あらすじ
第10話は、葉兮と白岳の複雑に絡み合った感情の葛藤を描いています。物語は三年前に遡ります。雪の中、白岳は葉兮を埋葬しますが、彼女は実際には死んでいませんでした。
現在に戻り、白岳は誤解から葉兮の元を去ります。灰叔は葉兮に白岳の心情を理解させようと試みます。葉兮は白岳の世話を焼くことで彼に近づこうとしますが、二人の間の誤解は深まるばかりです。
白岳は葉兮にまつわる謎を解き、唐桓を治療するため、自ら薬を試した結果、体調を崩してしまいます。真実を知った葉兮は、白岳への想いと唐桓を救う責任の間で葛藤します。
そして、白岳から感情に応えることはできないと告げられた葉兮は、唐桓と共に楓華谷を去ることを決意します。しかし、この決断の裏には、呪いによって葉兮から離れざるを得ない白岳の苦しい秘密が隠されていたのでした。
ネタバレ
三年前の雪の降りしきる乱葬崗で、白岳は葉兮を埋葬した。白い布で顔を覆い、静かに土に還した。
密室にて、白岳は葉兮に唐桓を信じた理由を問いただした。葉兮は唐桓を信じてなどいない、ただ傍にいてくれる人が欲しいだけだと答えた。白岳は苛立ち、盤上の碁石をひっくり返し、部屋を出て行った。灰叔は葉兮に、白岳は孤独な人間で、多くのことを一人で抱え込んでいること、そして目に見えるものが全てではないことを諭した。それでも白岳に嫌われていると思い込む葉兮に、灰叔は白岳が唐門を訪れた真意をゆっくり考えるように促した。
翌朝、葉兮は白岳に杵と臼を手渡した。白岳は、葉兮が楓華穀に一年間滞在することを条件に、唐桓の治療を約束した。医者としての好奇心から、葉兮の謎を解き明かしたいとも言った。葉兮はそれを受け入れた。
白岳が薬を煎じている間、葉兮は外で薬を搗いていた。白岳が忙しそうにしているのを見て、こっそりと読み物を取り出した。白岳は煎じ上がった薬を一口飲んで苦しみ、同時に葉兮も激しい頭痛に襲われた。白岳は血を吐き、駆け寄った葉兮は彼を支えながら自分の頭痛を訴えた。灰叔は急いで白岳に薬を与えた。葉兮も薬を飲んで気を失い、白岳は灰叔に葉兮を部屋に運ぶように指示した。
葉兮が目を覚ますと、灰叔は白岳に薬を飲ませていた。灰叔から、白岳が唐桓の毒を解くための九転回魂丹を調合するために、自ら人体実験をしていることを聞かされた。葉兮の動揺ぶりを見て、灰叔は唐桓と白岳、どちらが大切なのかと尋ねた。葉兮は言葉を失った。その後、葉兮は白岳のために粥を作り、彼に食べさせた。しかし白岳は胸を押さえて苦しみ出し、部屋を出て行った。
目を覚ました唐桓は葉兮に穀主の素顔について尋ねた。葉兮は穀主が神医・白岳であることを明かした。唐桓は楓華穀への入り方や穀主の条件を詳しく聞かせた。葉兮は白岳の条件を伝えると、唐桓は唐門に戻って結婚してから楓華穀に戻ればいいと言った。葉兮は躊躇し、回復してから考えようと答えてその場を去った。
夜、葉兮は白岳の部屋を訪ね、唐桓を蜀に連れ帰り、結婚を公表したいと告げた。白岳はなぜ約束を守らないのか、唐桓の真意を確かめるべきだと諭した。葉兮は白岳を気にかけ、二人の過去を知りたいと訴えたが、白岳は葉兮が助けを求めたことだけが二人の関係だと突き放した。
扉を閉めようとする白岳に、葉兮は少しでも心が動いたことはなかったのかと問いかけた。白岳は、楓華穀の穀主は代々結婚しないと、この世に相応しい女性はいないと言い放った。葉兮は粥椀を叩きつけ、白岳に愛想を尽かしたと告げた。白岳は辛そうに扉を閉めた。
葉兮が去った後、白岳は扉にもたれかかり苦しんだ。彼は呪いをかけられており、情を断ち切らなければ死に至るのだ。葉兮も自分の痛みを感じてしまうため、そして彼女と添い遂げられない運命だからこそ、この想いを断ち切ろうとしていた。楓華穀の入り口で、葉兮は唐桓との約束を守るために、彼と共に馬車に乗り込み、去っていった。
第10話の感想
第10話は、白岳の秘められた苦悩と葉兮の揺れる想いが交錯する、切ないエピソードでした。白岳は葉兮への想いを断ち切ろうと冷たく振る舞いますが、その裏には自身にかけられた呪いという残酷な運命がありました。愛するほどに苦しむ白岳の姿は、見ているこちらも胸が締め付けられます。一方、葉兮は唐桓との結婚を迫られる中で、白岳への想いを募らせていきます。二人の過去に何があったのか、白岳の真意はどこにあるのか、ますます謎が深まり、今後の展開が気になります。
特に印象的だったのは、白岳が葉兮のために九転回魂丹を自ら試すシーンです。命を削りながらも葉兮を救おうとする姿は、彼の深い愛情を物語っています。しかし、その想いを伝えられないもどかしさ、そして葉兮の唐桓への気持ちに揺れる姿が、二人の関係をより複雑にしています。
唐桓の存在も、この物語に大きな影を落としています。彼自身は葉兮を大切に想っているようですが、それがかえって白岳と葉兮の距離を遠ざけているようにも見えます。三人の関係性が今後どのように変化していくのか、目が離せません。
つづく