あらすじ
第二十八話は、靖王の親王冊封により、朝廷の勢力図が塗り替えられ、誉王の不満が高まる様子を描いています。靜妃は蘇先生こそ梅長蘇であると気づき、靖王に彼を大切にするよう告げます。靖王は「翔地記」に疑念を抱くものの、その謎を解き明かすことはできません。誉王は梅長蘇の策に疑問を抱きますが、梅長蘇は巧みに彼を宥めます。一方、四姐は童路に近づき、美人計を実行に移します。朝廷では、誉王と靖王が災害救済をめぐり対立し、最終的に誉王が自ら義捐金を申し出る一方、靖王は財力不足のため救済の主導権を握ることができませんでした。靖王は梅長蘇に助けを求め、梅長蘇は誉王が窮地に陥ることを暗示します。
ネタバレ
靜妃は蘇先生こそ梅長蘇だと確信し、靖王に蘇先生は誠実な人だから他の誰よりも厚く遇し、支え合う情誼を忘れるなと厳しく言い聞かせました。そして、わざわざお菓子を二つ用意し、靖王に蘇先生に届けるよう命じました。いくつもの疑問点から靖王は「翔地記」に何かあると気づき、繰り返し調べますが手がかりが見つからず、困惑します。
靖王は親王に封じられ、五珠冠を授かりました。誉王との差はわずか二珠となり、朝廷の勢力図に変化が生じ、誉王は苛立ちを隠せません。梅長蘇は靖王の昇進は良いことだと誉王を欺き続け、太子が廃されるのも間近で、皇帝は新たな均衡状態を必要としていると説明します。誉王は10年もかけて太子を倒したのに、何も得られず、今度は靖王と争わなければならないのかと焦燥感をあらわにします。梅長蘇は靖王は太子とは比べ物にならないと慰めますが、誉王は重苦しい気持ちで蘇宅を後にします。梅長蘇はもはや誉王を騙し続けられないことを悟り、警戒を強めます。
秦般弱は優しく接することで童路に近づき、彼をすっかり夢中にさせ、まんまと罠にはめてしまいます。
靖王は親王に封じられた後、母妃に用心するように忠告します。宮中では靖王は誉王に劣らず、むしろ勝る点もあるという噂が広まり、皇后は激怒し、誉王も梅長蘇を疑い始めます。
朝廷では、誉王と靖王の争いが本格化します。靖王は政務に励み、寝る間も惜しんで勉強し、急速に成長します。ある日、沈追が靖王府を訪れ、今年は五つの州が幹魃と蝗害に見舞われ、収穫が全くないことを報告します。以前は、太子と誉王が救済事業の責任者を争っていましたが、彼らの目的は民衆を救うことではなく、救済金を私腹を肥やすことでした。彼らが救済事業を行った後、被災地では餓死者があふれ、暴動が頻発しました。なぜなら、被災民の手に渡る救済金は3割にも満たなかったからです。沈追は被災民を救うため、靖王に今回の救済事業の責任者を務めるよう懇願します。
翌日、誉王と靖王は皇帝の前で救済事業の責任者を巡って激しく争います。誉王は仕方なく、自分の財産を先に寄付して民衆を安心させようと提案します。清廉潔白な靖王にはそれだけの財産がなく、太刀打ちできず、救済事業は誉王の手に渡ります。
宮廷を出た後、沈追は誉王に雷が落ちてほしいと靖王に憤慨します。靖王は蘇府を訪れ、自分の無力さを嘆き、落胆します。沈追の言葉を梅長蘇に伝えると、梅長蘇は「雷はもうすぐ落ちる」と意味深長に言います。
第28話の感想
第28話は、靖王と誉王の対立が本格化し、物語が新たな局面を迎えた重要な回でした。梅長蘇の策略によって、これまで優位に立っていた誉王が徐々に追い詰められていく様子が手に取るように分かり、今後の展開への期待が高まります。
特に印象的だったのは、誉王の焦燥感です。10年もの歳月をかけて太子を陥れたにも関わらず、今度は靖王という新たなライバルが現れ、その焦りは頂点に達しています。梅長蘇の言葉にももはや安心できず、疑いの目を向け始めるシーンは、二人の関係に亀裂が生じ始めたことを象徴していると言えるでしょう。
一方、靖王は親王に封じられ、著実に力をつけていきます。しかし、清廉潔白であるが故に、財力では誉王に及ばず、赈災事業を奪われてしまう場面は、彼の苦悩を改めて浮き彫りにしました。民を救いたいという純粋な思いと、現実の壁に阻まれる無力感との葛藤が胸を締め付けます。
つづく