あらすじ
第八話では、琉璃が長安を離れ西州へ向かう様子が描かれています。表向きは商売のためですが、本当の目的は裴行倹を追いかけることでした。旅の途中、裴行倹は琉璃への想いを募らせ、酒に溺れる日々を送っていました。そんな中、阿紅という女性を助けたことがきっかけで、思いがけず琉璃と再会を果たします。裴行倹は琉璃の心を繋ぎ止めようとしますが、かつて自分が書いた離縁状が原因で、琉璃は深く傷つき失望しており、彼との距離を縮めることができません。再会は喜びよりも苦しみを伴い、複雑な感情が渦巻く中、琉璃は再び裴行倹の元を去ることを決意します。一人残された裴行倹は、自らの過ちと後悔に苛まれるのでした。
ネタバレ
琉璃は杨夫人に武昭儀への恩を忘れず、臣下としての本分を守ることを誓い、杨夫人を納得させて送り出した。陸瑾娘は琉璃に別れを告げに訪れ、陸琪娘の仇討ちへの感謝と、裴行倹が琉璃のような聡明で機転の利く女性に出会えたことを喜んだ。
琉璃は商売を口実に、実際は裴行倹の後を追って西州へ向かった。侍女たちは裴行倹を想う琉璃の気持ちを見抜いていたが、琉璃自身はそれを認めようとせず、ただ手の中の玉佩が彼女の想いを物語っていた。裴行倹もまた、同じ玉佩を握りしめ、琉璃を想っていた。
長安を離れた裴行倹は、琉璃に残した離縁状のことを思い出し、酒に溺れる日々を送っていた。阿成は琉璃がいればこんなことにはならないと慰めるが、裴行倹の耳には届かない。酒だけが、彼を一時的に苦しみから解放してくれた。
旅の道連れは琉璃に裴行倹を忘れ、西州で新たな伴侶を見つけるよう勧めるが、琉璃はただ黙って、裴行倹から贈られた玉佩を弄っていた。
ある小さな酒場で、裴行倹と阿成は米大郎と阿紅の争いに遭遇する。裴行倹は阿紅を助け、役人である裴行倹に米大郎は手出しできなかった。酒場の主人は二人を奥の部屋へ案内した。裴行倹はそこで長安特有の料理を見つけ、隣の客が彼の左遷について噂しているのを耳にする。彼らは目の前の人物が裴行倹ではないかと疑うが、互いに名乗り合うことはなかった。
奴隷となることを拒む阿紅は、度々米大郎と衝突しており、今回も米大郎を殺しかけてしまうが、裴行倹に阻まれた。米大郎は命の恩人である裴行倹に、阿紅を贈ろうとする。阿紅は自害しようとするが、裴行倹に抱き止められる。この場面を、ちょうど到著した琉璃が目撃してしまう。琉璃は裴行倹を知らないと言い、阿成が挨拶しても無視した。
夜、琉璃は裴行倹に会うことを拒否し、米大郎は裴行倹を誘って酒を酌み交わした。琉璃は大広間で歌や踊りを楽しみながら酒を飲む裴行倹と、傍らに控える阿紅の姿を見て、離縁状のことを思い出し、部屋に戻ってしまう。裴行倹は琉璃を追いかけようとするが、米大郎に引き止められた。
何も食べようとしない琉璃を心配し、阿霓と小檀が食事の用意をしていると、外で待つ裴行倹の姿を見つける。裴行倹は琉璃の部屋に入り、食事を持ってきたが、琉璃は冷たくあしらった。
裴行倹は涙ながらに謝罪し、許しを乞う。琉璃はうつむき、目に涙を浮かべていた。夜、琉璃は玉佩と離縁状を眺め、翌朝、裴行倹は琉璃一行が既に旅立ったことを知る。
第8話の感想
第8話は、すれ違う琉璃と裴行倹の切ない想いが胸を締め付ける展開でした。西州へ旅立った琉璃は、表向きは商売と言いつつ、明らかに裴行倹の後を追っているのが分かります。侍女たちも彼女の恋心を察しており、見ているこちらも応援したくなります。一方、裴行倹も琉璃への想いを募らせ、酒に溺れる日々。互いに同じ玉佩を握りしめ、相手を想う姿が切なさを増幅させます。
偶然の再会を果たすものの、阿紅の存在や離縁状が二人の間に壁を作り、素直になれない琉璃。誤解が誤解を生み、心が通じ合わないもどかしさが伝わってきました。特に、阿紅を助け、贈り物として受け取ってしまう裴行倹の行動は、琉璃の立場からすれば誤解するのも無理はありません。
琉璃の毅然とした態度と、それでも彼女を追いかけようとする裴行倹の姿は、二人の強い絆を感じさせます。しかし、最後に琉璃が去ってしまうシーンは、今後の展開が不安になる終わり方でした。二人の関係が修復されるのか、それともさらに溝が深まってしまうのか、次回が待ちきれません。
つづく