あらすじ

第36話は、火薬事件をきっかけに言闕と夏江かこうが激しく対立する様子を描いています。言闕は夏江かこうを情け容赦のない冷酷な男だと非難し、巧妙な計略で夏江かこうに疑念を抱かせ、まんまとその場を逃れます。騙されたことに気づいた夏江かこうは急いで懸鏡司に戻りますが、牢獄の様子がおかしいことに気づき、靖王せいおうが策略を用いて衛崢えいそうを救出したのではないかと疑念を抱きます。夏江かこう夏春かしゅんと共に大理寺だいりじへ急ぎますが、既に靖王せいおうの計略にはまっており、結局衛崢えいそうは救出されてしまいます。この知らせを聞いた靖王せいおうは喜びながらも、気を緩めることなく、今後の展開に備えます。

一方、夏江かこう梁帝りょうてい衛崢えいそう奪還の報告をし、梁帝りょうてい靖王せいおうに疑いの目を向け、彼を宮中に呼び出して尋問します。靖王せいおうは冷静沈着な態度を崩さず、逆に夏江かこうを窮地に追い込みます。また、宮羽きゅううの計らいで紀王は偶然にも夏冬かとう衛崢えいそうを移送する場面を目撃します。

最後に、皇后が靜妃しずひに謀反の兆候があると報告し、梁帝りょうていは激怒します。

ネタバレ

火薬の件で激怒した言闕は夏江かこうを問い詰めた。夏冬かとう の安否を気遣う言闕に対し、夏江かこうは彼女を仮逆者と切り捨て、冷酷な態度を示す。夏春かしゅん夏冬かとう を庇うも、夏江かこうの心は動かない。言闕は情義を重んじるべきだと夏江かこうを非難するが、夏江かこうは逆に言闕が情に縛られていると嘲笑う。言闕はこれ以上夏江かこうといるのは耐えられないと言い残し、立ち去った。「可以」という言闕の言葉に不審を抱いた夏江かこうは、外に出て馬が盗まれていることに気づき、計略にはめられたと悟り、夏春かしゅんと共に急いで都へ戻る。

懸鏡司に戻った夏江かこうは、留守番の部下から妙な賊の行動を報告される。賊は牢獄の前まで来たものの、中に入らずに引き返したというのだ。夏江かこうはこれまでの出来事を振り返り、靖王せいおう衛崢えいそうの監禁場所を突き止め、陽動作戦を用いて衛崢えいそうを救出したのだと推測する。驚愕した夏江かこうは、夏春かしゅんと共に大理寺だいりじへと急行する。しかし、牢獄は何事もなく、夏江かこうは敵の罠にはまり、自分が案内役をさせられたことに気づくが、既に遅かった。甄平しんへいたちに尾行されていた夏江かこうは、多勢に無勢で、飛流ひりゅうらによって衛崢えいそうは救出されてしまう。

衛崢えいそうの救出を知った靖王せいおうは喜ぶが、梅長蘇ばいちょうそは冷静に次の戦いに備えるよう忠告し、この件への関与を一切否定するよう指示する。

宮中では、誉王よおうが「梁聖」と刻まれた珍しい石を梁帝りょうていに献上し、臣下たちはこぞって梁帝りょうていを称賛する。上機嫌の梁帝りょうていの前に、夏江かこうが慌てて現れ、衛崢えいそう奪還の報告をする。懸鏡司から囚人を奪われるという事態に梁帝りょうていは激怒し、靖王せいおうの関与を疑い、彼を呼び出す。

一方、豫津よしんに誘われた紀王は、宮羽きゅううの演奏を楽しんでいた。宮羽きゅううは部屋の空気が悪いと言い訳をして窓を開けると、何も知らない紀王は窓辺に行き、路地で重傷の囚人を馬車に乗せる夏冬かとう の姿を目撃し、その囚人の顔をはっきりと見てしまう。

梁帝りょうてい靖王せいおうを問い詰めるが、靖王せいおうはしらを切り、夏江かこうとの対質を求める。誉王よおう夏江かこう靖王せいおうを追及するが、靖王せいおうは冷静に仮論し、逆に夏江かこう衛崢えいそう大理寺だいりじに移した理由を説明できない。その時、皇后からの使者が到著し、靜妃しずひの謀仮を告げる。激怒した梁帝りょうてい靖王せいおうを蹴り倒す。

第36話の感想

第36話は、手に汗握る展開で、息つく暇もないほどでした。言闕と夏江かこうの対峙シーンは、二人の対照的な性格が際立ち、緊迫感がありました。言闕の情義を重んじる姿勢と、夏江かこうの冷酷非情な態度は、まさに水と油のよう。言闕の言葉は正論でありながら、どこか儚く、夏江かこうの言葉は冷酷でありながら、どこか現実的。二人のやり取りは、まるで異なる価値観のぶつかり合いを見ているようで、考えさせられました。

そして、衛崢えいそう奪還作戦の巧妙さ!声東撃西、敵の心理を読み切った完璧な作戦でした。梅長蘇ばいちょうその知略、飛流ひりゅうの武術、そして甄平しんへいたちの連携プレー、どれをとっても完璧でした。特に、夏江かこうがまんまと罠にハマっていく様は、見ていて痛快でした。夏江かこうの焦りと絶望が伝わってきて、思わず「ざまあみろ」と言いたくなりました。

つづく