皇帝は魏徴の諫言を無視し、張元済を投獄した。諫言も届かず、下級役人に訴えられ、激怒した太子は東宮に戻り、武媚娘の処刑を要求する上奏文を書こうとした。そこへ魏徴が駆けつけ、太子を製止した。魏徴は、今こそ武媚娘と手を組むべきだと太子に進言し、太子妃が武媚娘に会うことを提案した。
武媚娘は毎日、彭婆婆を見舞い、薬を飲ませたり話をしたりしていたが、彭婆婆の容態は悪化する一方だった。太子妃は彭婆婆の住まいを訪れ、武媚娘に東宮との協力を申し出た。武媚娘は、李淳風の予言の噂が広まっている今、自分たちで予言を作り出せば良いと答えた。
太子妃は東宮に戻り、魏徴と太子に武媚娘の言葉を伝えた。魏徴は、武媚娘が「女主武氏」という予言を作り出そうとしていることを見抜き、彼女の賢さを称賛した。「女主武氏」の予言を解決すれば、皇帝の望みも葉い、武媚娘と太子も噂から解放される。
武媚娘が彭婆婆と話していると、皇帝が見舞いに訪れた。痴呆状態の彭婆婆は、目の前にいるのが兄や弟を殺した李世民だと気づき、たとえあの世へ行っても二度と会いたくないと叫んだ。
彭婆婆が取り乱したのを見て、武媚娘は皇帝に帰るように促した。その後、彭婆婆は箱を取り出し、死後、箱と遺体を火葬にし、遺灰を城壁の外に撒くように頼んだ。
彭婆婆は、現世と来世で皇帝を呪い続けると言い、それを武媚娘に皇帝へ伝えるように遺言した。彭婆婆は武媚娘に、もしこの言葉を少しでも変えたら、愛する男に恵まれず、息子にも恐れられ憎まれる孤独な人生を送ると誓わせた。彭婆婆の剣幕に押され、武媚娘は誓いを立てた。
武媚娘は医者を呼びに行ったが、戻ると彭婆婆はブランコに座ったまま息絶えていた。皇帝は奏上を読んでいる最中に筆が折れ、瑞安から彭婆婆の死を知らされた。
彭婆婆の遺体は掖庭で火葬に付され、武媚娘は箱の中から彭婆婆の手作りの木馬を取り出し、箱も一緒に燃やした。
武媚娘は城壁の外に彭婆婆の遺灰を撒いていた。そこへ皇帝が現れ、武媚娘は彭婆婆の遺言は「来世ではわだかまりを解き、恵児と呼ぶ」だったと嘘をついた。皇帝は深く感動した。
第27話の感想
第27話は、権力闘争の渦中にある武媚娘と、宮廷の外で静かに最期を迎える彭婆婆の対比が印象的なエピソードでした。皇帝の冷酷さ、太子の焦燥、そして武媚娘のしたたかさ、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、物語は緊迫感を増していきます。
特に、彭婆婆の最期のシーンは胸を締め付けられるものがありました。皇帝への激しい憎しみと、武媚娘への切実な願い。その対照的な感情が、彼女の壮絶な人生を物語っているかのようでした。彭婆婆の遺言を偽り、皇帝を欺く武媚娘の姿は、彼女の生き残るための強さと冷酷さを改めて見せつけられました。
つづく