皇帝は徐慧じょ・けいを毎日御書斎に侍らせて筆墨の世話をするように命じました。瑞安ずいあんは武媚娘びじょうに、皇帝が彼女を御書斎に呼ぶことはもうないと伝えました。武媚娘びじょうは無理に笑顔を作り、これで天灯を作る時間があると笑って言いました。

天灯を作り終えた武媚娘びじょうは、王公公に皇帝に手紙を届けてもらうように頼みました。手紙には、皇帝に戌の刻に浄出池のほとりで一緒に天灯を上げるようにお願いしていました。しかし、皇帝は手紙をちらっと見ただけで、それ以上何も言いませんでした。

韋貴妃い・きひも皇帝を乾祥宮けんしょうきゅうに招きました。浄出池のそばを通りかかったとき、王公公が皇帝に武媚娘びじょうがずっと待っていることを告げました。しかし、皇帝は乾祥宮けんしょうきゅうに向かいました。

韋貴妃い・きひは、蕭薔しょう・ちょうに龍の子を産ませて自分の地位を固めようと企んでいました。彼女は蕭薔しょう・ちょうを皇帝と一緒に食事に呼び、お酒で酔わせました。その間に、蕭薔しょう・ちょう韋貴妃い・きひが事前に渡していた鳳麟丸を飲み、皇帝の寝所に伺いました。酔っ払った皇帝は、蕭薔しょう・ちょうを武媚娘びじょうと間違えてしまいました。

浄出池のほとりで待っていた武媚娘びじょうは、皇帝が来ないことに気づきました。瑞安ずいあんは皇帝が乾祥宮けんしょうきゅうに行ったことを伝え、もう待たないように諭しました。結局、武媚娘びじょうは一人ぼっちで天灯を上げました。

夜になり、皇帝は目が覚めると隣に蕭薔しょう・ちょうがいることに気づきました。彼はすぐに服を着て、政務が忙しいことを理由に乾祥宮けんしょうきゅうを後にしました。

韋貴妃い・きひ蕭薔しょう・ちょうに中薬を用意し、鳳麟丸と一緒に飲むように指示しました。これは、彼女が龍の子を産むのを助けるためでした。

魏王ぎおうは『括地志』の編纂を完成させ、宮殿を訪れて皇帝に報告しました。皇帝は非常に喜び、魏王ぎおう府で祝宴を開くように命じ、費用は皇宮が負担することにしました。

媚娘びじょう楊淑妃よう・しゅくひ承慶殿しょうけいでんで灯明をともすように頼みました。そうすれば、皇帝に会うことができるかもしれないと考えたからです。楊淑妃よう・しゅくひは承諾しました。

女主武氏の噂はますます広がっていきました。楊淑妃よう・しゅくひは武媚娘びじょうに、自分の身を守る方法を教えました。それは、人々の注意を女主武氏から太子失徳に移すことでした。しかし、武媚娘びじょうはそれを拒否しました。

媚娘びじょうは毎日承慶殿しょうけいでんで灯明をともし、皇帝を待ち続けました。彼女は手紙を書いて、承慶殿しょうけいでんで会ってくれるように懇願しました。しかし、皇帝は手紙を読んだ後、たとえ蘭陵王らんりょうおう入陣曲がどんなに好きでも、二度と彼女に会わないと答えました。

徐慧じょ・けいは武媚娘びじょうのために皇帝に情けをかけてくれるように頼みました。彼女は皇帝に武媚娘びじょうの一途な気持ちを冷たくあしらわないでほしいと訴えました。皇帝は、二人が姉妹であることは知っているが、誰を寵愛するかは自分の勝手だと答えました。

第23話の感想

媚娘びじょうと皇帝の心が再び離れていく様子が切なく描かれた第23話。徐慧じょ・けいの計らいで御書房に仕える機会を得たものの、すぐに蕭薔しょう・ちょうに取って代わられてしまう。皇帝は蕭薔しょう・ちょうを武媚娘びじょうと見間違えるほど酔っていたとはいえ、その事実は武媚娘びじょうにとって大きな心の傷となっただろう。天灯に託した願いも届かず、ただ一人夜空を見上げる彼女の姿は、孤独と悲しみに満ちていた。

一方、韋貴妃い・きひ蕭薔しょう・ちょうを利用して自らの地位を固めようと画策する。皇帝の寵愛を得るため、手段を選ばない彼女のしたたかさが際立つ。蕭薔しょう・ちょう自身も、皇帝の寵愛を得ることで自らの境遇を変えたいという強い思いを持っている。しかし、皇帝の真の愛情を得られないまま、利用されていることに気づいていないのだろうか。

そして、武媚娘びじょう楊淑妃よう・しゅくひに助けを求め、承慶殿しょうけいでんで皇帝を待つ。皇帝への一途な思いと、再会を願う彼女の切ない心情が胸を打つ。しかし、皇帝は武媚娘びじょうの想いを冷たく拒絶する。二人の間の溝は深まるばかりで、今後の展開がますます気になる。

つづく