瑠璃宴るりえんの後、楊淑妃よう・しゅくひの手下である楊掌史ようしょうし劉司薬りゅうしやくを呼び止め、なぜ最後の瞬間に楽官の琴の弦をすり替えたのか、そのせいで楽官が怪我をして演奏できなくなったのかと問い詰めた。劉司薬りゅうしやくは答えられず、楊淑妃よう・しゅくひは彼女を内侍監ないじかんに連行して尋問させた。

これまで瑠璃宴るりえん韋貴妃い・きひが主催してきたが、今回は突然楊淑妃よう・しゅくひに代わり、韋貴妃い・きひは不満を抱いていた。彼女はこっそり何人かを使って楊淑妃よう・しゅくひ瑠璃宴るりえんを妨害しようと企て、心優しい徳妃とくひ韋貴妃い・きひ側に付き、劉司薬りゅうしやくに楽官の琴の弦をすり替えさせたのだった。

徳妃とくひ劉司薬りゅうしやく内侍監ないじかんで全てを白状することを恐れたが、韋貴妃い・きひ劉司薬りゅうしやくの人となりを信じ、徳妃とくひが口止めすればきっと黙っているだろうと考えていた。韋貴妃い・きひは密かに楊淑妃よう・しゅくひを失脚させる計画を立て、楊淑妃よう・しゅくひもまた韋家の宮中での勢力を揺るがしめようとしていた。韋貴妃い・きひ徳妃とくひに、今の朝廷で最も力を持っているのは依然として韋家であり、自分に従えば斉王せいおうを長安に戻し、徳妃とくひと再会させると約束した。徳妃とくひは表向きは韋貴妃い・きひと手を組んだ。

徳妃とくひは計画通り劉司薬りゅうしやくに証言を書かせた。最初の証言では、瑠璃宴るりえんでの琴の弦のすり替えは韋貴妃い・きひの指示によるものだと記させた。そして、その証言を楊淑妃よう・しゅくひに渡し、皇帝に韋貴妃い・きひを告発するよう仕向けた。

しかし、実際には徳妃とくひは、今の韋貴妃い・きひ斉王せいおうを長安に戻す力はないことを知っていた。もし将来韋貴妃い・きひが力を取り戻したとしても、徳妃とくひは利用された駒として捨てられるだろう。だから、徳妃とくひ楊淑妃よう・しゅくひ側につくべきだと考えた。

楊淑妃よう・しゅくひ武如意ぶ・にょいと手下を連れ、皇帝のもとへ韋貴妃い・きひを告発しようと向かった。土壇場で徳妃とくひは小紙片を楊淑妃よう・しゅくひに届け、それを読んだ楊淑妃よう・しゅくひは、今はまだ韋貴妃い・きひを倒す時ではないと悟った。皇帝に謁見した楊淑妃よう・しゅくひは、劉司薬りゅうしやくが琴の弦をすり替えたのは韋貴妃い・きひの指示ではなく、半月前に琵琶の楽師と個人的な恨みがあったためだと証言した。

徳妃とくひを守るため、劉司薬りゅうしやくは首を弔って自害し、個人的な恨みで琴の弦をすり替えたという内容のもう一枚の証言を残した。以前、楊淑妃よう・しゅくひはフリン麺扇に毒を仕込み、武如意ぶ・にょいを殺そうとしたが、徐慧じょ・けいが犠牲になってしまった。疑いを晴らすため、楊淑妃よう・しゅくひはフリン麺扇は韋貴妃い・きひから贈られ、それを自分が武如意ぶ・にょいに贈ったという噂を流した。

第15話の感想

第15話は、宮廷内の権力争いが複雑に絡み合い、それぞれの思惑が交錯するスリリングな展開でした。特に、徳妃とくひのしたたかさと覚悟が印象的でした。表向きは韋貴妃い・きひに従いながらも、内心では楊淑妃よう・しゅくひ側につくという決断は、我が子である斉王せいおうとの再会を望む母としての強い思いと、生き残りをかけた賢明な判断の表れでしょう。韋貴妃い・きひの甘言に乗せられず、冷静に状況を分析し、最終的に自分の利益になる道を選んだ彼女の立ち回りは、まさに策士と言えるでしょう。

一方、楊淑妃よう・しゅくひもまた、一枚上手でした。徳妃とくひからの密告を受け、すぐさま状況を理解し、韋貴妃い・きひを告発するのではなく、劉司薬りゅうしやくの個人的な恨みによるものだと証言を変える機転の良さは、彼女の頭の回転の速さと、権力闘争における経験の豊富さを物語っています。武如意ぶ・にょいはまだ宮廷内の複雑な人間関係や権力構造を理解しきれていないようですが、楊淑妃よう・しゅくひのような狡猾な人物の側近として、今後どのように成長していくのかも見どころの一つです。

つづく