あらすじ
第二十七話は、梁帝が喪期中に酒宴に興じる太子に激怒する場面から始まります。太子が帝に対して不敬な言葉を口にしたことで、梁帝の怒りは頂点に達し、剣を抜かんばかりの勢いでしたが、高湛の諫言により事なきを得ました。その後、梁帝は東宮を封鎖し、この一件を外部に漏らすことを固く禁じました。
蒙摯と靖王はこの東宮の異変について話し合い、梅長蘇は警戒を強め、防御を固めるよう助言しました。また、大きな誤解を招く事態を未然に防いだ高湛に対し、感謝の意を表しました。
一方誉王は、太子の失態をどのように利用するか思案していましたが、まずは情勢を見極めてから行動に移すことにしました。
皇后は中秋節の宴席で梁帝の太子に対する冷淡な態度を確認しました。靖王は靜妃から「翔地記」を受け取り、その中で梅長蘇に関する秘密の一端に触れ、物語はさらに複雑な様相を呈していきます。
ネタバレ
梁帝は予告なしに東宮を訪れ、喪中にも関わらず宴が開かれているのを目撃した。音楽と笑い声が響き渡る中、太子が皇帝の無徳を非難する声を耳にした梁帝は激怒し、剣を抜こうとするも高湛に阻まれた。深く失望した梁帝は東宮の封鎖を命じ、この一件を外部に漏らさないよう厳命した。蒙摯は口頭での命令では不十分と考え、正式な勅命を出すよう進言したが、梁帝は取り合わずに立ち去った。
蒙摯は靖王と共に秘密の通路でこの事態を話し合った。その時、梅長蘇は誉王と会談中だったため、飛流を通して二人に待つように伝えた。飛流は誉王を「毒蛇」と呼んでいることを靖王に明かし、靖王自身は「水牛」と呼ばれていることを告げた。この「水牛」という呼び名は、かつて梅長蘇が靖王につけたあだ名だったため、靖王は動揺を隠せない。梅長蘇が現れると、靖王は飛流の失言を霓凰のせいにしてその場を取り繕った。
宮廷では騒ぎが起こり、皇后が事態の収拾に当たっていた。梁帝は芷蘿宮で靜妃に今日の自分の優柔不断さを嘆いたが、靜妃は太子の廃位をためらう梁帝の心情を察し、父としての慈悲であると慰めた。靜妃の温かい言葉に梁帝は安らぎを感じた。
梅長蘇は蒙摯から東宮封鎖の経緯を聞き、梁帝はまだ太子を廃する意思はないと分析。巡防営と東宮の警備強化を指示した。蒙摯は高湛が正式な勅命を阻んだことを不満に思ったが、梅長蘇は高湛のおかげで靖王が誉王派と疑われずに済んだと説明した。そして、今は静観するよう靖王に忠告した。
梅長蘇の指示で靖王に『翔地記』を借りるよう頼まれた蒙摯は、その本が靜妃の元に有ることを知り驚いた。蒙摯が去った後、靖王は考え込んだ。
一方、誉王も側近を集めて対策を練っていた。太子失脚の好機を逃すべきではないが、軽率な行動は禁物だと考え、まずは東宮封鎖の真意と朝廷の動向を探ることとした。
皇后は中秋の宴を利用して梁帝の真意を探り、太子廃位の決意を確信して喜んだ。靖王は芷蘿宮を訪れ、靜妃に『翔地記』を借り受けた。靜妃は本を手放すのを惜しみ、注釈が梅長蘇によるものかと尋ねた。靖王は肯定したが、心の中ではさらに疑問を深めた。
第27話の感想
第27話は、太子の一時の失脚によって宮廷内に緊張が走る様子を描いた、静かながらも不穏な空気が漂うエピソードでした。梁帝の怒り、皇后の喜び、誉王の思惑、そして靜妃の優しさなど、様々な感情が交錯し、今後の展開への期待感を高めます。
特に印象的なのは、梁帝の複雑な心情です。太子への怒りを感じながらも、すぐには廃位に踏み切れない葛藤が見て取れます。靜妃の言葉に安らぎを見出すシーンは、彼の孤独と脆さを浮き彫りにしています。
一方、誉王は冷静に状況を分析し、慎重な姿勢を崩しません。一見有利な状況にも関わらず、焦らず情報収集に徹する様子は、彼の老獪さを物語っています。
そして、梅長蘇は今回も冷静沈著に事態を操っています。飛流の失言による靖王の動揺を巧みに収拾する一方で、蒙摯への指示を通して事態の収束を図るなど、その知略は健在です。
つづく