皇帝は武媚娘びじょうのおかげで人間本来の自由や喜びを求める心に気づいたと語り、彼女を強く抱きしめた。媚娘びじょうは予言のことを持ち出したが、皇帝は一度わがままを通すと告げ、予言を気にしないと誓った。

深夜、魏徴ぎちょうが参内し、真の女主武氏を見つけたと報告した。玄武門を守る李君羨りくんせんは、出身地、身分、そして幼名までも媚娘びじょうより女主武氏の条件に合緻していた。皇帝は李君羨りくんせん韋源承いげんしょうの一味だと知り、魏徴ぎちょうに処理を命じた。

翌日、皇帝は李君羨りくんせんの件を長孫無忌ちょうそんむきに話した。無忌は、媚娘びじょうの処刑を急いだのは民を鎮めるためであり、女主武氏は必ず死ななければならないため、李君羨りくんせん媚娘びじょうかどちらが死んでも同じだと答えた。

しかし、無忌は皇帝が媚娘びじょうに心を奪われすぎていること、そして媚娘びじょうに子ができれば皇子たちの地位が脅かされると懸念を示した。皇帝は媚娘びじょうを後宮で安全に暮らさせると約束したが、子を産ませるつもりはないと明言した。

皇帝は媚娘びじょうを筆硯係に任命し、徐慧じょ・けいを御書房から遠ざけた。徐慧じょ・けいは悲しみに暮れた。魏王ぎおう徐慧じょ・けいを訪ね、媚娘びじょうがいる限り彼女は無視され続けると嘲笑した。魏王ぎおう徐慧じょ・けいに同盟を持ちかけたが、徐慧じょ・けいは拒否した。魏王ぎおう徐慧じょ・けいによく考えるように言い残し、何かあれば浣衣局のばく内侍を通じて連絡を取るよう伝えた。

媚娘びじょうは皇帝に徐慧じょ・けいも一緒に筆硯係にしてほしいと頼んだ。以前はあんなに優しかったのに急に冷淡になったことで、徐慧じょ・けいが悲しんでいると考えたからだ。皇帝は媚娘びじょうを長安から追い出すために徐慧じょ・けいに優しくしていただけで、今は媚娘びじょうがいるから徐慧じょ・けいは必要ないと説明した。媚娘びじょうは諦めず徐慧じょ・けいを呼び戻すよう懇願し、皇帝は彼女の欲深さに呆れながらも、結局徐慧じょ・けいを呼び戻した。

楊淑妃よう・しゅくひ媚娘びじょう徐慧じょ・けいを食事に招いた。徐慧じょ・けい呉王ごおうが皇帝に価て大物だと褒めたが、媚娘びじょう呉王ごおうは宮廷に縛られず、愛するものを追いかける人生を送るべきだと仮論した。楊淑妃よう・しゅくひは二人の間に溝ができていることに気づいた。

夜、徐慧じょ・けいは一人で承慶殿しょうけいでんを訪れ、鏡に向かって媚娘びじょうへの嫉妬を吐露した。かつて義姉妹の契りを交わした媚娘びじょうを妬む自分の心に苦しみ、徐慧じょ・けい媚娘びじょうから贈られた腕輪を叩きつけて壊した。

第28話の感想

第28話は、権力争いの中で複雑に絡み合う人間関係と、それぞれの思惑が交錯する緊迫感あふれるエピソードでした。皇帝は媚娘びじょうへの愛を深める一方で、冷酷な政治判断を下す場面もあり、その二面性に心を揺さぶられました。特に、媚娘びじょうへの愛を語りながらも、子を持たせないという決断は、愛情と権力の狭間で苦悩する皇帝の姿を象徴的に表していると感じました。

媚娘びじょうは、皇帝の寵愛を受けながらも、徐慧じょ・けいへの友情を忘れず、彼女の立場を案じる優しさを見せています。しかし、その優しさは時に周囲の仮感を買ってしまうこともあり、宮廷内の複雑な人間関係を改めて感じさせます。徐慧じょ・けいは、皇帝の寵愛を失い、媚娘びじょうへの嫉妬に苦しむ姿が痛々しく描かれています。かつての親友に対する複雑な感情、そして魏王ぎおうからの同盟の誘いなど、彼女の今後の動向が気になるところです。

つづく