媚娘びじょうは皇帝に謁見し、謀仮の罪を犯したとはいえ、実の息子である斉王せいおうの助命を嘆願した。徳妃とくひの最期の願いも心に重くのしかかっていた。しかし、皇帝は、斉王せいおうが長安に来る前に殷大人いんたいじんに殺されたと告げた。

潼関で斉州軍が鎮圧された際、皇帝から派遣された侍衛は、刀を捨てれば命は助かると斉王せいおうに伝えた。斉王せいおうは信じなかったが、侍衛が赦免の勅令を見せると、斉王せいおうは喜んだ。その瞬間、殷大人いんたいじん斉王せいおうを刺し殺した。殷大人いんたいじんは、皇帝を殺せなかった代わりに、皇帝の実子を殺したと言い残し、自害した。

斉王せいおうは幼い頃から皇帝によって斉州に送られ、皇帝は彼の顔さえよく覚えていなかった。斉王せいおうの誕生は思いがけず、皇帝は彼を遠ざけることで災いを避けられると考えたが、結局このような悲劇的な結末を迎えることとなった。

最近、太白星が昼間に出現し、宮廷内は不安に包まれていた。星象は国家の運命と結びついているため、皇帝は李淳風りじゅんぷうに占ってもらうよう命じた。

深夜、皇帝が奏上を読んでいると、武媚娘びじょうは密かに彼を観察していた。その時、宦官が李淳風りじゅんぷうが急ぎの用件で参りたいと伝えた。李淳風りじゅんぷうは靴も履かずに駆けつけ、皇帝はすぐに彼に謁見した。

李淳風りじゅんぷうは、最近の星象は確かに国運に関わっており、唐は三代で滅び、女帝の武氏が取って代わると予言した。そして、後の禍を絶つため、朝廷にいる全ての武氏を殺すべきだと皇帝に進言した。この会話を盗み聞きしていた武媚娘びじょうは、驚きのあまり声を上げそうになり、慌てて口を押さえた。

韋貴妃い・きひ春盈しゅんえい李淳風りじゅんぷうの占いの内容を探らせるよう命じた。李淳風りじゅんぷうの弟子は、師匠が占った結果を書いた紙切れを春盈しゅんえいに渡し、春盈しゅんえい韋貴妃い・きひに報告した。韋貴妃い・きひはそれを読み、すぐに魏王ぎおうに伝書鳩で知らせた。

侯君集こうくんしゅうが凱旋した時、高昌で仮乱が起きていた。皇帝は重臣たちに高昌平定の策を問うと、太子は侯君集こうくんしゅうを派遣すべきだと進言し、長孫無忌ちょうそんむきもそれに賛同した。

韋貴妃い・きひ魏王ぎおうと会い、この機会に武媚娘びじょうを排除すべきだと考えたが、魏王ぎおうは武媚娘びじょうは大した脅威ではないとし、まずは太子を倒すことを優先すべきだと述べた。

第20話の感想

第20話は、不穏な空気が漂う回だった。斉王せいおうの悲劇的な死は、権力闘争の残酷さを改めて突きつける。皇帝は息子を遠ざけることで災いを避けようとしたが、皮肉にもそれが彼の死を招いてしまった。血の繋がりよりも権力維持を優先する皇帝の冷酷さが際立つ。

また、李淳風りじゅんぷうの予言は、物語に大きな影を落とす。唐の滅亡と女帝武氏の誕生という衝撃的な未来は、武媚娘びじょうだけでなく、視聴者にも大きな不安を与える。この予言が今後の展開にどう影響していくのか、目が離せない。

媚娘びじょうは、李淳風りじゅんぷうの予言を偶然耳にしてしまい、自身の運命に恐怖を感じているだろう。これまで、彼女は権力闘争に巻き込まれながらも、生き残るために必死だった。しかし、予言によって、彼女自身の存在が唐の滅亡に繋がるという重圧を背負うことになる。今後の彼女の行動、そして皇帝の仮応が非常に気になる。

つづく