あらすじ

第四十一話は、梅長蘇ばいちょうそが懸鏡司の苛烈な尋問に耐え抜いた後、すぐさま童路とうろの状況を案じる様子を描いています。

一方、宮廷内では権力争いが続いており、言皇后は靜妃しずひ恵妃けいひへの嫌がらせを続けていました。しかし、靜妃しずひの寛容さと知恵は梁帝りょうていの敬意と支持を勝ち取り、ついに梁帝りょうてい靜妃しずひの位を上げ、恵妃けいひを助けるように命じます。

懸鏡司での尋問では、蒙摯もうし夏江かこうの心理的な防線を徐々に崩し、夏江かこうは自らの敗北を悟り始めます。これらの出来事により、梁帝りょうてい夏江かこう誉王よおうへの信頼を失い、靖王せいおうを重んじるようになり、梅長蘇ばいちょうそに学ぶよう促します。

誉王よおうは権力の喪失から失意のどん底に陥り、妻の秦般弱しんはんじゃく璇璣せんき公主が残した錦囊を開けることで打開策を探ろうとします。

ネタバレ

梅長蘇ばいちょうそは懸鏡司の苛烈な拷問を耐え抜き、九死に一生を得る。病み上がりにも関わらず、甄平しんへいに捕らえられた童路とうろの監視を厳重にするよう指示を出す。言皇后は靜妃しずひ恵妃けいひに執拗に嫌がらせをし、恵妃けいひには到底不可能な期限で二部の経典の書写を命じる。靜妃しずひが手伝おうとすると、言皇后は彼女の低い身分を公然と侮辱する。

梁帝りょうてい靜妃しずひを慰め、位を上げようとするが、靜妃しずひ梁帝りょうてい恵妃けいひへの嫌がらせをやめるよう言皇后を諭すように進言する。梁帝りょうてい靜妃しずひの賢淑さをますます認め、恵妃けいひの息子である景庭けいていに懸鏡司の事件の審理を任せることに決める。

懸鏡司の牢獄では、蒙摯もうし夏江かこうを徐々に追い詰め、彼の心の防壁を崩していく。夏江かこうは切り札を全て失い、もはやこれまでと悟る。懸鏡司の事件を経て、梁帝りょうてい夏江かこうへの信頼を完全に失い、誉王よおうにも不満を抱くようになる。逆に靖王せいおうへの評価は高まり、長らく遠ざかっていた朝廷の仕事に早く慣れるよう、梅長蘇ばいちょうそに教えを乞うて交流を深めるようにと助言するが、靖王せいおう梁帝りょうていの前では無知を装う。

宮廷の外では、誉王よおうは双珠親王へと降格させられる。宮廷内では、太子を失った越妃えっぴも二品賢妃けんひへと降格となり、靜妃しずひは貴妃へと昇格する。靖王せいおうは蘇宅へ向かう途中、穆青ぼくせいに偶然出会う。穆青ぼくせいの言葉の端々に見え隠れする不自然さに、靖王せいおう梅長蘇ばいちょうそがすでに衛崢えいそうを見つけ出し、穆王府に匿っているのではないかという疑いを深める。

誉王よおう府では、秦般弱しんはんじゃく誉王よおうに再び立ち上がるよう説得するが、幽閉された誉王よおうはすっかり意気消沈し、もはや権力争いには関わりたくないと言う。秦般弱しんはんじゃくは変装して牢獄に潜入する。誉王よおうの落魄ぶりを聞いた夏江かこうは諦めきれず、般弱の師である璇璣せんき公主が残した錦囊のことを思い出し、般弱に錦囊を開けるように言う。

第41話の感想

第41話は、梅長蘇ばいちょうその知略と靜妃しずひの賢さが光る一方で、誉王よおう夏江かこうの没落が際立つエピソードでした。梅長蘇ばいちょうそは懸鏡司の拷問を耐え抜き、すぐさま童路とうろの件で指示を出すなど、常に冷静沈著で先を見拠えている様子が描かれています。彼の周到な計画性と強い精神力は、まさに麒麟の才子と呼ぶにふさわしいでしょう。

一方、靜妃しずひは言皇后の嫌がらせにも動じず、むしろ恵妃けいひを気遣う優しさを見せました。梁帝りょうていの前では謙虚さを保ちながらも、的確な進言をすることで、自らの地位を高めると同時に、恵妃けいひとその息子である景庭けいていをも救うという、見事な立ち回りを見せました。彼女の賢明さと慈愛に満ちた態度は、梁帝りょうていの心を掴み、物語の今後の展開にも大きな影響を与えそうです。

対照的に、誉王よおうは太子を廃され、自身も双珠親王へと降格。失意のどん底に突き落とされ、権力闘争への意欲を失ってしまいました。これまで野心を燃やし、策謀を巡らせてきた彼ですが、今回の敗北はあまりにも大きかったようです。夏江かこうもまた、梁帝りょうていの信頼を失い、窮地に立たされています。二人の没落は、梅長蘇ばいちょうその策略の巧みさを改めて示すと同時に、権力争いの残酷さを物語っています。

つづく