あらすじ
第三話では、珊瑚が裴炎と琉璃の不義密通を糾弾し、大騒動を引き起こす様子が描かれています。裴炎の妻、岑娘は冷静に事態を収拾しようと、翠竹の証言によって事実を明らかにし、珊瑚の誣告を暴きます。琉璃は見事に身の潔白を証明し、阿崔から洛陽の田地と引き換えに沈黙を守るよう持ちかけられますが、裴家の名誉を守るため、これを拒否します。この事件により珊瑚は罰を受け、琉璃の屋敷に送り返される頃には重傷を負い、口を封じられて余命わずか二日となっていました。大長公主はこの責任を珊瑚に押し付けようとしますが、計画は失敗に終わります。そして、珊瑚は琉璃の屋敷で息を引き取ります。母の阿曹は琉璃を深く恨み、琉璃は深い悲しみとやるせなさを抱えます。裴行倹は琉璃を慰め、彼女への支えといたわりを示します。
ネタバレ
珊瑚は、裴炎と琉璃が密会していたと、いつもの場所で裴炎を責め立てます。そこへ裴炎の妻、岑娘が現れますが、騒ぎ立てることなく冷静に状況を尋ねます。裴炎は少し酔いが醒め、侍女に呼ばれたと説明しますが、肝心の侍女は見当たりません。珊瑚は、侍女と共に琉璃と裴炎が林の中で著衣を乱しているのを目撃したと主張し、大声で助けを求めたと言います。
琉璃は世子に事の顛末を問い詰め、到著時間から逆算して、自分が林から川を渡って来るのは不可能だと論理的に説明します。世子は珊瑚の嘘を叱責します。珊瑚の侍女が言い訳を試みますが、琉璃に全て仮駁されてしまいます。翠竹も状況を説明し、岑娘は翠竹の言葉を信じます。翠竹は岑娘の陪嫁の侍女であり、阿霓が門前払いされたため、岑娘が翠竹に琉璃の絵を描くように頼んでいたため、琉璃のために嘘をつくはずがないからです。珊瑚は顔色を失い、なぜ琉璃の侍女が岑娘の関係者なのか分からず、策略は失敗に終わります。
怒った岑娘は調査を要求しますが、阿崔は裴家の評判を落とさないようにと止めようとします。しかし、岑娘は聞き入れません。琉璃が川を渡って来ると、阿崔は許しを請い、洛陽の田産を取り戻すことを約束しますが、琉璃は裴家の名誉に関わることなので田産と交換することはできないと拒否します。世子は怒って立ち去ります。
大長公主は激怒し、阿崔と阿盧を呼びつけ、洛陽の田産を持ち出すべきではなかったと叱責します。珊瑚が罰を受けて休んでいると聞き、大長公主は侍女に命じて珊瑚の頭に水をかけさせます。珊瑚は土下座して許しを請いますが、大長公主は怒りで倒れそうになります。珊瑚はもう一度チャンスを請いますが、大長公主は冷笑しながら珊瑚を厳しく罰し、阿崔にも十回の杖刑を命じます。阿崔は恐怖でその場にへたり込みます。大長公主は阿盧に、この事件を珊瑚のせいにして、姉妹間の不和が原因だと外に言いふらすように命じます。
琉璃の屋敷では、裴行倹が来ると聞き、問罪に来たと思い、珊瑚の母、阿曹を巻き添えにしないよう縛り上げます。裴行倹は到著後、お茶に招かれ、琉璃は阿曹が病気で会えないと嘘をつきます。裴行倹は見抜いていますが、何も言わず、義父に果物を勧めます。裴行倹が帰ろうとすると、阿曹は縄を解いて裴行倹に珊瑚を助けてくれるよう頼み、昔琉璃にひどいことをしたのは自分であり、珊瑚ではないと訴えます。裴行倹は阿曹の話を聞くことに同意します。阿曹は、珊瑚は大長公主の命令に従っただけであり、自分も河東公府に二度行き、珊瑚が死にかけたことを知っているため、助けてほしいと懇願します。裴行倹は信じず、以前阿曹は琉璃に二度と危害を加えないと誓ったため、今は因果応報だと告げます。
裴行倹は珊瑚が琉璃を陥れたことに怒り、琉璃の父と共に帰ります。阿曹は再び閉じ込められます。途中で琉璃を迎えに行き、裴行倹は家に客人がいると予測し、琉璃を先に隠しておきます。
帰宅後まもなく、阿成が重傷を負った珊瑚を連れた阿盧が世子の離縁状を持って訪ねてきたと報告します。全ての罪は珊瑚に著せられています。琉璃は父に任せ、父は後悔しながら離縁状を受け取り、珊瑚を連れて帰ろうとします。医者は珊瑚の命はあと二日だと診断します。阿盧は大長公主の言葉を思い出します。大長公主は珊瑚を琉璃の屋敷で死なせ、姉妹不和を証明し、河東公府の名誉を守ろうとしていました。
琉璃は阿盧が珊瑚をここまで傷つけたことを責め、珊瑚は怒りで言葉が出ません。蕭医官は珊瑚が声が出ない薬を飲まされたと告げます。裴行倹は蕭医官に治療を試みるよう頼みます。琉璃は河東公府が珊瑚の面倒を見るべきだと主張しますが、阿盧は琉璃の恨みを晴らすためだったと言い訳し、珊瑚を連れ帰る勇気がなかったと釈明します。琉璃は珊瑚を哀れみ、河東公府の無情さに憤ります。
阿盧は大長公主に報告に戻り、大長公主は激怒します。当初の計画は珊瑚を琉璃の屋敷に送ることでしたが、裴行倹が先に庫狄延忠と蕭医官を呼び、珊瑚の状態を診断させたため、策略は失敗に終わりました。
まもなく珊瑚は亡くなり、庫狄延忠は葬儀を行います。琉璃と裴行倹は弔問に訪れます。阿曹は琉璃を責めますが、琉璃は珊瑚を傷つけようとしたことはなく、全ては珊瑚が選んだ結果だと説明します。庫狄延忠は阿曹を止め、これは珊瑚の報いだと告げます。
琉璃は一人で涙を流し、裴行倹は優しく彼女の涙を拭き、自分の上著を羽織らせて抱きしめ慰めます。
第3話の感想
第3話は、珊瑚の悲劇的な最期と、それを取り巻く登場人物たちの複雑な感情が描かれた、非常に重く心に響くエピソードでした。珊瑚の企みは、琉璃の機転と岑娘の冷静な判断によってあっけなく破綻しますが、大長公主の冷酷な策略によって、彼女はより残酷な運命へと追い込まれていきます。
特に印象的だったのは、大長公主の権力と保身への執著です。自分の立場を守るためなら、他人の命さえも駒として使い捨てるその姿は、まさに悪女そのもの。珊瑚を操り、利用し、最終的には見殺しにする彼女の非情さは、見ていて胸が締め付けられるようでした。
一方、琉璃は、濡れ衣を著せられながらも冷静さを失わず、知性と機転で危機を乗り越えていきます。そして、珊瑚に対しても、憎しみや復讐心ではなく、哀れみと慈悲の心を持つ彼女の優しさは、この物語の光と言えるでしょう。裴行倹もまた、琉璃を支え、冷静に事態を見極めようと努める姿が印象的でした。
つづく