負傷した武媚娘びじょうは宮殿に戻り、夜中に気分転換に外へ出ると、清寧宮せいねいきゅう外の城壁に立つ皇帝の姿を見つける。皇帝は、幼い頃からそこで集中力と不屈の精神を鍛えていたと語り、武媚娘びじょうも共に城壁に登る。

皇帝は、今は国政が最大の関心事だと明かし、武媚娘びじょうは皇帝が「女主武氏」の予言を信じていると指摘する。もし自分が唐の脅威となるなら、刺客を送るまでもなく、直接言ってくれれば良いと訴える。皇帝は殺すつもりはなかったと釈明するが、皇帝を苦しめたくない武媚娘びじょうは城壁から身を投げようとする。しかし、皇帝に阻まれる。

翌朝、おう内侍は皇帝に二つの吉報を伝える。一つは侯君集こうくんしゅうの軍が高昌に進軍し、鞠文泰きくぶんたいが驚き死んだこと。もう一つは蕭薔しょう・ちょうの懐妊だ。皇帝はすぐに乾祥宮けんしょうきゅうへ行き蕭薔しょう・ちょうを見舞う。韋貴妃い・きひ蕭薔しょう・ちょうは妊娠四ヶ月後あえて報告し、皇帝は蕭薔しょう・ちょう婕妤しょうよに封じる。

徐慧じょ・けいは酒菜を持って清寧宮せいねいきゅうを訪れ、武媚娘びじょうと語り合う。武媚娘びじょうはかつて深く愛した人がいたこと、李孝常りこうじょうの仮乱に巻き込まれなければ結婚していたかもしれないことを打ち明ける。徐慧じょ・けいにその人の名前を聞かれ、武媚娘びじょうは「李牧りぼく」だと答える。

太子は武媚娘びじょうを救出したことで、驪山への無断外出の罰を受けずに済んだばかりか、功績と認められる。これに魏王ぎおうは焦り、このままではいけないと悟る。部下は太子の不行跡に再び注目を集めるよう進言し、魏王ぎおう韋源承いげんしょうに目立たない役人に早朝、この件を奏上させるよう指示する。魏徴ぎちょうは太子に仮省文を書き、明日の朝、皇帝に提出するよう伝える。

翌日の早朝、朝議で張元済ちょうげんさいという役人が、太子の凡庸さと闇愚さを指摘し、「唐三代而亡」の予言と「女主武氏」の予言に触れ、国運を変えるには太子を廃するべきだと訴える。この発言に一同は騒然となり、皇帝は直ちに張元済ちょうげんさいを投獄するよう命じる。魏徴ぎちょう張元済ちょうげんさいが根拠もなく太子を中傷したため、即刻処刑すべきだと主張する。

第26話の感想

第26話は、武媚娘びじょうと皇帝の関係、そして宮廷内の権力争いが複雑に絡み合い、息もつかせぬ展開でした。城壁の上での二人の会話は、互いの立場と想いが交錯する緊迫したシーンでした。皇帝は国を思うあまり、武媚娘びじょうへの想いと予言の間で揺れ動いているように見えます。武媚娘びじょうの自暴自棄な行動は、皇帝への深い愛情と、自らの運命への諦念を表しているようで、胸が締め付けられました。

一方、蕭薔しょう・ちょうの懐妊は、韋貴妃い・きひ派にとって大きな前進となります。四ヶ月後というタイミングでの報告は、計算ずくの行動でしょう。これにより、武媚娘びじょうの立場はさらに危うくなることが予想されます。

そして、徐慧じょ・けいとの会話で明かされた武媚娘びじょうの過去。李牧りぼくという名の初恋の人の存在は、彼女の心に深い傷を残しているようです。この過去が、今後の物語にどう影響していくのか、非常に気になります。

つづく