あらすじ
まず、凌長燼が朝廷で公主を強引に娶ろうとしたことに対し、太尉は彼を厳しく叱責します。しかし、凌長燼はただ公主が好きだと主張し、太尉に結婚式への招待を申し出ます。この出来事に、太尉は落胆します。
次に、物語は唐千月と鳶婆婆の過去へと移ります。三年前に唐千月から蝶蠱を取り除くため、彼女は大変な苦痛を味わいました。凌長風はこのことを知り、唐千月をさらに深く思いやります。帰還した凌長風は、期待に満ちた唐千月の眼差しを受け止め、彼女を決して見捨てないと誓います。
凌長風は、寶珠公主と凌長燼の結婚に不安を抱き、何か裏があるのではないかと懸念しています。一方、唐千月は寶珠自身がこの結婚に満足していると考えています。
そして、凌長燼の結婚式当日。招待状を受け取っていなかった太尉は、外から様子を窺うしかありません。唐千月は自身の安全のため、梯子を登って式の様子を見守ります。それぞれの登場人物たちの複雑な感情の繋がりや、内なる葛藤が描かれています。
ネタバレ
凌長燼が朝議で公主への求婚を強行したことを知った太尉は、彼を呼び戻し叱責し真意を問いただした。凌長燼はただ公主に心惹かれていると答え、結婚式の際にはぜひ祝杯を挙げに来てほしいと言い残し、躊躇なく立ち去った。太尉は彼の後ろ姿を見送りながら、寂しそうに「ご飯は食べていかないのか」と呟いたが、凌長燼は聞こえないふりをしたのか、無視したのか、そのまま去ってしまった。その様子に、側近は見ていられない思いだった。
夷瀾族の鳶婆婆は、三年前に唐千月の蝶蠱を解くため、墨魁湯を飲ませた。唐千月は七日間、骨を錐で刺すような激痛に耐え、九死に一生を得て生き延びた。唐千月は花を見るたびに凌長風を思い出し、希望に満ちた日々を送っていたが、三年目の期限の最後の瞬間に、努力は水泡に帰してしまった。凌長風は百蠱図鑑で、唐千月が三年前の七日間、蝶蠱を解き、自分と一緒にいるためにどれほどの苦痛に耐えたかを知り、胸を痛めた。
唐千月は凌長風の帰りを待ちわびてうとうとしていたが、玄関の鈴の音を聞くと、すぐに目を開け、嬉しそうに駆け寄った。三年間、毎日このように自分の帰りを待ちわびていた唐千月の姿が脳裏に浮かび、凌長風は彼女を抱きしめ、唇にキスをし、いついかなる時も決して諦めないと誓った。
凌長風の沈んだ様子に気づいた唐千月は、理由を尋ねた。凌長風が自分の身を案じていることを知り、自分も普通の人間ではないのかもしれないと考えた。寶珠公主と凌長燼の結婚に、凌長風は違和感を覚えていた。かつて先帝が実の姉を公主に封じ、寶珠公主の代わりに夷瀾族へ嫁がせたが、姉は夷瀾族に蝶奴にされてしまった。凌長燼はこれに強い不満を抱いていた。凌長風が麒麟血を持って駆けつけた時、太尉が姉に矢を放った瞬間だったことを思い出し、凌長燼がまだそのことを気にかけ、寶珠公主と結婚する気などないはずだと考えた。しかし、唐千月は寶珠公主がこの結婚に満足している様子だと話し、凌長風も寶珠公主の望み通りになることを願った。
凌長燼の結婚式当日、武安侯府は賓客で賑わっていた。太尉は招待状を受け取っていなかったが、式の様子を見たいと思い、偶然通りかかったふりをして門口から覗いていた。側近は中に入るよう勧めたが、太尉は招待状なしでは体裁が悪いと、入ろうとしなかった。唐千月は身分を隠しているため、人混みに行くのは避けなければならず、特に麒麟血を持つ寶珠公主の近くは危険だった。そのため、唐千月は梯子に登って結婚式の様子を見ていた。太尉はそれを見て、彼らも招待状をもらっていないと思い、同病相憐だと感じていたが、凌長風が堂々と現れたため、自分が一人だけ惨めな思いをしていると落ち込んだ。
第9話の感想
第9話は、登場人物たちの複雑な感情が交錯する、切ないエピソードでした。凌長燼の唐突な求婚の裏には、未だ解明されていない真意が隠されているようで、今後の展開が気になります。太尉の凌長燼への複雑な感情、まるで息子を心配する父親のような愛情が垣間見え、彼の不器用ながらも深い愛情が胸を締め付けます。招待状なしで結婚式を覗き見ようとする姿は、どこか滑稽で、憎めないキャラクターです。
一方、唐千月と凌長風は、互いを深く想い合う姿が印象的でした。三年前の唐千月の壮絶な経験を知り、凌長風の愛はさらに深まったように感じます。しかし、唐千月の正体が明らかになる時が近づいている予感もあり、二人の未来に不安が募ります。寶珠公主の幸せそうな様子とは裏腹に、凌長燼の真意、そして唐千月の秘密など、様々な謎が絡み合い、物語はますます目が離せない展開となっています。
つづく