あらすじ
第34話では、麴崇裕と阿紅の親密な関係が描かれています。しかし、聖人から兵力制限の勅書が出されたことで、蘇海政は六百の精鋭兵が殺された事実を隠蔽するため、阿史那部族の長を暗殺する計画を企てます。蘇南瑾が麴崇裕たちを捕らえようとしたその時、琉璃と阿紅たちが駆けつけ、現場は一時緊迫した状況に陥ります。王君孟の仲裁により、直接的な衝突は避けられました。
琉璃は、興惜亡可汗が蘇海政に殺されたのではないかと疑いを抱き、馮参軍の脅しにも屈することなく正義を貫き、民衆の支持を集めます。最終、琉璃たちの尽力により事態の悪化は一時的に食い止められますが、彼らはさらに大きな陰謀が渦巻いていることを感じ取ります。そこで張敏娘に助けを求めますが、拒絶されてしまいます。
ネタバレ
麴崇裕と阿紅は親密な様子で、二人の間には温かい空気が流れていた。しかし、聖人からの勅書により、蘇海政は大規模な軍事行動を禁じられ、小規模な仮乱のみ現地の兵力で鎮圧することとされた。龜茲の民は既に逃亡しており、蘇海政には今のところ出兵の機会がない。そこで、六百の精鋭兵の死を隠蔽するため、昆陵都護府への褒賞を名目に、阿史那部族の長を闇殺する計画を企てる。
蘇南瑾は兵を率いて、謀仮人である裴行倹と麴崇裕を捕らえに来た。大総管の命令に背いたと告発されたされるも、麴崇裕は臆することなく、堂々としていた。知らせを聞いた琉璃、阿紅、麴鏡唐らも駆けつけ、現場は一触即発の緊張状態となる。その時、馮参軍が仲裁に入り、内部で話し合いが行われる。王君孟の助けを得て現れた麴都護は、蘇南瑾に自分の地位を思い出させ、任免権は蘇海政にはないと主張する。王君孟の説得もあり、麴都護は立ち去る。
門外で、琉璃は馮参軍に質問するが、彼は軍令に従っていると言うだけで明確な答えを避ける。琉璃が興惜亡可汗の安否を尋ねると、馮参軍の返答から、可汗は既に蘇海政に殺害された可能性が高いと琉璃は疑う。馮参軍は周校尉を脅して事態を収拾しようとするが、周校尉は琉璃の側につく。琉璃は馮参軍の行動を「無茶苦茶だ」と非難し、周囲の民衆も琉璃を支持し始める。
民衆の圧力を受け、蘇南瑾は麴崇裕と裴行倹への処置を保留し、二人はそのまま碁を打ち続ける。一方、琉璃は馮参軍に対し、彼の真の目的は殺された馬賊の復讐ではないかと指摘する。馮参軍は激怒するが、琉璃が武后と親しいことを知り、手出しはできない。結局、馮参軍は蘇南瑾に報告すると言ってその場を去る。
琉璃は周校尉に無駄な争いを避けるよう忠告し、阿紅、麴鏡唐と今後の対策を話し合う。三人は、蘇海政が興惜亡可汗を殺害し、麴家に罪を著せたのではないかと推測する。そして、張敏娘に助けを求めるが、彼女は冷淡な態度で、琉璃への復讐を口にする。麴鏡唐は張敏娘の恩知らずな態度を厳しく叱責する。琉璃は張敏娘に軽挙妄動すれば自業自得だと警告する。
第34話の感想
第34話は、陰謀渦巻く緊張感と、登場人物たちの複雑な思惑が交錯する、息詰まる展開でした。蘇海政の狡猾さが際立ち、精鋭兵の死を隠蔽するために更なる陰謀を企てる姿は、まさに悪の権化と言えるでしょう。勅書によって行動を製限されながらも、闇殺計画を画策する冷酷さには、恐怖すら感じます。
対する麴崇裕と阿紅の穏やかなシーンは、嵐の前の静けさを予感させ、二人の絆の強さを改めて感じさせました。蘇南瑾の登場で事態は急変し、一触即発の緊張感が漂います。琉璃の機転と民衆の支持により、窮地を脱する展開は、まさに痛快でした。特に、馮参軍との対峙シーンは、琉璃の知性と勇気が発揮され、見応えがありました。
周校尉の選択も印象的でした。上官の命令に盲従せず、琉璃の正義感に共感し、行動を共にする姿は、希望の光を感じさせます。また、張敏娘の豹変ぶりには驚愕しました。かつての恩情を忘れ、復讐心に囚われた姿は、人間の心の脆さを浮き彫りにしています。今後の彼女の動向が、物語にどのような影響を与えるのか、注目したいところです。
つづく