あらすじ

第九話は、涼州における琉璃るり穆三郎ぼくさぶろうの窮状を中心に描かれています。商隊の一員として旅をしていた二人は、蘇南瑾そ・なんきんに疑いをかけられ、荷物検査を受けます。琉璃るりは身分を隠すため、男装して街に紛れ込みます。しかし、街中で乞食たちに財布を奪われそうになり、その中の一人、女乞食のイースドゥオが財布の中の離縁状を読み上げてしまいます。これが官兵の注意を引き、琉璃るりは牢獄に入れられてしまいます。

一方、米大郎こめだいろうから知らせを受けた裴行倹はい・こうけんは、穆三郎ぼくさぶろうたちと琉璃るりの救出計画を練ります。裴行倹はい・こうけんは機転を利かせ、スパイではなく、この地の長史として赴任してきたと偽り、蘇南瑾そ・なんきんを欺きます。琉璃るりと対面した裴行倹はい・こうけんは、好色漢を装い、蘇南瑾そ・なんきん琉璃るりを献上すれば機嫌を取れると思わせます。蘇南瑾そ・なんきんは大長公主の手紙に裴行倹はい・こうけんのことが書かれていなかったことに疑念を抱きますが、裴行倹はい・こうけんは逆に蘇南瑾そ・なんきんを叱責し、琉璃るりを連れて行くと見せかけて救出を実行します。その間、阿成あせいが外で騒ぎを起こし、裴行倹はい・こうけん琉璃るり救出を助けます。

ネタバレ

宿の店員は穆三郎ぼくさぶろう琉璃るりの許婚と思い込み、二人を褒め称えますが、実際は従兄妹同士。阿成あせいが慌てて店員の間違いを訂正します。

出発間際の裴行倹はい・こうけんは、米大郎こめだいろう蘇定方そ・ていほうへの手紙を託します。米大郎こめだいろうは引き受けると共に、蘇南瑾そ・なんきんが沙洲刺史の息子で、大長公主に忠誠を誓い、素行の悪い人物であることを明かします。裴行倹はい・こうけんはこの情報に不安を覚えます。

蘇南瑾そ・なんきんは北のスパイを探る名目で商隊を止めます。危険を感じた穆三郎ぼくさぶろうは急いで琉璃るりに知らせます。蘇南瑾そ・なんきんが馬車を調べに来た時には、琉璃るりは男装して群衆に紛れ込み、二人の侍女が残って注意を逸らします。蘇南瑾そ・なんきんが疑念を抱いた瞬間、侍女たちは泣き出して彼の気をそらします。

琉璃るり穆三郎ぼくさぶろうは街へ入りますが、すぐに乞児たちに目をつけられます。伊絲朶いしだという名の女乞児が琉璃るりの財布を盗みます。追いかける中で、二人は五人の小乞児に囲まれ、琉璃るりは匕首で脅かされる窮地に陥ります。巡邏の兵士が来る直前、伊絲朶いしだ琉璃るりの正体を暴露し、離縁状を持っていたため捕らえられます。

裴行倹はい・こうけんは救出しようとしますが間に合いません。穆三郎ぼくさぶろうは商隊に戻って助けを求めますが、既に裴行倹はい・こうけんが救出作戦を練っているところでした。牢獄では、伊絲朶いしだ琉璃るりに自己紹介し、脱獄の手助けを約束します。蘇南瑾そ・なんきんが様子を見に来た際、伊絲朶いしだ裴行倹はい・こうけんの妻だと嘘をつき、一時的に彼を欺きます。しかし、すぐに嘘がバレて、蘇南瑾そ・なんきん伊絲朶いしだを殺そうとします。

琉璃るりを救うため、裴行倹はい・こうけんは様々な計略を巡らせます。穆三郎ぼくさぶろうは胡人に変装してスパイを密告し、阿古あこ阿成あせいは公衆の面前で裴行倹はい・こうけんの身分を強調します。これらの行動により、裴行倹はい・こうけん蘇南瑾そ・なんきんに近づき、巧みに琉璃るりへの関心を示します。最終的に、外圧の高まりにより、蘇南瑾そ・なんきん裴行倹はい・こうけん琉璃るりを釈放せざるを得なくなります。外で阿成あせいが大声を上げて騒ぎ立て、事態をさらに緊迫させます。物語は緊張感と知略に満ち、登場人物たちの複雑な関係性や、それぞれの目的を達成するための様々な戦略が描かれています。

第9話の感想

第9話は、ハラハラドキドキの展開で、息つく暇もないほどでした。琉璃るり穆三郎ぼくさぶろうの涼州でのピンチ、そしてそれを救う裴行倹はい・こうけんの知略、手に汗握るストーリーでした。特に、琉璃るりが男装して街に紛れ込むシーンや、乞児たちに囲まれるシーンは緊迫感があり、見ているこちらも思わず力が入ってしまいました。

侍女たちの機転や、穆三郎ぼくさぶろう琉璃るりを思う気持ちも印象的でした。侍女たちは、蘇南瑾そ・なんきんの疑いを泣き落としで逸らすという、とっさの判断で琉璃るりを守り抜きました。穆三郎ぼくさぶろうも、琉璃るりが危険に晒されていると知ると、すぐに駆けつけ、裴行倹はい・こうけんと共に救出作戦を練るなど、従兄としてだけでなく、一人の男性としての優しさを見せてくれました。

一方、悪役である蘇南瑾そ・なんきんの冷酷さも際立っていました。伊絲朶いしだを殺そうとするシーンは、彼の残忍さを改めて感じさせ、物語に緊張感を与えていました。

つづく