あらすじ
第32話は、衛崢が京城へ護送される過程と、それに伴う一連の出来事を描いています。懸鏡司は、護送車を襲撃から守るため、万全の体制を整えていました。梁帝は皇后が靜妃に取った不適切な行動に激怒しますが、靜妃のとりなしにより、これ以上咎め立てないことにしました。
金陵西門に護送車が近づいた時、甄平と黎綱率いる江左盟の面々が奪還を試みますが、懸鏡司の強大な勢力の前に阻まれ、多くの犠牲を出して失敗に終わります。梅長蘇はこの知らせを受け、廊州の旧部に対し、目立った行動を慎むよう指示を出します。時を同じくして、薬王谷の素谷主も救出計画に加わるため金陵へ向かいます。
一方、誉王と夏江は梁帝の前で衛崢の件を利用し、靖王を挑発します。これに靖王は祁王と林帥への想いを口にしてしまい、梁帝の怒りを買います。その後、靖王が靜妃を見舞った際、小新の何気ない一言から、梅長蘇が靜妃の救出を止めていた事実を知り、梅長蘇への不信感を募らせます。
ネタバレ
衛崢護送の囚人車が都に近づき、懸鏡司は厳戒態勢を取り、襲撃者を一網打尽にする構えを見せていた。
梁帝は帰宮後、皇后を叱責した。皇后は医療の知識がないため、陛下の体をお気遣いした結果、靜妃を厳しく問い詰めたのだと弁明した。靜妃は皇后の真意を見抜いた梁帝に許しを請い、梁帝もこれ以上追及しないことにした。
甄平と黎綱は梅長蘇に知らせず、飛流と江左盟の高手たちを率いて金陵西門で待ち伏せ、衛崢奪還を企てた。囚人車が近づくと激しい戦闘が始まった。懸鏡司の高手に苦戦を強いられ、江左盟は大きな損害を出し、撤退を余儀なくされた。甄平は負傷して逃走し、偶然通りかかった豫津に助けられ、蘇宅へ逃げ帰った。懸鏡司牢獄は難攻不落であり、衛崢救出はさらに困難になることを彼らは悟った。
宸妃の夢に毎夜うなされる梁帝は不安に苛まれていた。心の平安を求め、靜妃に宸妃の位牌を密かに作らせ、未練を断ち切り、成仏するようにと祈らせた。
夏秋は夏江に牢獄の警備強化を提案したが、夏江は通常通りでよいと答えた。衛崢は救出しに来る者を誘き寄せるための「餌」だと考えていたからだ。
薬王穀の素穀主は急ぎ金陵に到著し、黎綱、甄平らと衛崢救出計画を協議した。目を覚ました梅長蘇は飛流からこのことを聞き、廊州の旧部下たちに静観するように命じた。
靖王が都に戻ると、列戦英は入宮前に衛崢のことを報告しようとしたが、誉王に遮られ、靖王と共に宮中へ連れて行かれてしまい、機会を逸した。
梁帝の前で、誉王と夏江は示し合わせて衛崢のことを持ち出し、靖王を挑発した。仮論の中で、靖王は祁王と林帥への尊敬と追慕の念を露わにし、それが梁帝の逆鱗に触れ、激怒させてしまった。
靖王は芷蘿宮で靜妃を見舞った。帰ろうとした時、小新が靜妃が侮辱されたことに憤慨し、梅長蘇が苦肉計を用い、わざと人を遣って靜妃への救援を阻止したことを暴露した。靜妃は異変に気付き弁明したが、靖王の怒りは収まらなかった。
第32話の感想
第32話は、登場人物たちの思惑が複雑に絡み合い、緊張感が高まるエピソードでした。特に、衛崢奪還をめぐる攻防は手に汗握る展開です。梅長蘇の緻密な計画も、懸鏡司の鉄壁の守備と夏江の老獪さの前に阻まれ、江左盟は大きな痛手を負います。甄平の負傷、そして豫津の機転による救出劇は、味方同士の強い絆を感じさせると同時に、今後の苦戦を予感させます。
梁帝と皇后、靜妃の宮廷内の駆け引きも緊迫感があります。皇后の保身のための行動が、靜妃を窮地に追い込みますが、靜妃の冷静な対応と梁帝の洞察力によって事態は収束します。しかし、宸妃への想いに囚われる梁帝の姿は、彼の精神的な脆さを露呈しているようにも見えます。
つづく