あらすじ
第13話は、裴行倹と麴崇裕の知略を巡る駆け引きを軸に、登場人物たちの心の機微を丁寧に描いています。裴行倹は麴崇裕の策略を見破り、それを逆手に利用する巧妙さを見せます。一方、麴崇裕は酒に酔い、母の遺言、特に失伝してしまった細白疊布の技法への思いに囚われ、それが大きな心の負担となっている様子が描かれています。
また、琉璃と麴鏡唐の複雑な心の交流も描かれています。琉璃が作った粥が麴鏡唐の心を打ち、二人は母の思い出を語り合う中で、深い絆を育んでいきます。
さらに、裴行倹は捜査の中で、医術に長けているものの偏屈な性格の韓景之と出会います。韓景之は貧しい人々を無料で治療するなど、当時の社会背景における人々の温かい一面を象徴する存在として描かれています。
最後は、裴行倹と琉璃の心温まる情景で幕を閉じます。雪の夜に琉璃の母を偲び、深い想いを馳せる二人の姿が印象的に描かれています。
ネタバレ
裴行倹は、麴崇裕から倹約の任務を任されたが、それが罠だと見抜いていた。表面上は従う素振りを見せつつ、王君孟が麴崇裕の策略を褒め称えるのを聞いていた。麴崇裕は、しつこい王君孟を追い払うと、白三からの報告の遅れに苛立ち、西州で見落としている何かがあるのではないかと疑念を抱いた。
一方、白三は裴行倹を尾行し、柳如月という女性と碁を打っているのを発見する。裴行倹は柳如月の家族探しを手伝う約束をし、同時に自分の行動の隠れ蓑になってくれることへの感謝を伝えていた。柳如月は、裴行倹が尾行されていることに気づいていた。
白三は麴崇裕に裴行倹の動向を報告し、麴崇裕は出城計画の監視を続けるよう命じる。琉璃は街で買い物をしている際に、西州の白疊布が長安より高価で、裕福な家庭しか買えないことに気づく。上質な細白疊布の技術は失伝しており、宮廷でしか手に入らないという。
麴崇裕は、民の生活を向上させるために細白疊布の技術を復興させたいという亡き母の願いを思い出し、酒に酔いながらその執念を新たにする。庭で剪定をしている父、都護に、お茶の淹れ方について話しかけ、母の命日が近いことを告げ、一緒に墓参りに行かないかと誘うが、断られてしまう。都護は麴崇裕の態度に苛立ちを覚える。
琉璃は麴鏡唐の家を訪ねると、彼女が台所で子供の頃に食べた粥の味を再現しようと苦戦しているのを見つける。琉璃は自ら粥を作り、涙を流す麴鏡唐に食べさせる。琉璃の母も彼女に粥を作ってくれたことを思い出し、母を想う二人は抱き合って泣く。麴鏡唐は琉璃に西州のことに関わらないよう警告する。
裴行倹は武城郷の状況を視察するため毎日城外に出ていた。そこで名医の韓景之が病牛を治療しているところに遭遇するが、韓景之は役人と関わりたがらず、村長の紹介を断る。裴行倹は気に留めない。
家に帰ると、窓辺に座る琉璃の姿があった。二人は寄り添い、外の雪景色を見ながら琉璃の母を偲ぶ。公務のため琉璃と共に墓参りに行けなかったことを裴行倹は詫びるが、琉璃は理解を示し、母が自分の幸せを見てくれていることを願うのだった。
第13話の感想
第13話では、様々な人間模様が交錯し、それぞれの想いが胸を締め付けました。特に印象的だったのは、麴崇裕の葛藤と琉璃と麴鏡唐の交流です。
麴崇裕は、民のために母の願いである細白疊布の復興を願う一方で、父との確執に苦しんでいます。酒に酔い、亡き母を偲ぶ姿からは、彼の孤独と重圧がひしひしと伝わってきました。父とのぎこちない会話は、二人の間に深い溝があることを示唆しており、今後の展開が気になります。
一方、琉璃と麴鏡唐の交流は、本作における数少ない心温まるシーンでした。母の思い出を共有し、涙を流す二人の姿は、深い共感を呼びます。互いに境遇は違えど、母への想いを共有することで、心の距離が縮まっていく様子が美しく描かれていました。麴鏡唐の「西州のことに関わらないように」という警告は、琉璃の身を案じる気持ちの表れであり、今後の波乱を予感させます。
つづく