太子妃は称心しょうしんに太子のもとを去るよう説得しますが、称心しょうしんは断固として太子への忠誠を誓い、留まる決意を表明します。

韋源承いげんしょうは韋家の勢力拡大のため、皇上に韋貴妃い・きひを皇后に立てるよう進言します。しかし、韋貴妃い・きひの傲慢な態度は周知の事実であり、皇后冊立は太子の立場を危うくする可能性がありました。皇上は太子を深く寵愛しているため、皇后が立てば太子は失寵するかもしれないと懸念されます。

皇上は掖庭えきていを訪れ、皇太后を見舞います。皇太后は皇上を兄の李建成と勘違いし、弟の恵児けいじを傷つけないようにと懇願します。かつて皇位争いで兄と弟を殺めた皇上は、自分を認識できない皇太後の言葉に深く心を打たれます。

大朝会で皇上は大赦を発令し、多くの罪人が掖庭えきていから解放されます。しかし、常習的に喧嘩を起こしていた羅将軍らしょうぐんとその部下は除外されました。徐慧じょ・けい掖庭えきていの外で武如意ぶ・にょいを迎え、二人は涙を流しながら抱き合います。皇上は武如意ぶ・にょい才人さいじんの位を回復し、清寧宮せいねいきゅうへの移住を許可、さらに瑞安ずいあんという宦官を付き添いにさせます。

武如月の顔が傷ついていないことを知った韋貴妃い・きひは激怒し、羅将軍らしょうぐんに濡れ衣を著せて処刑します。春盈しゅんえい掖庭えきてい羅将軍らしょうぐんを杖刑に処し、羅将軍らしょうぐんは息を引き取る間際に武如月の名を呟きます。瑞安ずいあんから羅将軍らしょうぐんの死を聞かされた武如意ぶ・にょい掖庭えきていに駆けつけますが、既に冷たくなった羅将軍らしょうぐんの遺体と対面するのみでした。

徐慧じょ・けいと話す中で、武如意ぶ・にょいは自身への苦難は耐えられるものの、韋貴妃い・きひによる他者への仕打ちには憤りを隠せません。悲惨な人生を送ってきた羅将軍らしょうぐんの死を無駄にしないため、武如意ぶ・にょい韋貴妃い・きひをいつか必ず見下す存在になると誓います。徳妃とくひは息子である斉王せいおうに手紙を送り、長安の騒動に巻き込まれないよう斉州で病気を装うよう指示します。

楊妃は妃嬪たちに瑠璃宴るりえんの衣装の布地を選ばせます。徐慧じょ・けい武如意ぶ・にょいは同じ雲錦を気に入りますが、蕭薔しょう・ちょうもそれを欲しがり、三人の間で争いが始まります。楊妃はその様子を静観します。そこに韋貴妃い・きひが現れ、蕭薔しょう・ちょう徐慧じょ・けいに雲錦を奪われたと訴えますが、韋貴妃い・きひは逆に蕭薔しょう・ちょうを平手打ちします。

第11話の感想

第11話は、権力闘争の激化と登場人物たちの複雑な感情が交錯する、非常にドラマチックな展開でした。武如意ぶ・にょい才人さいじん復帰は喜ばしいものの、羅将軍らしょうぐんの悲劇的な死は大きな衝撃を与えます。この出来事は、武如意ぶ・にょいの復讐心へと火をつけ、物語が新たな局面を迎えることを予感させます。

韋貴妃い・きひの冷酷さと傲慢さは、ますますエスカレートしています。羅将軍らしょうぐんへの仕打ちは、彼女の権力への執著と残忍さを象徴する出来事と言えるでしょう。一方で、皇太后が皇上を李建成と誤認する場面は、皇上の過去の罪と苦悩を浮き彫りにし、人間味を感じさせるシーンでした。

つづく