒に出会う。彼は孤児となった娘の身を案じ、娘の救出を阿麦に託した。獄卒から形見を受け取った阿麦は、急いで娘の元へ向かった。
牢獄では、唐紹義が李二牛に剣を向けていた。しかし、北漠軍の侵攻による惨状を目の当たりにした李二牛は、自ら開発した強力な武器の設計図を焼き捨てた。敵の手に渡ることを防ぐためだ。李二牛の行動に感服した唐紹義は、彼と共に脱出を試みた。脱出の過程で、李二牛は更なる悲劇を目撃する。戦争は人々から家や家族を奪うだけでなく、街全体を破壊し尽くすのだ。阿麦もその惨状を目の当たりにし、今は一人だが、民衆を守ることが自分の使命だと感じた。
幾多の困難を乗り越え、阿麦はついに獄卒の娘、徐秀児を見つけ出した。間一髪で北漠兵の暴行から救い出したのだ。父の死を知った秀児は自害しようとするが、阿麦はそれを止め、父の思いを胸に強く生きていくよう諭した。
阿麦は秀児を連れて城外へ脱出しようとしたところ、唐紹義と李二牛が北漠兵に包囲されているのを発見する。かつて同じ牢獄にいた李二牛の姿を見つけた阿麦は、大きな荷車を使って敵を蹴散らし、共に逃走を図る。
秀児と再対面した李二牛は獄卒の最期を知り、常鈺青への憎悪を新たにする。かつて常鈺青は、李二牛の家の家宝である箭譜を奪おうと村を襲撃し、多くの犠牲者を出したのだ。父は命懸けで箭譜を李二牛に託し、大切に守るよう言い残していた。四人は脱出方法を思案し、阿麦は北漠兵の服を奪い、変装して脱出することを提案した。
服は手に入れたものの、出城に必要な通行証がない。そこで阿麦は偽造の名人である阿四に協力を求める。常鈺青の通行証の偽造は危険な仕事だったが、阿麦は常鈺青の姿を記憶していたため、阿四は彼女の説明に基づいて鎧と通行証を偽造した。一方、常鈺青も手をこまねいていたわけではなかった。彼は阿麦たちの価顔絵を作成し、全城に配布して捜索を命じた。そして、四人を見つけ出せなければ、毎日一定数の民衆を殺害し、四日後には街を焼き払うと宣言した。
第5話の感想
第5話は、戦乱の渦中における人々の様々な感情が交錯する、非常にドラマチックな展開でした。常鈺青の容赦ない攻撃、唐紹義の強い責任感、そして阿麦の勇敢な行動。それぞれのキャラクターの心情が丁寧に描かれており、物語に深みを与えています。
特に印象的だったのは、阿麦が獄卒の娘、徐秀児を救出するシーンです。命を懸けて他人を助けようとする阿麦の姿は、まさに「侠女」という言葉がぴったりです。また、李二牛が設計図を焼き捨てるシーンも印象的でした。自らの発明が戦争の道具として使われることを拒む彼の強い意誌に、心を打たれました。
一方で、常鈺青の冷酷な一面も描かれており、善悪の境界線が曖昧な戦乱の悲惨さを改めて感じさせられました。罪人までもが祖国防衛のために立ち上がるという状況も、戦争の異常性を際立たせています。
つづく