あらすじ
第18話は、秦般弱が奇門遁甲の術を用いて蘇宅を探り、梅長蘇の朝廷への深謀遠慮を見抜き、誉王に報告する場面から始まります。梅長蘇は夏春や秦般弱に靖王府との繋がりを悟られないよう細心の注意を払い、蒙摯と霓凰にも靖王の前では正体を隠すように指示し、靖王の政局における行動に影響が出ないよう配慮します。
また、秦般弱は南楚の質子と寧国府の繋がり、そして莅陽長公主と謝玉の間の秘められた過去を掘り起こし、謝玉を失脚させようと画策します。
一方、靖王は蘇宅を訪れ、南楚の公主からの求婚への対応を梅長蘇に相談します。梅長蘇は太常寺を通じてこの縁談を阻止する策を練ります。
朝廷内では権力争いが激化し、誉王と太子はそれぞれ重要な部署の支配権を失います。そんな中、梁帝は靖王の推薦する蔡荃を新たな刑部尚書に任命し、朝廷内の均衡を崩します。
最後に、誉王の勢力拡大に不安を抱いた梁帝は、静嬪のもとを訪れるという意外な行動に出ます。
ネタバレ
秦般弱は奇門遁甲の術に長け、蘇宅を調べ上げ、隠された部屋を発見しました。そこには朝廷の重臣たちの詳細な資料が保管されていました。彼女は誉王に、梅長蘇は以前から朝廷への介入を企んでいたと報告しましたが、それ以外には何も見つかりませんでした。
実は、これは梅長蘇が夏春と秦般弱のために仕掛けた罠でした。蘇宅と靖王府を繋ぐ秘密の通路は、夏春や秦般弱のような機関の達人でも見破れないように作られていたのです。
梅長蘇は蒙摯と霓凰に、靖王の前では決して自分の正体を明かさないように頼みました。もし靖王が彼が梅長蘇だと知れば、何をするにも梅長蘇の安全を第一に考えてしまうだろうと考えたからです。そうなれば、靖王は余計な心配をし、大事を成し遂げることが難しくなると考えたのです。蒙摯と霓凰は彼の苦しい胸の内を理解し、梅長蘇を守り、決して辛い思いをさせないと約束しました。彼らの真摯な気持ちに、梅長蘇は深く感動しました。
秦般弱は20年以上前の南楚の皇族の質子と寧国府との繋がりを突き止めました。誉王はそれを認めました。実は、莅陽長公主はかつてその南楚の質子に恋をし、都で大きな噂になりましたが、その後、突然当時下級の軍人だった謝玉に嫁ぎました。結婚後、謝玉は異例の出世を遂げ、一等軍侯にまで昇進しました。その後、彼は皇族との繋がりと赤焰軍の冤罪事件によって皇帝の寵愛を受けるようになったのです。秦般弱は長公主の過去の恋愛を利用して、謝玉を失脚させる機会を伺っていました。
靖王は深夜、秘密の通路を通って蘇宅を訪れ、南楚から求婚の使節団がもうすぐ都に到著すると梅長蘇に伝えました。静嬪は南楚の王女が靖王府に嫁ぐことを望んでおらず、その対策を求めてきたのです。梅長蘇は太常太卜を使って、靖王と南楚の王女の相性が悪いように仕向け、縁談を破談させると言いました。梅長蘇が太常にまで人を配置していることを知った靖王は、彼が周到な準備をして都に来たことを察知し、疑念を抱きました。そして、なぜ庭生のことを気にかけるのか、祁王を知っているのかと尋ねましたが、梅長蘇はうまくごまかしました。
穆青は霓凰と夏冬 に「死刑囚のすり替え事件」の詔書の内容を伝えました。吏部尚書の何敬中は罷免され、何文新には元の判決が執行されることになりました。刑部尚書の斉敏は官職を剝奪され投獄、流刑に決まりました。このところ都では二人の有力者が争い、情勢は目まぐるしく変化しましたが、結局どちらも決定的な勝利を得ることはありませんでした。誉王は吏部と刑部を失い、太子は礼部と戸部を失い、両者とも大きな打撃を受けました。今、両者は自分たちの息のかかった人物を刑部と吏部に送り込もうとしています。しかし、皇帝は熟考の末、靖王が何気なく口にした中間派の蔡荃を刑部尚書の代理に任命しました。
蒙摯は靖王府を訪れ、罷免された寿春を見舞いました。靖王と雑談しながら、北狄王から奪った双弦剣を見たいと持ちかけ、靖王が剣を掛けてある部屋に行くことに成功しました。
太子は叱責を受けて政務を執っておらず、誉王だけが目立っているため、朝廷では誉王が太子に取って代わるという噂が広まり始めました。長年続いてきた均衡が崩れ、皇帝は苛立ちを隠せません。宮中を散歩していた皇帝は、ある薬の香りに誘われ、長年冷遇していた静嬪を訪ねることにしました。
第18話の感想
第18話は、梅長蘇の周到な計画性と、水面下で繰り広げられる権力争いの激化が印象的なエピソードでした。秦般弱の調査を逆手に取り、自らの計画をさらに進める梅長蘇の知略には感嘆させられます。一見ただの屋敷に見える蘇宅が、実は靖王府と秘密の通路で繋がっているという設定も、物語に緊迫感を与えています。
特に印象的だったのは、梅長蘇が蒙摯と霓凰に自分の正体を隠すよう懇願するシーンです。梅長蘇としての自分ではなく、梅長蘇として靖王を支え、大業を成し遂げようとする彼の強い意誌と覚悟が感じられ、胸を打たれました。同時に、蒙摯と霓凰の揺るぎない友情と忠誠心も、梅長蘇の孤独な戦いを支える大きな力となっていることを改めて実感しました。
つづく