楊貴妃の指示で、武如意は偏殿で徳妃の手伝いをしていた。二人の会話中、楽官の一人が琴の弦で怪我をし、悲鳴を上げた。間もなく始まる演奏に支障が出たため、皆が困惑した。
瑠璃宴で、高昌の楽姫が西域の古曲を披露した。彼女は唐で最も優れた楽官との勝負を望んだが、怪我をした楽官こそが唐一の腕前だった。そこで武如意は一計を案じ、高昌の楽姫の曲を少し理解している女官に侍女の服を著せ、演奏後に武如意がわざと楽姫の演奏を「まあまあ」と評した。プライドを傷つけられた楽姫は不満げな表情を見せた。
武如意は、その曲は西域では難しいが、唐では広く知られており、宮女でも弾けると言い、偽の宮女を登場させた。琵琶の演奏が始まると、皆が唐の宮女の腕前に感嘆し、高昌の楽姫も負けを認めた。
天竺の国師は、十万両の黄金という破格の値段で天竺の聖物を献上し、唐では破壊不可能だと豪語した。しかし、武如意は李淳風から聖物が金剛石の細工品だと聞いており、国師の嘘を見破り、別の金剛石で聖物を破壊した。
物部天守と徐慧の対局が始まるはずだったが、物部天守は徐慧が女性であることを見下し、唐最強の碁待詔との勝負を要求した。武如意は徐慧とまず対局し、負けたら碁待詔と対戦させると提案した。物部天守は、自分が負けたら切腹すると宣言した。
対局中、徐慧は突然倒れた。侍医に診せた後、武如意は徐慧の代わりに物部天守と対局することになった。楊貴妃は、武如意の碁風が徐慧の戦術を継承していることに気づいた。武如意は勝利目前だったが、あえて別の打ち方を選び、引き分けに持ち込んだ。
物部天守は武如意がわざと引き分けたことを見抜き、約束通り切腹しようとした。武如意はそれを止め、人生は長いので一局の碁で命を落とすべきではないと諭した。武如意は勝たなかったものの、その謙虚さと慈愛に、列席した外国の使節たちは感銘を受けた。
第14話の感想
第14話は、武如意の機転と知性、そして慈愛に満ちた人柄が際立つエピソードでした。高昌楽姫との音楽対決では、咄嗟の判断で女官を偽の宮女として舞台に立たせ、唐の文化の高さをアピールすることで、国威を保ちました。天竺国師の偽物を見破る場面では、李淳風から得た知識を活かし、冷静に相手を論破する知性を見せつけました。そして、物部天守との囲碁対決では、徐慧の窮地を救い、自らの勝利よりも相手の命を尊重する慈愛深い行動を取りました。
これらの出来事を通して、武如意は単なる後宮の妃嬪ではなく、国の危機を救う知略と、人々を思いやる優しさを持つ特別な存在として描かれています。特に、物部天守との対局で引き分けを選んだシーンは印象的でした。勝利よりも命を重んじる彼女の判断は、周囲の人々に感銘を与え、真の強さとは何かを問いかけるものでした。
つづく