あらすじ
第八話は、商易之と阿麦が青州で遭遇した危機を描いています。商易之は宴席で周囲に多数の侍衛が潜んでいることに気づき、危険が迫っていることを察知して、すぐさま退席しました。敵の追手を逃れるため、商易之は雌伏の時を過ごす戦略を選び、散財する放蕩息子を装います。贅沢品を買い漁り、町民全員に酒を振る舞い、民心を掌握しました。
しかし、青州の三人の老侯爵は商易之の行動に不満を抱き、彼を排除しようと密謀します。商易之と阿麦は二人の武将の監視から逃れようと策を講じますが、結局は銭大人に捕らえられ、監禁されてしまいます。絶体絶命の状況の中、阿麦は商易之を救出しようとしますが、厳重な警備に阻まれてしまいます。同時に、銭大人の残虐な行為を目の当たりにし、商易之を救い出す決意をさらに強くします。
ネタバレ
青州に著任した商易之は、父の旧部であるにも関わらず、どこかよそよそしい雰囲気を感じていました。鋭く周囲を見渡すと、闇がりには多くの兵士が潜み、冷兵器の冷たい光が鈍く光っています。何も気づかない商易之が、居眠りしている二人の老臣にちょっかいを出そうとしたその時、阿麦の必死の目配せに気づき、事態を察知。とっさにその場を離れました。
宿に戻った商易之は冷や汗をかきながら、闇龍衛の手が既にここまで伸びていることを悟り、身の危険を感じます。大公主の旧臣たちは、三人の老臣のうち二人が居眠りしていたことから、彼らの忠誠心に疑念を抱き、商易之にこれまで通りの芝居を続けるよう進言しました。
商易之は身を隠すことが賢明だと考え、翌日からは再び放蕩息子を演じ、派手に街を練り歩きます。行く先々で豪勢な買い物を繰り返し、布地、化粧品、高価な玉や骨董品を買い漁ります。阿麦は徐秀児のためにかんざしや服を選び、阿麦が自らかんざしを挿してあげると、徐秀児は頬を赤らめて喜びました。
それでも物足りないと思った阿麦は、商易之に更に派手な行動を促します。二人は有名な酒屋へ行き、店の酒を全て買い上げて青州の民衆に振る舞うと宣言。これほど気前の良い役人を誰も見たことがなく、商易之はたちまち「財神様」と呼ばれるようになりました。
老臣たちは商易之の周りに多くのスパイを配置しており、彼の散財ぶりを聞いて「やはり放蕩息子だ」と嘲笑します。夜、商易之の軍師は、昼間買い込んだ高級酒を使って敵をおびき寄せる計略を提案。青州の三人の統領を味方につければ、青州の実権を握ることができると言います。
一晩かけて計画を練り上げ、三人の統領に酒宴の招待状を送ります。しかし、当日現れたのは二人だけ。計画は頓挫しそうになりますが、商易之は見事な演技で場を取り繕い、歌や踊りで二人の機嫌を取りながら、隙を見て逃げ出します。そして、厠の扉を匕首で固定し、二人を閉じ込めて脱出に成功しました。
二人が酒に酔って意識が朦朧となった頃、商易之はこっそり迷香を焚きます。阿麦と慕白は馬車と輿を用意し、商易之を青州から脱出させようとしますが、欠席していた銭統領が既に城門を封鎖していました。商易之たちは銭統領に捕らえられ、屋敷に閉じ込められてしまいます。
三人の統領は商易之の処遇を相談します。青州の守将であり、侯爵家の跡取り息子である商易之を殺害すれば、必ず捜査が入り、自分たちが罪を被せられる可能性もあります。そこで銭統領は、商易之を過酷な労働を強いられる場所に送り、重労働と粗末な食事で徐々に衰弱させて命を落とさせる策を提案します。
阿麦はこっそり抜け出し、商易之の監禁場所を探します。そこは厳重に警備され、銭統領の腹心が監視しており、許可なく立ち入ることはできません。賄賂を使おうと高級酒を持って門番に近づいた阿麦は、孫の解放を懇願する老女が銭統領に容赦なく鞭打たれる場面を目撃します。銭統領の冷酷さを目の当たりにし、阿麦は新たな対策を考え始めます。
第8話の感想
第8話は、商易之の機転と阿麦の献身的なサポートが際立つ展開でした。青州入りした途端、父の旧部でありながら敵意に満ちた空気に包まれ、命を狙われるという緊迫した状況。商易之は持ち前の演技力と機転で危機を何度も回避しますが、常に一歩間違えれば命取りになるようなスリリングな展開にハラハラさせられました。
特に印象的だったのは、商易之が放蕩息子を装い、豪勢な散財を繰り返すシーン。一見無意味な行動に見えますが、実は周到に計算された芝居だったことが分かります。民衆に「財神様」と呼ばれ、老臣たちを油断させることで、敵の目を欺き、時間を稼いでいたのです。この大胆な作戦は、商易之の知略の高さを改めて感じさせました。
つづく