あらすじ
第二十八話は、張敏娘の訪問と、彼女が阿紅を北方の探子ではないかと疑い、そのことを麴都護に告げた出来事を中心に描いています。琉璃は昏睡状態から目覚め、裴行倹たちは安堵します。一方、阿紅は自分の身分が露見したことを心配し、麴崇裕に自分が探子ではないことを説明し、彼の保護の約束を取り付けます。それと同時に、裴行倹は万が一に備えて鍼灸術を学ぶことを決意します。琉璃の病状が快方に向かうと、彼女は裴行倹と通行証や符の作り方について話し合い、自由に行動したいという強い願望を示します。さらに、麴崇裕は阿紅の故郷を思う気持ちを慰めようと、故郷の酒を贈ります。
ネタバレ
阿紅は門口で張敏娘に会い、彼女は贈り物を持ってきたと偽り、お茶を所望した。会話の中で、張敏娘は阿紅が北部の出身だと突き止め、唐が北部と交戦中であることから、彼女をスパイではないかと疑い、麴都護に報告した。麴崇裕には直接伝えなかった。
琉璃が目を覚ますと、裴行倹はすぐに韓四に彼女の容態を確認させた。大事に至らなかったと分かると、裴行倹は阿紅に麴崇裕への報告を頼んだ。阿紅は張敏娘に情報を漏らしてしまったのではないかと不安だったが、回復したばかりの琉璃を邪魔したくなかった。
張敏娘は麴都護に阿紅のことを報告し、彼女への対応を促したが、麴都護は明確な指示を出さなかった。その後、麴都護は麴崇裕に阿紅と親しくなりすぎないように忠告し、私情で公務を疎かにするなと釘を刺した。麴崇裕は既に阿紅の身元を調査済みで、スパイではないと確信していると説明したが、北部の首領の娘であることは認めた。そして、感情に流されて職務を怠ることはないと断言した。
阿紅は柳如月に身バレしたことを打ち明け、二人で裴行倹に相談しようと考えた。しかし、阿紅は自ら麴崇裕の元へ行き、真実を話した。麴崇裕は彼女の安全を守ると約束し、帰る際には彼女に外套をかけてやり、送って行こうと申し出た。外に出た阿紅は柳如月と会い、琉璃が目を覚ましたことを伝えながら、彼女を連れて立ち去った。
蘇定方が琉璃を見舞いに訪れ、彼女の病状の深刻さを目の当たりにし、裴行倹と家庭と責任について話し合った。裴行倹は側室を迎えることを拒否し、琉璃の無事を願った。琉璃が回復すると、韓四は薬の処方を調整し、阿霓に鍼灸を教えることを約束した。琉璃は阿霓と小檀の良籍を改善し、去就の自由を与えた。裴行倹も万が一に備えて鍼灸を学び始めた。
春になり、琉璃の体調が回復し、外出を望んだ。裴行倹は琉璃を宥めながら物語を聞かせた。その中で、琉璃は安三娘が軍営に入るための通行証を描いたことを話し、裴行倹はそれを心配した。琉璃は偽の通行符を作るつもりはないと約束したが、麴崇裕なら手伝ってくれるかもしれないと思い、試してみたい気持ちもあった。
麴崇裕は故郷から酒を取り寄せ、王君孟に裴行倹への贈り物を頼んだ。王君孟は途中で張敏娘に会ったが、足を止めずに任務を遂行した。
第28話の感想
第28話は、阿紅のスパイ疑惑を中心に、様々な人間関係とそれぞれの思惑が交錯する展開でした。張敏娘の鋭い観察眼と疑念は、物語に緊張感を与えています。唐と北部の緊張関係を背景に、阿紅の置かれた立場は非常にデリケートで、彼女の不安や葛藤が伝わってきました。麴崇裕は阿紅への想いを貫き、彼女を守ろうとする姿勢が印象的です。しかし、この二人の関係が今後どのような影響を及ぼすのか、不安も残ります。
一方、琉璃と裴行倹の関係は、深い愛情と信頼で結ばれています。裴行倹の琉璃への献身的な姿は、感動的ですらあります。琉璃の回復と共に、二人の穏やかな時間が戻ってきたことは喜ばしいですが、琉璃の行動には少し軽率な部分も見られ、今後の展開が気になります。特に、通行証の件は、大きな波乱を巻き起こす可能性も秘めているように感じます。
また、蘇定方と裴行倹の会話は、家族や責任について考えさせられるものでした。裴行倹の揺るぎない信念は、彼の誠実さを表しています。そして、韓四、阿霓、小檀といった周りの人々も、それぞれの立場で物語に彩りを添えています。
つづく