あらすじ
第23話は、裴行倹と蘇南瑾の知恵比べを中心に展開します。裴行倹は、地元で人望の厚い大仏寺の住職に軍糧の計量を依頼することで、蘇南瑾が大斛を使って商人を騙そうとしていた陰謀を巧みに暴きます。この一件で蘇南瑾は罰を受け、裴行倹への敵意をさらに深めることになります。
一方、物語は裴行倹と琉璃の結婚一周年記念日にも触れ、二人が互いに贈り物交換されたし、生涯を共に歩むことを誓い合う、心温まる場面が描かれています。
また、張敏娘の麴崇裕への想いや、麴崇裕の結婚に対する考え方も描かれています。麴崇裕は、家名に影響が出ようとも、妾を迎えることも正室を娶ることもないと断言します。
最後に、阿紅の登場が物語に新たな展開をもたらします。戦場に出たいという彼女の強い思いと琉璃とのやり取りは、今後の展開への期待感を高めます。
ネタバレ
蘇南瑾は裴行倹を陥れるため、商人から納入された兵糧を大きな枡で測り、不正を働こうと企んでいた。しかし裴行倹は先手を打ち、高僧である玄奘の直弟子である大仏寺の住職を招いていた。朝廷も敬う高僧の前では、誰も不正を疑うことはできない。住職は軍を支援するため、檀家からも多くの兵糧を集め、共に計量させた。裴行倹はわざと蘇南瑾の枡と住職の枡を比較させ、蘇南瑾の不正を白日の下に晒した。裴行倹は知らぬふりをして、大きな枡を用意した兵士に五十回の杖刑を命じ、蘇南瑾は怒りを抑え込むしかなかった。
裴行倹と琉璃は結婚一周年を迎え、裴行倹は琉璃に簪を、琉璃は裴行倹に手彫りの印章を贈り合った。二人は変わらぬ愛を誓い合った。
西州の貴女、張敏娘は麴崇裕に想いを寄せているが、麴崇裕は全くその気はない。侍女の娜娜は張敏娘のために憤慨するが、張敏娘は麴崇裕に嫁ぐことを諦めていない。
麴崇裕が投石機を作っているところに張敏娘が訪ねてきた。彼女は牛筋の弦に疑問を持ち、無駄な努力だと考えていた。麴崇裕は琉璃の到著を待ちわびていた。琉璃が到著すると、張敏娘は文句を言い続けたが、琉璃は何も言わず、大槌で弦を叩き、軽々と綿を飛ばしてみせた。麴崇裕たちは琉璃の才能に感嘆し、琉璃は鉄槌の改良点を提案した。琉璃が去るとき、麴崇裕は見送りに出て、張敏娘は自分がなぜ麴崇裕に選ばれないのかを悟った。麴崇裕は琉璃の背影を見送り、微笑んだ。
麴崇裕と父は碁を打ちながら、息子の嵩を長安に送る相談をしていた。麴都護は出発前に張敏娘を側室に迎えることを提案したが、麴崇裕は正室も側室も娶らないと断言した。高門との繋がりは互恵関係であり、結婚の必要はないと考えている。麴都護は納得せず、怒って碁盤を壊して出て行った。
米大郎は蘇定方からの手紙を裴行倹に届けた。米大郎は阿紅を連れてきており、琉璃は彼女が以前裴行倹が助けた女性だと気づいた。蘇定方は雲伊の部族との連携を図るため、彼女を裴行倹の元に送った。琉璃は雲伊と意気投合した。
嵩は麴崇裕と共に祖母に挨拶をし、西州の勝利と再会を祈願した。麴崇裕は息子の頭を撫でた。
阿紅は戦場に出たがっていたが、琉璃に説得され、街へ出かけた。琉璃は侍女の阿霓に雲伊の護衛を命じた。雲伊は気に入った珠飾りを見つけたが、お金が足りず、店主に取っておいてもらうよう頼んだ。
第23話の感想
第23話は、様々な人間模様が交錯する、見応えのあるエピソードでした。裴行倹の知略と蘇南瑾の浅はかさが対比的に描かれ、正義が勝つ爽快感を感じさせます。大仏寺の住職を巻き込むとは、裴行倹の機転と行動力には感服するばかりです。蘇南瑾の悔しそうな表情が目に浮かびます。
一方、琉璃と裴行倹の結婚記念日のシーンは、二人の強い絆を感じさせ、心温まるものでした。互いに贈り物をし、変わらぬ愛を誓い合う姿は、戦乱の世の中でも変わらない愛情の大切さを改めて感じさせます。
麴崇裕と張敏娘の関係は、切ないものがあります。張敏娘の一途な想いは報われず、麴崇裕の心は琉璃に向いていることが明白です。琉璃の才能と聡明さに惹かれる麴崇裕の姿は、張敏娘にとって辛い現実でしょう。侍女の娜娜の憤慨も理解できますが、麴崇裕の気持ちを変えることは難しいようです。
つづく