あらすじ
第37話は、皇后が靜妃が宸妃の位牌を密かに祀っていることを梁帝に告げ口したことから始まります。激怒した梁帝でしたが、靜妃が一切弁明せず、ひたすら己を思いやる様に心を鎮め、靜妃の気持ちを汲み取ります。怒りの矛先を告げ口の小新へと向け、死罪を命じますが、靜妃は自ら小新を処分したいと申し出ます。
その後、大殿にて、夏江の詰問に対し靖王は冷静沈着に対応しますが、誉王が靖王と赤焰軍との関係に触れた途端、梁帝の機嫌は損なわれます。この機に乗じ、夏江は梅長蘇の取り調べを願い出ます。靖王は必死に阻もうとしますが叶わず、梁帝は靖王に宮への謹慎と巡防営の権限剥奪を命じます。梅長蘇はこの事態を予期しており、既に策を講じていました。
一方、靜妃は小新を問い詰め、そのスパイとしての正体と真の目的を暴きます。靖王は梅長蘇が捕らえられたと知り、行動を起こそうとしますが、列戦英に諫められます。
最後に、懸鏡司にて夏江が梅長蘇を取り調べますが、梅長蘇は巧みに対応し、協力的な姿勢を見せながらも、夏江に疑念を抱かせます。
ネタバレ
激怒した梁帝は芷蘿宮へ行き、皇后から得意げに事の顛末を聞かされました。靜妃が宸妃の位牌を密かに祀っていたことが発覚したというのです。これは梁帝自身の手配で、彼と靜妃だけが知る秘密でした。殿中で跪き、弁明しない靜妃の姿に、梁帝は彼女の配慮を感じ、少し気持ちが落ち著きました。靜妃の怒りを鎮めるため、梁帝は主君を裏切った小新を処刑するように命じますが、靜妃は自ら処置したいと願い出て、梁帝はそれを許可します。梁帝は事を穏便に済ませたかったのですが、皇后はしつこく食い下がり、理詰めで迫るので、仕方なく靜妃に形だけの罰を与えました。皇后的理解を超える出来事でした。
靜妃の賢明さのおかげで冷静さを取り戻した梁帝は大殿に戻り、靖王に発言を促します。夏江の厳しい尋問にも、靖王は淀みなく答えます。形勢不利と見た誉王は、靖王と赤焰軍のかつての関係を持ち出し、梁帝の不満を煽ります。夏江はすかさず梅長蘇の取り調べを願い出ます。靖王は驚き、必死に止めようとしますが、感情が露わになり、梁帝の疑念を再び招いてしまいます。梁帝は夏江の願いを聞き入れ、靖王に宮殿での謹慎と巡防営の管轄権を兵部に一時的に委ねるよう命じます。
梅長蘇は自分が巻き込まれることを予期しており、事前に次の手を用意し、命を守る薬を飲んで静かに屋敷で待っていました。
梁帝が去った後、靜妃はすぐに小新を尋問します。小新は靜妃が自分のスパイとしての正体を見抜いており、宸妃の位牌を見つけさせたのは、自分の推測を裏付けるためだったと悟ります。実は、靜妃は靖王の前で小新が自分の境遇を訴えて泣いた時から不審に思い、小金子の突然の死で確信を得ていました。靜妃が小新を助けたのは、靖王に真実を伝えさせ、靖王と梅長蘇のわだかまりを解くためでした。
謹慎中の靖王は、夏江が梅長蘇を連れ去ったと聞き、焦燥し、懸鏡司へ行って梅長蘇を助け出そうとします。列戦英は彼を止め、蘇先生の忠告を忘れるな、軽挙妄動するなと諭します。
懸鏡司では、夏江が梅長蘇を取り調べ、どんな屈強な男でも耐えられない懸鏡司の非道な手段で脅します。梅長蘇は少し考えた後、夏江に自白すると告げます。彼は靖王と以前から結託しており、劫獄事件は靖王が首謀者で、自分は計画者だと認めます。あまりにもあっさりとした自白に、夏江は梅長蘇が謁見の際に翻すのではないかと疑います。彼は考えを巡らせ、続けて衛崢の行方を追及します。
第37話の感想
第37話は、靜妃の知性と冷静さが際立つエピソードでした。彼女は梁帝の怒りを鎮め、小新を利用して靖王との誤解を解こうとするなど、まさに「静」の名に負けない賢明さを見せつけます。一見おとなしく控えめな彼女ですが、内には強い意誌と深い愛情を秘めており、その聡明さが物語を大きく動かしていると感じました。
一方、皇后は靜妃への嫉妬から、梁帝を焚き付け事態を悪化させてしまいます。彼女の焦りと猜疑心は、靜妃の冷静さとは対照的で、その対比が印象的でした。また、誉王もまた、靖王を陥れるために過去の出来事を持ち出し、梁帝の怒りに油を注ぎます。彼の狡猾さと保身のための行動は、見ていて不快感を覚えるほどでした。
つづく