あらすじ
第六話は、蒼歧と葉兮の複雑な関係を中心に展開します。死期が迫っていることを悟った蒼歧は、葉兮に自分のことを思い出してほしいと願っています。一方、白岳は、葉兮にとって過去の出来事を忘れることが最善だと考えています。二人が南柯禅寺で秘密の通路を探っている最中、危険に遭遇します。この出来事を通して、白岳が目にした壁画から、三年前に蒼楠と葉兮が出会った時の物語が明らかになります。
当時、蒼楠は葉兮に一目惚れし、彼女を宮廷に迎えようとしますが、葉兮はそれを拒みます。物語が進むにつれ、葉兮が刺客から蒼楠を守り、そして蒼歧を救うために禁軍の侍衛と対峙する場面が描かれます。これらの回想は、登場人物たちの関係性を深めるとともに、今後の物語の展開を暗示しています。
同時に、楚曜は、白岳が蒼歧と同行しているという知らせを受け、白岳が脅迫されているのではないかと心配し、助けに向かう準備を始めます。これは、今後の展開への伏線となっています。
ネタバレ
焚き火の前で、白岳は蒼歧の体を気遣う。蒼歧は長年の試薬のせいで余命いくばくもないことを自覚しており、ただ葉兮に早く自分のことを思い出してほしいと願うばかりだった。白岳は、もしかしたら葉兮は過去の記憶を取り戻したくないのかもしれない、新たに人生をやり直すのも悪くはないと告げる。蒼歧は、白岳が愛というものを全く分かっていないと嘲笑い、葉兮は何度も自分の命を救ってくれた、自分は彼女を一生裏切らないと誓ったのだと語る。そして白岳には、余計なことを考えずに龍骨を探すことだけをしろと釘を刺す。蒼歧が去った後、白岳は心惹かれたいと思っても葉わないと、ひそかにため息をつく。
留白亭では、部下が楚曜に、京郊の道で白岳と蒼歧が一緒にいるところを見かけたが、白岳の様子が良くなかったと報告する。楚曜は白岳が蒼歧に脅されていると考え、すぐに白岳を助けに行くことに決める。
南柯禅寺で、蕭山は蒼歧に、仏像の後ろに秘密の通路があるが、龍骨は見つからなかったと伝える。蒼歧が自ら調査しようとするのを見て、蕭山はかつて前太子・蒼楠がここに住んでいたが、毎晩悪夢にうなされていたため、この場所を封鎖したのだと話す。それを聞いた蒼歧は、白岳を連れて秘密の通路に入る。二人が通路を歩いていると、突然すべての蝋燭の火が消え、蒼歧は少し怯えるが、白岳について行き続ける。すると、白岳は通路の壁にある彫刻を見つけ、壁に刺さっている木製の簪を抜こうとするが、衝撃を受けて跳ね飛ばされる。その頃、馬車を走らせていた葉兮は、突然激しい苦痛を感じる。
白岳は壁の絵を見つめる。それは蒼楠と葉兮の過去の出来事を描いたものだった。三年前、蒼楠と葉兮は偶然道でぶつかり、我に来た蒼楠は自分の鈴虫が葉兮の籠の中の鶏に食べられてしまったことに気づく。葉兮は鶏とサンザシ飴を蒼楠に償いとして残し、軽業で立ち去る。蒼楠は棺桶屋へ葉兮を探しに行き、一目惚れしたと告白する。葉兮は蒼楠の身分を察知し、宮殿へ行くのを拒む。蒼楠は葉兮に剣を贈ろうとするが、葉兮は受け取らない。蒼楠が去った後、葉兮は自分に武器がないことに気づき、術を使って近くの木の枝を「兮」の字が刻まれた木製の簪に変える。
ある朝、蒼楠は再び葉兮を訪ね、花見に誘う。葉兮は、京城で一番の遊郭に行きたいと言う。二人は遊郭に行くと、語り部がなんと葉兮が宮殿に嫁ぐという伝説のラブストーリーを語っており、葉兮は驚く。実は蒼楠が語り部に、妖女・葉兮の物語を侠女・葉兮の物語に変えるように頼んでいたのだ。葉兮は記憶を失って全てを忘れ、目覚めてからの出来事を蒼楠に話す。蒼楠は全く気にしないと答える。その時、刺客が蒼楠を闇殺しようとする。葉兮は蒼楠を守り、彼を連れて楼上から飛び降り、刺客の追跡をかわす。難を逃れた蒼楠は葉兮の手を取り、彼女が自分の幸運の星だと言う。
葉兮は東宮に入ることを承諾するが、宦官に常に立ち居振る舞いを注意される。葉兮は後悔して出て行こうとするが、虐待された後の蒼歧が去っていく姿を見かける。夜、蒼楠は葉兮に華麗な簪を贈り、彼女の髪に挿してあげる。その時、一人の女性が殿内に入り、嫌味ったらしく葉兮に仕えようとする。葉兮は、自分は侍衛として宮殿に入っただけで、蒼楠の恋人ではないと伝える。宦官は急いで女性を連れ出し、蒼楠は殿の外に出て宦官を脇に連れ出し、自分の宮殿にいる女性たちを冷宮に送り、今まで通りに仕えさせるように命じる。葉兮は盗み聞きして、蒼楠がまた蒼歧を懲らしめようとしていることを知り、「蒼歧」という名前を呟きながら考え込む。
深夜、葉兮は夜行衣を著て、薬廬の入り口で簪を使って侍衛を誘い出し、二人を気絶させて薬廬に入る。葉兮は衰弱した蒼歧を見つけ、まずは薬廬から連れ出そうとする。その後、禁軍の侍衛たちが寝殿の前にやってきて、葉兮に蒼歧を引き渡すように迫る。葉兮は起き上がろうとする蒼歧を製止し、一掌で殿の扉を打ち砕き、門の外の侍衛たちも皆倒れてしまう。禁軍は葉兮を妖怪だと考え、このことを蒼楠に報告しようとする。葉兮は蒼歧をベッドに寝かせ、御薬房へ解毒薬を取りに行こうとする。蒼歧は慌てて彼女を引き止め、葉兮はやむを得ず布団の上から蒼歧を抱きしめ、優しく声をかけ続ける。
第6話の感想
第6話は、葉兮と蒼楠の過去のロマンスが明らかになり、物語に深みが増した印象的なエピソードでした。記憶を失う前の葉兮は、自由奔放で、それでいて情に厚い女性だったことが窺えます。鶏とサンザシ飴を償いに残し、軽業で去っていく姿は、彼女の侠女としての気質を象徴しているかのようです。蒼楠の一目惚れから始まる二人の恋は、身分差や刺客の襲撃など、様々な困難に見舞われますが、それらを乗り越えていく中で、互いの愛情を深めていく様子が丁寧に描かれていました。
特に印象的だったのは、遊郭でのシーンです。蒼楠が語り部に頼んで、妖女・葉兮の物語を侠女の物語に変えさせたというエピソードは、彼の葉兮への深い愛情と、彼女を守りたいという強い意誌を感じさせます。また、刺客から蒼楠を身を挺して守る葉兮の姿からは、彼女が蒼楠に心を許し、大切に想っていることが伝わってきました。
一方、現在では、蒼歧は余命がわずかであることを悟り、葉兮への想いを募らせています。白岳はそんな蒼歧に寄り添いながらも、複雑な感情を抱いている様子が見て取れます。楚曜もまた、白岳を心配し、助けに向かおうとするなど、それぞれのキャラクターの心情が丁寧に描かれており、今後の展開がますます気になります。記憶を失った葉兮が、過去の出来事をどのように思い出し、蒼歧、蒼楠、そして白岳との関係がどう変化していくのか、今後の物語から目が離せません。
つづく