あらすじ
第38話は、梅長蘇が衛峥を守るため、巧妙に夏江を欺き、衛峥が夏春夫人の衣装箱を使って都から逃亡したと思い込ませる様子を描いています。同時に、豫津は紀王に衛峥の指名手配書を見せ、以前夏冬 が移送していた罪人が衛峥だと暗示します。紀王はこの一件を梁帝に報告することを決意します。一方、梅長蘇は夏江の拷問と脅迫に冷静に対処し、夏江が皇位継承争いに介入し靖王を陥れた陰謀を暴露します。そして、祁王が懸鏡司の廃止を考えていたため、夏江が祁王と赤焰軍を陥れた事実を指摘します。怒りに逆上した夏江は、梅長蘇に烏金丸を無理やり飲ませ、夏冬 の懇願も拒絶します。最後は蒙摯が駆けつけ、夏冬 を救出します。この回は、梅長蘇の知略と勇気を鮮やかに描き出すだけでなく、夏江の陰険な本性と靖王への敵意も明らかにしています。
ネタバレ
梅長蘇は衛崢が既に都から逃亡したと夏江に告げるも、夏江は都の警備の厳重さを理由に信じようとしない。衛崢を守るため、梅長蘇は夏春夫人の荷物に紛れて脱出したと説明し、夏江は自身の見落としに気付き、その言葉を信じる。
一方、豫津は紀王府を訪れ、衛崢の捜査令を見せる。豫津の闇示により、紀王は路地で夏冬 が護送していたのが衛崢だと気付く。靖王の苦境を思い、梁帝に目撃した事実を伝えるべきだと考え、甄平は紀王の後をつけて宮中に入り、蒙摯に準備を促す。
夏江は梅長蘇を拷問するが、梅長蘇は冷や汗をかきながらも顔色を変えない。夏江は天下第一の幇の宗主である梅長蘇がなぜ朝廷の争いに介入し、靖王を選んだのか、その真意を問いただす。梅長蘇は冷静に答えるが、夏江は彼の態度に業を煮やし、烏金丸という毒薬を出し、解毒剤を飲まなければ七日で死ぬと脅し、真実を吐かせようとする。さらに、梁帝に尋問された際に余計なことを言えば、痕跡を残さず瞬時に殺すと警告し、畏罪自殺に見せかけると脅迫する。
紀王は梁帝に目撃した事実を伝え、梁帝は事の奇妙さに気付く。すぐに蒙摯を呼び、夏江に知られることなく懸鏡司から夏冬 を連れてくるよう命じる。
懸鏡司では、梅長蘇は攻勢に転じ、夏江に懸鏡司が党争に関わる理由、靖王を陥れようとする理由を問いただす。夏江は言い訳に窮する。梅長蘇は夏江が靖王を恐れているのは、かつて祁王を恐れたのと同じだと指摘する。祁王が懸鏡司の廃止を主張したため、夏江は祁王と七万の赤焰軍を梅嶺で冤罪に陥れたのだと。核心を突かれ、夏江は激怒し、梅長蘇が祁王の旧臣かと問う。梅長蘇は祁王を敬慕する者だと答える。夏江は梅長蘇を殴り倒し、烏金丸を飲ませる。全ては隠れていた夏冬 によって目撃されていた。夏冬 は涙ながらに夏江に解毒剤を出すよう、改心するよう懇願するが、夏江は聞き入れず、夏冬 を監禁するよう命じる。その時、蒙摯が到著し、夏冬 を連れ去る。
第38話の感想
第38話は、息詰まる心理戦と緊迫の展開が続く、非常にスリリングなエピソードでした。梅長蘇と夏江の対峙は、まさに知略と胆力のぶつかり合い。拷問を受けながらも冷静さを失わない梅長蘇の知性と精神力は、改めて彼の凄みを感じさせます。一方で、追い詰められた夏江の焦りと猜疑心も生々しく描かれ、悪役ながらその人間性も垣間見えました。
特に印象的なのは、梅長蘇が夏江の核心を突くシーンです。「靖王を恐れているのは、かつて祁王を恐れたのと同じ」という言葉は、夏江の闇に深く突き刺さり、視聴者にも大きな衝撃を与えました。過去の罪を突きつけられた夏江の狼狽ぶりは、彼の悪行の深さを物語っています。
また、紀王の機転と行動力も重要な役割を果たしました。豫津のさりげないヒントを理解し、梁帝に真実を伝える決断をしたことで、物語は大きく動き出します。一見頼りなく見える紀王ですが、ここぞという時の判断力と勇気は、彼の隠れた魅力と言えるでしょう。
つづく