あらすじ
第二十七話は、琉璃の体調を中心に展開します。阿紅の件が片付いた後、琉璃はひどく疲れ果て、裴行倹に優しく抱きかかえられて床に休みました。目を覚ました琉璃は、王文度たちの処遇を気にかけ、彼らが既に罷免され処刑されたこと、蘇定方が大総管に就任したものの、笪篤城の問題は水面下でしか解決できないことを知ります。琉璃は、裴行倹がこれから頻繁に軍営に駐屯することになるのを寂しく思い、気分が沈みます。
その後、琉璃は体調が優れないにも関わらず、都護府の同郷の人々を見舞うために無理をして出かけますが、体力が尽きて倒れてしまいます。診断の結果、琉璃は重度の傷寒を患っていることが分かり、韓四大夫は艾灸治療を提案し、裴行倹もそれを信頼し支持します。琉璃の病状は少し快方に向かいますが、裴行倹は昼夜を問わず付き添い、琉璃の回復を祈ります。
同時に、この話は琉璃と周りの人々との間の複雑な感情の絡み合いと深い友情も描いています。
ネタバレ
阿紅の件が片付き、琉璃は皆に別れを告げ西州を去ろうとした。疲れ果てていた彼女は、椅子に座ったまま眠ってしまった。帰宅した裴行倹は、眠る琉璃を愛おしそうに見つめ、ベッドに運んだ。目覚めた琉璃は王文度たちの処遇を尋ね、罷免・処刑され、蘇定方が大総管代理となったことを知る。笪篤城の問題は公には解決していないものの、ひとまず安心した。
その後、裴行倹は軍務のため、今後さらに軍で過ごす時間が増えることを告げた。別れを惜しむ琉璃は、裴行倹の胸に抱きついた。蘇南瑾がもう邪魔をすることはなく、西州でも琉璃に敵対する者はいないため、裴行倹は琉璃を残していくことに安心していた。琉璃は自嘲気味に「虎の威を借る狐」だと呟いた。
麴崇裕が琉璃に配当を届けに来た際、阿紅と小檀に会い、気まずい雰囲気になった。麴崇裕は琉璃を都護府に招き、地元の人々との面会を勧めた。体調が優れない琉璃だったが、皆の期待に応えるため都護府へ向かった。人々は琉璃にたくさんの特産品を贈り、琉璃も返礼の品を用意した。しかし、帰る途中、琉璃は倒れてしまう。麴崇裕は急いで町中の医者を呼び集めたが、診断は様々だった。最終的に、韓四が琉璃は傷寒にかかっている可能性を指摘し、治療が遅れれば命に関わると警告した。
琉璃は寒気に襲われ、何枚も布団をかけても震えが止まらなかった。韓四は琉璃が普段あまり病気をしないため、一度かかると重症化しやすいことを聞き出した。彼は薬を処方したが、他の医者からは疑問の声が上がった。しかし、韓四の強い主張と裴行倹夫妻への恩義から、麴崇裕と安三娘は韓四を信じることにした。韓四はこの病気を過去に2度診た経験があり、1人は治癒したが、もう1人は亡くなったと語り、琉璃の治療にも3分の1の確信しかないことを明かした。
琉璃が倒れた瞬間から、麴崇裕は裴行倹に手紙を送っていた。知らせを受けた裴行倹は阿成と共に昼夜兼程で西州に戻った。麴崇裕は琉璃の傍らで回復を祈り続けていた。阿紅は麴崇裕に休むように勧めたが、琉璃が目を覚ますまでその場を離れようとはしなかった。安三娘は琉璃が以前毒を盛られたが、裴行倹が解毒剤を見つけ、それ以来めったに病気にならないことを話した。韓四は灸治療を提案したが、服を脱がせる必要があるため議論になった。最終的に、裴行倹の同意を得て、韓四は治療を開始し、裴行倹自身も手伝った。
治療後、琉璃の容態は少し良くなり、薬を飲むことができるようになった。安全のため、裴行倹は韓四に屋敷に留まるように頼んだ。その時、韓四は安三娘の手の傷に気づき、慌てて薬を塗ってあげた。その様子に安三娘はからかった。一方、張敏娘は柳如月から阿紅の正体を探ろうとしたが、何も得られなかった。裴行倹は琉璃の傍らで回復を祈り続けた。琉璃は意識の中で、雪と氷に閉ざされた世界を彷徨っていた。張敏娘が見舞いに来たが、阿霓は琉璃の回復を妨げないようにと、すぐに追い返した。
第27話の感想
第27話は、前半の安堵感から一転、琉璃の突然の病により緊張感が高まる展開でした。阿紅の件が解決し、ようやく平穏が訪れたのも束の間、琉璃の倒れる姿には息を呑みました。これまで西州の政務に奔走し、様々な困難を乗り越えてきた彼女だからこそ、この度の病は見ている側にも重くのしかかります。
特に印象的だったのは、周囲の人々の琉璃への深い愛情と心配です。裴行倹の焦燥感と琉璃への献身的な看病、麴崇裕の不安げな表情、そして安三娘の過去の出来事を語るシーンは、琉璃がいかに多くの人々に愛され、支えられているかを改めて感じさせました。韓四の葛藤も胸を打ちます。確信が持てないながらも、持てる知識と経験を総動員して琉璃を救おうとする姿は、医師としての責任感と裴行倹夫妻への恩義が強く表れていました。
つづく