皇帝は武媚娘びじょうにすっかり夢中で、常に一緒に過ごしています。嫉妬に狂った韋貴妃い・きひは、春盈しゅんえいを使い、再び武媚娘びじょうを陥れようと企みます。

楊淑妃よう・しゅくひは、乾祥宮けんしょうきゅうに仕込んだ内通者から、韋貴妃い・きひの陰謀を聞きつけます。彼女は早速清寧宮せいねいきゅうへ行き、武媚娘びじょうの部屋を捜索させます。見つかったのは、皇帝の生年月日が刻まれた青銅の人形。武媚娘びじょうは自分が罠に嵌められたことに気づきます。

そこへ、韋貴妃い・きひの猫が逃げたという口実で、春盈しゅんえいが捜索にやって来ます。武媚娘びじょうは冷静に捜索を許可します。その後、楊淑妃よう・しゅくひは武媚娘びじょうを净出池に誘い、密かに銀の針、白礬、黒豆を渡します。銀の針は食事前の毒味に、白礬と黒豆は蠱毒に侵されていないか確認するために使うようにと告げます。

楊淑妃よう・しゅくひは、今後さらに多くの者が武媚娘びじょうを陥れようとするだろうと警告し、用心するよう忠告します。皇帝の庇護にも限界があり、国と彼女どちらかを選ばなければならない時、皇帝は国を選ぶだろうと諭します。

皇帝は武媚娘びじょうに名馬・獅子驄を贈ります。韋貴妃い・きひはこれを利用して、新たな罠を仕掛けようと画策します。武媚娘びじょう甘露殿かんろでんで天灯を作り、皇帝も手伝います。皇帝は天灯が完成したら、一緒に净出池で飛ばそうと約束します。

二日後、皇帝は後宮の妃嬪たちや皇子たちを連れて馬場へ出かけます。武媚娘びじょうに獅子驄に乗るよう促し、その後、雉奴ちぬにも馬を選ぶように言います。雉奴ちぬは乗り気ではありませんでしたが、武媚娘びじょうに勧められ、獅子驄に乗ることになります。

雉奴ちぬが馬に乗った途端、獅子驄は暴走を始めます。武媚娘びじょうはすぐさま別の馬に乗り、雉奴ちぬを追いかけます。皇帝と従者たちも後を追います。武媚娘びじょうは獅子驄に追いつき、飛び移りますが、馬は依然として暴走を続けます。武媚娘びじょうは刀を抜いて獅子驄に突き刺し、崖っぷちで雉奴ちぬと共に馬から飛び降ります。駆けつけた皇帝は雉奴ちぬを抱きしめ慰めます。そして、刀を握りしめた武媚娘びじょうの姿を目にします。

宮に戻った武媚娘びじょうは、楊淑妃よう・しゅくひの言葉を思い出し、獅子驄を殺してしまったことを後悔します。大臣たちは武媚娘びじょうの行動を知り、皇帝に彼女を殺すよう進言します。獅子驄を手にかける女は、予言にある女主武氏に違いないと。皇帝も事態の深刻さを悟り、驪山での狩猟の際に決著をつけようと決意します。

第22話の感想

第22話は、武媚娘びじょうの才知と勇気、そして彼女を取り巻く宮廷内の権力闘争の激化が描かれた、非常に緊迫感のあるエピソードでした。韋貴妃い・きひの執拗な嫌がらせ、楊淑妃よう・しゅくひの助言、そして皇帝の寵愛と疑念の間で揺れ動く武媚娘びじょうの姿が印象的です。

特に、暴走する獅子驄から雉奴ちぬを救うシーンは、武媚娘びじょうの機転と勇敢さを際立たせていました。危険を顧みず馬に飛び移り、崖っぷちで雉奴ちぬと共に飛び降りる姿は、まさに英雄的と言えるでしょう。しかし、その勇気ある行動が、皮肉にも彼女自身を窮地に追い込むことになります。獅子驄を殺めたことで、大臣たちから「女主武氏」の予言を思い出させ、皇帝の疑念を深めてしまうという皮肉な展開は、今後の物語の波乱を予感させます。

つづく