あらすじ
第二十九話は、登場人物たちの複雑な想いと運命の転換を描いています。
張敏娘は、麴崇裕が阿紅に贈った酒に気づき、彼が彼女に想いを寄せていることを悟ります。一方、琉璃は体重が増え、体調も良くなったことを喜び、裴行倹は彼女に人生を楽しむように勧めます。阿紅は麴崇裕への想いを告白し、たとえ彼が去っても後悔しないと告げます。
柳如月は、方烈と名を変えた方公子を見つけます。彼は過去に傷を負っていますが、二人は再会し、共に未来を歩むことを決意します。琉璃と裴行倹は二人の再会を喜び、結婚を後押ししようとします。
そんな中、阿紅は、故郷の部族に父親に会えないという知らせを偶然耳にし、悲しみに暮れます。しかし、麴崇裕は彼女を支えると約束し、二人の絆は深まります。
物語は六年後、裴行倹の統治によって北部の地域が繁栄している様子で幕を閉じます。時の流れと登場人物たちの成長、変化が描かれています。
ネタバレ
張敏娘は麴崇裕が阿紅に酒を贈ったと知り、心中穏やかではありません。麴崇裕の雲伊への想いに気づいているのは、どうやら敏娘だけのようです。
琉璃は最近、外出を焦るあまり体重が増え、少し落ち込んでいました。しかし、韓四から外出許可が出ると大喜び。裴行倹に抱き上げられ、もっと太っても良いと言われると、さらに嬉しそうです。
雲伊は麴崇裕からの酒を味わい、幸せに浸っています。琉璃に、たとえ崇裕が長安へ行き、側にいられなくなっても後悔しないと、強い想いを打ち明けました。
柳如月はついに方公子を見つけました。しかし、彼は過去に上官を殺害した罪で追われています。正当防衛ではあったものの、当時は「謀仮」と見なされました。顔の傷もあり、裴行倹が身分を隠す手助けをするのも難しい状況です。戦功を立てて恩赦を受けるしか道はありませんが、それは容易なことではありません。方公子は今は「方烈」と名乗り、真っすぐな性格が災いして独身のままです。柳如月との再会は、言葉もなく、ただ涙を流すばかりでした。
方烈が沈黙を破り、裴行倹たちは二人きりにしてあげようと席を外します。月を見上げた琉璃は、二人の再会に心を打たれ、裴行倹は「天の導き」だと慰めます。琉璃は二人の幸せを祈りました。
方烈は顔の傷を気に病み、柳如月と向き合うことをためらいますが、柳如月は傷跡を気にするどころか、痛むかどうかを心配します。方烈は元気に暮らし、将軍に従って戦い、狩りをしてきたと伝え、戦が終わったら柳如月を探しに行くつもりだったと明かします。柳如月は方烈についていくと申し出ますが、方烈は柳如月が苦労するのではないかと心配します。最終的に、今回の戦で手柄を立て、正式に柳如月を娶ると約束。柳如月はまた自分から離れようとしたのかと責めます。方烈は柳如月の手を強く握り、彼女の意思に従い、二度と離れないと誓いました。
一方、小檀は一人で夜空を見上げています。阿成は彼女に羽織をかけて寄り添い、一緒に月を眺めます。
方烈と柳如月が語り終えた後、裴行倹と琉璃が二人のもとへ行き、結婚を後押しすることを伝えます。方烈は西州で式を挙げた後、旅立つ予定で、琉璃に協力を頼みます。裴行倹はまず都護府で麴崇裕に報告するように助言します。
琉璃は雲伊を故郷へ送り、父親に会うことを提案しますが、裴行倹は現状では難しいこと、そして故郷へ帰っても父親に会えるとは限らないことを指摘します。さらに方烈の結婚式もあるため、雲伊には内緒にするように琉璃に忠告します。しかし、この会話を雲伊は偶然聞いてしまいました。
方烈の結婚式で、雲伊は心を痛めています。彼女の異様に気づいた麴崇裕は、人々から酒を勧められるも、雲伊の後を追います。人込みの中で雲伊を見失った崇裕は、泣き崩れる雲伊を隅で見つけます。彼女の手には父親の形見の腕輪が握られていました。崇裕は雲伊を故郷へ送ると決意し、雲伊は感謝の涙を流します。崇裕は雲伊を抱きしめ、優しく慰めました。
雲伊は、裴行倹と琉璃の会話を偶然聞いてしまい、計画を知っていたことを崇裕に告げます。そして、危険を承知で故郷へ帰ることは諦めたと伝えます。崇裕は涙を拭い、雲伊の成長を感じます。そして、これから自分が雲伊を守ると約束し、二人は強く抱き合います。
六年後、裴行倹の統治により、北部の地域は繁栄し、人々は心を一つに唐に帰順しました。
第29話の感想
第29話は、様々な愛の形が描かれた感動的なエピソードでした。柳如月と方烈の再会は、長年の積もる想いが溢れ出す名場面。互いを思い続ける一途な愛、そして、顔の傷を気に病む方烈と、それを全く意に介さない柳如月のやり取りは、真の愛とは何かを問いかけるようでした。困難な状況の中でも希望を捨てず、愛を貫こうとする二人の姿は、多くの視聴者の心を掴んだことでしょう。
一方、阿紅と麴崇裕の関係も大きな進展を見せました。父親の訃報を知りながらも、故郷へ帰ることができない雲伊の悲しみは計り知れません。そんな彼女を優しく包み込む麴崇裕の優しさ、そして、雲伊を守るという力強い決意は、二人の絆をより一層深めたように感じます。これまで雲伊に特別な感情を抱いていることに気づいていなかった麴崇裕も、今回の出来事をきっかけに、自分の本当の気持ちに気づいたのではないでしょうか。
また、張敏娘の切ない片思いも印象的でした。麴崇裕の雲伊への想いに気づきながらも、何もできないもどかしさ。彼女の揺れる心情が繊細に描かれており、共感せずにはいられませんでした。
つづく