あらすじ
第23話は梅長蘇の巧妙な計略を描いています。彼は謝玉との心理戦を繰り広げ、夏江がもはや自分を信用していないと思い込ませ、ついに13年前の赤焰軍事件の真相を白状させました。実は、夏江が李重心に聶鋒からの偽の救援要請を書かせ、謝玉に聶鋒を誤殺させたのでした。その後、夏江は謝玉に李重心一家を口封じに殺害させたのです。この真相に夏冬 は深い自責の念に駆られ、靖王は祁王と林家の汚名を晴らす決意をさらに固めました。しかし、梅長蘇は真相が明らかになったとしても、現在の政治状況では既成事実を変えることは難しいと考えていました。一方、皇太后は病状が悪化し、晋陽と小殊の名を繰り返し呼んでおり、物語が新たな展開を迎えることを予感させます。
ネタバレ
梅長蘇は、夏江の弱みが謝玉に握られていると推測し、誉王の手を借りて牢獄で謝玉と面会させます。飛流は梅長蘇の指示で懸鏡司に潜入し、夏冬 に手紙を届けます。
梅長蘇と飛流は天牢で謝玉と面会。謝玉の頭の回転の速さを熟知している梅長蘇は、あえて彼を「愚かだ」と挑発し、夏江を持ち上げます。そして、夏江は命を助ける代わりに流刑にすると約束するだろうが、彼の性格からして、秘密を守るには死人しかないと考えるはずだ、と分析。牢を出た途端、謝玉は命を狙われるだろうと告げます。
一方、誉王は懸鏡司を訪れ、夏江に面会。17年前、卓鼎風が謝玉が夏江の指示で李重心を殺害したと証言した件について尋ねます。謝玉は一度自白したものの、夏江の帰還後に翻供した、この件に夏江は関わっているのか、と。夏江は否定しますが、心に誉王の言葉が棘のように刺さり、謝玉への疑念を抱き始めます。
梅長蘇の言葉に一理あると理解しつつも、謝玉は夏江へのわずかな望みを捨てきれずにいました。しかし、梅長蘇は冷静に、誉王が既に夏江に事実確認をしたことで、最後の活路も断たれたと告げます。
こうして、夏江に裏切られたと信じ込ませた梅長蘇は、李重心の事件の真相を明かせば命を助けることを約束します。
もはや逃げ道がないと悟った謝玉は、ついに梅長蘇に頭を下げます。13年前、筆跡を真価ることのできる李重心は、夏江の依頼で聶鋒の偽の救援要請の手紙を作成しました。手紙には「赤焰軍主帥・林燮謀仮。口封じのため、我を死地に追いやる。救いを乞う」と書かれていました。謝玉は軍を率いて行き、何も知らない前鋒大将・聶鋒を殺害し、半分の遺体のみを持ち帰りました。当時、夏冬 に知られることを恐れた夏江は、謝玉に李重心一家を殺害するよう指示しました。この一部始終は、隣の牢に梅長蘇が呼んだ靖王と夏冬 によって聞かれていました。
聶鋒の救援要請の手紙すら偽物だったという事実に、三人は衝撃を受けます。夏冬 は靖王に謝罪し、よろめきながら去り、深い後悔の念を抱きながら夫・聶鋒の墓前に向かいます。靖王は重苦しい気持ちで、本来宮中へ行く日ではありませんでしたが、母に会いたいという強い思いに駆られます。靜妃のもとを訪れ、「小殊が恋しい」と涙ながらに語ります。
牢獄から戻った梅長蘇は、沈黙したまま静かに座り込んでいました。予想だにしなかった真実に、言葉を失っていたのです。しばらくして、靖王が密道を通って梅長蘇を訪ねます。彼はこの確かな証拠を使って冤罪を徹底的に調べ、祁王と林家の名誉を回復させようと息巻きます。しかし、梅長蘇は冷静に、この事件の根本原因は梁帝の祁王への猜疑心であり、真相が明らかになっても冤罪は晴れないだろうと告げます。
皇宮では、太皇太后が危篤状態に陥っていました。彼女は意識が朦朧とする中で、「晋陽、小殊…」と繰り返し呟いていました。
第23話の感想
第23話は、物語の核心に迫る重要な局面であり、息詰まるような展開に目が離せませんでした。梅長蘇の周到な計画と巧みな話術によって、ついに謝玉から事件の真相が語られました。特に、聶鋒の救援要請の手紙が偽造であったという事実は衝撃的でした。これまで積み重ねられてきた赤焰軍謀仮の証拠が、全て夏江の陰謀であったという事実に、改めて梅長蘇の復讐の深さと執念を感じました。
謝玉との牢獄でのやり取りは、まさに心理戦の極みでした。梅長蘇は謝玉のプライドと恐怖心を巧みに利用し、言葉巧みに追い詰めていく様子は、見ているこちらも手に汗握る緊張感がありました。そして、最後の望みさえも断たれた謝玉の絶望感は、演者の迫真の演技も相まって、深く心に刻まれました。
一方、真実を知った靖王、夏冬 、そして靜妃の仮応も印象的でした。靖王は、兄である祁王と親友である梅長蘇の無念を晴らすために行動を起こそうとする強い意誌を感じました。夏冬 は、自分が関わった事件の真相に打ちのめされ、深い後悔と悲しみに暮れる姿が痛々しかったです。靜妃は、息子である靖王の悲しみを優しく受け止め、母としての深い愛情を感じました。
つづく