あらすじ
第20話は、唐千月の産後の衰弱、妻娘を守るための凌長風の自己犠牲、そして寶珠の病状の進展を中心に描かれています。
唐千月は出産後、昏睡状態が続き、目を覚ますと、夫の凌長風が彼女と娘の思思に普通の生活を送らせるため、自身の体に蠱毒を移し、手紙を残して去っていたことを知ります。凌長風は手紙の中で、三年後に戻ると約束していました。真実を知った唐千月は深く感動すると同時に、深い悲しみにも襲われます。
一方、寶珠は病弱な状態でしたが、凌長燼に励まされ、薬を飲みました。そして、見舞いに来た唐千月と思思を見て、笑顔を見せます。
登場人物たちの深い絆と未来への希望が、このエピソードの核となっています。寶珠、唐千月、そして凌長風の間の友情と愛情は、困難な状況の中でひときわ輝きを放ちます。
三人は、凌長風の帰還を待ち、寶珠が回復したら一緒に除夕を祝う約束をし、未来への希望と互いを大切に思う気持ちを表現しました。
ネタバレ
出産後の唐千月は衰弱し、意識が戻らない。心配する凌長風は鳶婆婆に診てもらうが、幸い異常はなく安心する。鳶婆婆は赤ん坊の思思を長風に抱かせ、これが娘を抱く最後の機会だと告げる。長風は眠る千月の傍らに思思を置き、自身も千月に寄り添い、束の間の温もりを味わう。千月の最大の望みが普通の人に戻る事だと知る長風は、その為なら全てを捧げる覚悟だった。鳶婆婆はその強い決意に胸を痛める。
寶珠の容態は依然として良くない。凌長燼は、寶珠が千月と長風との日々を懐かしんでいる事に気づき、一緒に賑やかな除夜を過ごそうと約束する。外は激しい雪だが、寶珠は久しぶりの美しい雪景色をもう少し楽しみたいと言い、長燼は彼女を抱きしめながら思い出話に耳を傾ける。しかし、寶珠の病状が深刻である事を悟り、密かに涙を流す。
長風は千月と思思に別れを告げ、鳶婆婆に血縁による引蠱術を依頼する。千月の体内の蠱毒を思思に移し、更に思思の蠱毒を自分の体内に移すのだ。悪夢から目覚めた千月は、傍らに娘と長風がいない事に気づき、慌てて探し始める。鳶婆婆は思思を抱きかかえ、子供は無事だと千月を安心させる。しかし、長風は見つからず、不安に駆られる千月に、鳶婆婆は長風からの手紙を渡す。長風は自らを犠牲にして千月と思思を普通の人間に戻したのだった。蝶奴の苦しみを知る千月は、長風が墨魁花湯を服用した洞窟へ向かうが、既に無人だった。散らばる鎖を目にし、かつて自身が味わった激痛を思い出し、涙を流す。手紙には三年後の再会を誓う言葉が綴られており、千月は悲しみをこらえ、鳶婆婆の心配をよそに、無理やり食事を口にする。
寶珠は薬を飲むのを拒んでいたが、長燼にある人物に会わせると言われ、素直に薬を飲む。長燼に支えられながら千月と思思に会い、喜びの笑顔を見せる。千月と埋めた梅酒はまだ熟成しておらず、寶珠は手作りの紅棗茶を振る舞おうとするが、力がなく茶壺を持つのもやっとの状態。千月はすぐに手を貸す。夜空に孔明灯が上がり、かつての除夜を思い出す二人。長風が戻り、寶珠の病が治ったら、また一緒に除夜を過ごそうと約束する。
第20話の感想
第20話は、愛と犠牲、そして希望が複雑に絡み合った感動的なエピソードでした。凌長風の自己犠牲は、唐千月と娘の思思への深い愛情の証です。蝶奴の苦しみを誰よりも理解しているからこそ、自らがその苦しみを背負い、愛する者たちの幸せを守ろうとする姿には胸を打たれました。自分の命を賭してでも、愛する人を守るという強い決意と覚悟は、まさに真の愛と言えるでしょう。
唐千月の悲しみと強さも印象的でした。最愛の人を失った悲しみは計り知れないはずですが、それでも前を向こうとする彼女の姿は、見ている側にも勇気を与えてくれます。凌長風との三年後の再会を信じて、力強く生きていくという彼女の決意は、希望の光を感じさせます。
寶珠と凌長燼の穏やかな時間も、物語に温かさを添えています。病に苦しむ寶珠を優しく支える凌長燼の姿は、深い愛情と優しさに満ち溢れていました。唐千月と思思との再会シーンは、喜びと希望に満ちた、心温まる場面でした。三人の女性たちの友情、そして彼女たちを取り巻く人々の温かい絆が、物語に深みを与えています。
つづく