あらすじ

第19話は、唐千月タン・チェンユエ凌長風リン・チャンフォンの確執を中心に展開します。唐千月タン・チェンユエ凌長風リン・チャンフォンへの不満から食事を拒み、彼に会うことさえ嫌がっていました。しかし、凌長風リン・チャンフォンの陰ながらの守護と献身的な優しさは、徐々に唐千月タン・チェンユエの心を解きほぐしていきます。ある夜、戸外で凍える凌長風リン・チャンフォンを見かねた唐千月タン・チェンユエは、彼に外套をかけてやります。しかし、ある誤解から、思わず彼を平手打ちしてしまうのでした。

翌日、唐千月タン・チェンユエ凌長風リン・チャンフォンに赤ちゃんの心音を聞かせます。このことで、ふたりは生まれてくる子供への責任感をより強く感じます。

そんな中、太尉たいい唐千月タン・チェンユエの正体が蝶奴ちょうどであることを疑い、さらに彼女が麒麟の血によって蘇生されたことを知ります。そして、彼女を捕らえるため、兵を率いてやって来ます。太尉たいいの脅威に、凌長風リン・チャンフォンは剣を構えて唐千月タン・チェンユエを守ります。最後は、唐千月タン・チェンユエが産気づいたことで太尉たいいの心も揺らぎ、出産を許すのでした。

唐千月タン・チェンユエが娘を出産した後、太尉たいい凌長風リン・チャンフォンに機会を与え、彼が母娘の境遇を変えると信じると告げます。凌長風リン・チャンフォンもまた、この別れの時、父への最後の敬意を表するのでした。

ネタバレ

唐千月タン・チェンユエ凌長風リン・チャンフォンへの怒りが収まらず、鳶婆婆トビババは仲裁に入ろうとするも、長風チャンフォンは今は時期尚早だと諭す。そして、ある重大な秘密を千月に決して漏らしてはならないと婆婆に念を押す。婆婆は千月に、お腹の子のために食事をするよう促すが、長風チャンフォンの姿を見るなり千月は食欲を失ってしまう。長風チャンフォンはすぐに食事を置いて立ち去ろうとする。

夜、千月は一人で部屋で寝ていた。長風チャンフォンは千月が自分を避けていることを知りながら、こっそり部屋に入り、布団を掛けてあげる。そして部屋の入り口に戻り、床に座って眠りにつく。実は千月は寝ておらず、長風チャンフォンの行動を全て見ていた。凍える長風チャンフォンを不憫に思い、大氅(だいちゃん)を持ってきて掛けてあげる。長風チャンフォンの顔に蚊が止まり、千月は追い払おうとするが、長風チャンフォンを起こさないようにと唇を尖らせて息を吹きかけようとする。その瞬間、長風チャンフォンが目を覚まし、驚いた千月は思わず長風チャンフォンの顔を平手打ちしてしまう。長風チャンフォンは唖然とする。

翌日、長風チャンフォンは千月に食事を届ける。まだ怒りが解けていないことを察し、食事を置くとすぐに立ち去ろうとするが、千月に呼び止められる。千月は長風チャンフォンに、お腹の子の鼓動を聞かせ、長風チャンフォンは千月と生まれてくる子供を守る決意をさらに固める。そのためにはどんな犠牲も払う覚悟だった。

太尉たいいは異変に気付き、錦明ジンミンを呼び出して長風チャンフォンと千月の行方を問い詰める。錦明ジンミンは二人が半年以上前に姿を消し、戻ってくる時期も分からないと答えるのみ。太尉たいいは千月の身元に疑念を抱き、錦明ジンミンを威圧して情報を引き出す。錦明ジンミンは、千月が大晦日の夜に蝶奴ちょうどに襲われたものの、二日で奇跡的に回復したことを白状する。それは、同じように襲われた一般人や蝶奴ちょうどとは全く異なる点だった。長風チャンフォン麒麟血きりんけつを求めに来たことを思い出し、麒麟血きりんけつが千月を救ったのだと確信した太尉たいいは、千月が蝶奴ちょうどだと断定し、大勢の兵を率いて長風チャンフォンの隠れ家へと向かう。

千月の出産予定日が迫り、鳶婆婆トビババは産道を開くために歩くように勧める。長風チャンフォンは千月が疲れないよう常に気を遣いながら付き添う。太尉たいいが兵を引き連れて千月を捕らえに現れる。長風チャンフォンは剣を太尉たいいの喉元に突きつけ、兵士たちを威圧する。緊迫した状況に千月は陣痛が始まり、長風チャンフォンは剣を捨て、「もうすぐ父親になる」と告げる。その言葉に太尉たいいは心を動かされ、千月を出産のために部屋へ入らせる。生まれたばかりの娘を抱き上げた太尉たいいは、長風チャンフォンにチャンスを与え、母娘を普通の人間に戻すと信じることにする。長風チャンフォンはこの別れが父である太尉たいいとの最後の対面になるかもしれないと思い、「父上、お体をお大事に」と告げるのだった。

第19話の感想

「風月変~幸せを願う蝶の恋人たち~」第19話は、緊迫感と感動が入り混じる、まさにクライマックスへ向かう展開でした。千月と長風チャンフォンの間に生まれた小さな命は、二人の愛の結晶であると同時に、物語の大きな転換点となりました。

長風チャンフォンが千月を想う気持ちは、言葉ではなく行動で示され、深く胸を打ちます。千月の怒りの裏にある、長風チャンフォンへの心配、そして長風チャンフォンの献身的な愛情は、二人の絆の強さを改めて感じさせます。蚊を吹き飛ばそうとする千月の可愛らしい仕草や、思わず長風チャンフォンを平手打ちしてしまうシーンなど、緊迫した状況の中でも、二人の間の温かい空気が伝わってきて、ホッとさせられます。

つづく