あらすじ
第十三話は、吏部尚書の何敬中が息子の入獄により病に倒れ、吏部の仕事が滞っている様子を描いています。誉王はこの事態に焦りを感じ、秦般若は李代桃僵の計を用いることを提案します。
一方、梅長蘇たちは嶺南から送られてきた蜜柑を味わう中で、何らかの異変を感じ取ります。沈追は靖王に漕運による黒色火薬の密輸を報告し、太子の私設火薬庫を破壊する計画を立てます。梅長蘇は病状が悪化しながらも大局を見据え、靖王に対し誠意と手腕を両立させて事態を掌握するよう助言します。
黒色火薬の用途を分析した梅長蘇は、急ぎ言侯に会いに行きます。そして、祭壇に火薬を仕掛け梁帝への復讐を企てていることを暴きます。言侯は梁帝に兄弟の情を裏切られ、赤焰軍事件を引き起こされたことに深い恨みを抱えていましたが、梅長蘇は必死に説得します。真の復讐とは正義のためにあるべきで、個人的な憎しみのためではないと諭すのです。
それと時を同じくして、蒙摯は宮中の祭壇に仕掛けられた導火線を見つけ出します。
ネタバレ
吏部尚書の何敬中は息子の収監と病で出仕できず、吏部の仕事が山積みとなり、誉王は焦燥していた。そこで秦般若は策を献じる。
一方、温泉から戻った言豫津と蕭景睿は梅長蘇を訪ね、嶺南から取り寄せた蜜柑を贈る。皆で試食するが、豫津は美味しそうに食べる一方、飛流は匂いを嗅ぐなり投げ捨ててしまう。飛流の仮応から蜜柑に異変を感じた梅長蘇。
沈追は靖王に、漕運に紛れて火薬が運ばれ、太子の私設火薬工場に運び込まれたと報告。証拠が揃い次第、工場を摘発する計画だ。
梅長蘇の病状は悪化の一途をたどり、晏大夫に少しでも長く生きられるよう懇願する。靖王の見舞いを受け、静嬪が皇后の毒は軟蕙草だと突き止めたことを知る。この毒は四肢に力が入らなくなるだけで、毒性は弱く数日で回復する。考え込む梅長蘇は無意識に梅長蘇の癖が出てしまい、靖王は故人を思い出す。梅長蘇は靖王に、皇位争いが激化すれば靖王も否応なく巻き込まれるため、誠意と策略を駆使して事態を掌握する必要があると忠告する。
越妃は梁帝に、年末の祭礼で許淑妃に皇后の代理を務めさせるよう進言し、梁帝の歓心を買う。黎綱は、もう二隻の火薬を積んだ船が私設火薬工場には運ばれておらず、行方が掴めないことを報告する。梅長蘇は、火薬が爆竹用でないなら殺人に使われると推測。蜜柑、言皇后の毒、年末の祭礼… これらの情報を結びつけ、事態の緊急性を悟り、晏大夫の製止を振り切って言侯の元へ急ぐ。
言侯は不在で、豫津が人を遣って探させる。梅長蘇、豫津、景睿は談笑しながら待つ。豫津は藺相如を最も尊敬すると言い、その使者としての風格を称賛する。梅長蘇は、この国にもそのような人物がいたと語り始める。37年前、大渝、北燕、東海の三国同盟軍が梁に攻め入った際、一人の使者が命を懸けて単身敵陣に乗り込み、雄弁で三国を分裂させ、危機を救ったという。豫津が感嘆していると、梅長蘇は、その人物こそ豫津の父だと明かす。豫津は衝撃を受ける。
誉王は皇后毒殺未遂事件を宮中で調査し、太子が黒幕ではないと判明するが、真犯人は不明のまま。
言侯が屋敷に戻り、梅長蘇は単刀直入に、祭壇に火薬を仕掛けたことを指摘する。理由を問われ、言侯は「奴を殺すのだ!」と憎悪を露わにする。実は言侯、林燮、梁帝は幼馴染で、「苦楽を共にし、栄華を分かち合う」と誓い合った仲だった。しかし、梁帝は即位後、兄弟の契りを忘れ、林燮の妹で言侯と相思相愛だった楽瑶を妃にしたのだ。楽瑶は景禹を生み、宸妃となる。言侯は諦めようとしたが、赤焰軍事件が起こり、景禹は賜死、楽瑶は自害、林家も滅ぼされた。言侯は梁帝の冷酷さを恨み、復讐を誓い、道士を装って計画を練っていたのだ。
梅長蘇は必死に言侯を説得する。私怨を晴らすだけでは真の復讐にはならないと。皇帝が死ねば、太子と誉王の争いで国が乱れ、国境も不安定になる。赤焰軍の汚名は雪がれず、親族や友人の名誉も回復しない。そして、父を知らない豫津にも累が及ぶだろうと。
その頃、宮中を巡回していた蒙摯は祭壇に仕掛けられた導火線を見つけ出す。
第13話の感想
第13話は、物語の核心に迫る重要な局面がいくつも描かれ、息詰まる展開でした。特に印象的なのは、言侯の復讐計画とその背景にある梁帝との深い確執です。幼馴染みとして誓いを交わした仲でありながら、愛する女性を奪われ、親友一家を滅ぼされた言侯の悲痛と憎悪は、深く胸に迫るものがありました。復讐に囚われた言侯の表情と、梅長蘇の必死の説得は、二人の演技力の高さも相まって、非常に緊迫感のあるシーンでした。
また、梅長蘇の病状の悪化も気がかりです。命を削りながら策を巡らせる彼の姿は、見ている側も苦しくなります。晏大夫の心配そうな表情からも、梅長蘇の余命がわずかであることが闇示され、今後の展開に不安を感じさせます。
一方、豫津と景睿の明るいキャラクターは、物語に一息つかせる清涼剤となっています。特に、豫津が尊敬する人物が実は自分の父親だったというエピソードは、驚きと感動を与えてくれました。梅長蘇の語り口も相まって、豫津の父親の偉大さが際立ち、豫津自身も新たな一面を見せることができました。
つづく