あらすじ
第四話は、唐千月と凌長風の複雑な関係を中心に展開します。
唐千月は悪夢から目を覚ますと、胸に血痕を見つけ、凌長風が自分の正体を知ってしまったことに気付きます。寶珠への罪悪感に苛まれ、彼女を守るため寶珠に薬を飲ませ眠らせます。凌長風の追及に対し、唐千月はすべてを打ち明ける決意をします。失われた記憶、そして五年前の真実――山賊は自分が殺したが、村人たちは違うのだと。
二人が初めて出会った時のことを思い出します。凌長風は彼女の傷の手当てをし、食べ物と銀票まで置いていってくれました。それからの日々、唐千月はいつも凌長風の後を追っていました。靴がなくても、布で足を包んで。
雪が激しく降る日、凌長風は彼女をおんぶして歩き、温もりと支えを与えてくれました。その後、唐千月は町のおばさんに預けられますが、盗難に遭い、生活は困窮します。そして、屋台で食べ物を買えずに店主に絡まれている時、凌長風が現れます。唐千月は彼に駆け寄り、助けを求めました。
ネタバレ
唐千月は悪夢から目を覚ました。胸の傷を見て、凌長風が自分の正体を知ってしまったことを悟り、愕然とする。寶珠が無事で安心したものの、あの時、彼女を傷つけずに済ませる方法は、気絶させるしか無かったと、自責の念に駆られる。
全てを凌長風に打ち明ける決意をした唐千月は、過去の記憶を失っており、凌長風との出会いが最初の記憶だと語る。五年前、東蕁村で山賊を退治したのは自分だが、村人を襲った覚えはないと言う。紅い眼光を宿した唐千月に、凌長風は優しく接し、傷の手当てをして、水と食料を残して去ろうとする。しかし、裸足の彼女を見かねて銀票を渡すも、唐千月は使い方が分からず戸惑うばかりだった。
ある雪の日、洞窟で鶏を焼いていた凌長風の元に、唐千月が魚を投げ入れる。凌長風は彼女を洞窟に招き入れるが、生魚を食べようとする唐千月を慌てて止める。そして、焼いた鶏肉を分け与える。唐千月はそれを貪り食う。凌長風が薪を火にくべるのを見て、唐千月は銀票を火にくべてしまう。不思議に思った凌長風は自分の銀票を渡すも、またしても唐千月はそれを燃やしてしまう。いつも凌長風の後をついて歩く唐千月は、靴の代わりに布を足に巻いている。雪が激しくなる中、布がほどけた唐千月のために、凌長風は傘を差し出し、彼女を背負って歩き出す。唐千月は温かい気持ちで満たされ、微笑む。
街に著いた凌長風は、唐千月を屋台の女性に預け、銀票を渡して身を落ち著けるように言う。しかし、凌長風を待ち続けた唐千月は、服と銀票を盗まれてしまう。女性は凍える唐千月に自分の服を与え、唐千月はそこに住み著くようになる。しかし、女性が屋台を畳んでしまい、唐千月は飢えに苦しむ日々を送る。ある日、盗んだ糖葫蘆を食べているところを見つかり、店主に詰め寄られる。その時、近くで公務をしていた凌長風を見つけた唐千月は、彼に駆け寄り、抱きついた。
第4話の感想
第4話は、唐千月と凌長風の出会い、そして奇妙な共同生活を通して、二人の関係の始まりが描かれた重要なエピソードでした。記憶を失い、まるで子供のように純粋無垢な唐千月と、そんな彼女に戸惑いながらも優しく接する凌長風の姿が印象的です。
特に、唐千月が銀票を火にくべてしまうシーンは、彼女の世間知らずな一面を象徴的に表しており、思わず笑みを誘います。一方で、生魚を食べようとしたり、裸足で雪の中を歩いたりする唐千月の姿からは、彼女の過酷な境遇が垣間見え、胸が締め付けられる思いがしました。
凌長風は、唐千月の奇異な行動に困惑しつつも、彼女を放っておけず、食事を与えたり、背負って歩いたりするなど、さりげない優しさを見せています。まだロマンスと呼べるほどの感情は芽生えていないようですが、二人の間に流れる不思議な空気感、そして唐千月の凌長風に対する絶対的な信頼感からは、今後の展開への期待が高まります。
つづく