蕭淑妃しょう・しゅくひは懐妊していないという噂を打ち消すため、韋貴妃い・きひ蕭淑妃しょう・しゅくひ徐慧じょ・けいの交流を許可した。蕭淑妃しょう・しゅくひ徐慧じょ・けいの手作り菓子が食べたいという口実で乾祥宮けんしょうきゅう徐慧じょ・けいを招いた。徐慧じょ・けい付きの宮女、文娘ぶんじょうは断ろうとしたが、徐慧じょ・けいは珍しく承諾した。

乾祥宮けんしょうきゅう西殿で、下人たちを下がらせた後、蕭淑妃しょう・しゅくひ徐慧じょ・けいに助けを求めて跪いた。韋貴妃い・きひの悪事を皇帝に訴えてほしいというのだ。徐慧じょ・けいは、韋貴妃い・きひの横暴ぶりは皇帝も承知しているが、韋家の権勢が強大すぎるため、また、新参の蕭淑妃しょう・しゅくひ韋貴妃い・きひの敵ではないため、証拠もなく告発しても無駄だと説明した。韋貴妃い・きひの真の目的は、蕭淑妃しょう・しゅくひの子を奪い、蕭淑妃しょう・しゅくひを殺すこと。子が亡くなれば、韋貴妃い・きひも手出しはできないだろうと徐慧じょ・けいは言った。

徐慧じょ・けいの意図は、蕭淑妃しょう・しゅくひに自らの子を殺させ、韋貴妃い・きひに罪を著せることだと蕭淑妃しょう・しゅくひは理解した。身の安全のため、蕭淑妃しょう・しゅくひはこの提案を受け入れ、徐慧じょ・けいは必要な物を香囊に入れて届けると約束した。春盈しゅんえいが二人の会話を聞こうとしたため、蕭淑妃しょう・しゅくひ徐慧じょ・けいを叱りつけるふりをして追い払った。

徐慧じょ・けい蕭淑妃しょう・しゅくひのための贈り物を用意したが、叱りつけられたばかりで渡しづらい状況だった。そこに武媚娘びじょうが現れ、代わりに届けることを申し出た。徐慧じょ・けいは一度は断ったものの、結局贈り物と香囊を武媚娘びじょうに託した。

瑞安ずいあん文娘ぶんじょうは二人の後をつけていたが、文娘ぶんじょうが鶉の卵を見つけ、瑞安ずいあんに木に登って巣に戻すように頼んだため、二人は主人のことを忘れ、卵を戻すことに夢中になった。徐慧じょ・けいは武媚娘びじょうに、香囊の中身は妊婦のための安胎薬だと説明したが、実際には堕胎薬だった。

皇太子は邙山ぼうざん外の流韻寺りゅういんじで、遠徴を控える皇帝の無事を祈っていた。魏王ぎおうの部下は称心しょうしんの母を人質に取ろうとしていたが、称心しょうしんが死んだため計画は頓挫した。魏王ぎおうは新たな指示として、ある手紙を皇太子妃に届けさせた。差出人は伏せるようにと念を押した。

手紙には、称心しょうしんは生きており邙山ぼうざんに隠れていること、皇太子は称心しょうしんと会うために邙山ぼうざんへ行ったことが書かれていた。皇太子妃はすぐに邙山ぼうざんへ向かい、穀の放牧場で皇太子と称心しょうしんが一緒に馬の世話をしているのを目撃した。

動揺した皇太子妃は清寧宮せいねいきゅうの武媚娘びじょうを訪ねたが、武媚娘びじょうは不在だった。清寧宮せいねいきゅうにいた徐慧じょ・けいは、武媚娘びじょう蕭淑妃しょう・しゅくひの見舞いに行ったと伝え、皇太子妃の焦燥ぶりに気づいた。皇太子妃がなぜ自分のことを気にするのか尋ねると、徐慧じょ・けいは武媚娘びじょうと姉妹のように親しい仲だから、何かあれば相談にのると答えた。

第31話の感想

第31話は、静かに渦巻く陰謀とそれぞれの思惑が交錯する、息詰まる展開でした。韋貴妃い・きひの策略、蕭淑妃しょう・しゅくひの焦燥、徐慧じょ・けいの冷酷な計算、そして武媚娘びじょうの無意識の加担。それぞれのキャラクターの行動が複雑に絡み合い、物語を緊迫感あふれるものへと昇華させています。

特に印象的なのは、徐慧じょ・けいの闇躍ぶりです。表向きは冷静沈著で、武媚娘びじょうや皇太子妃にも優しく接する彼女ですが、その内面には底知れぬ冷酷さを秘めています。蕭淑妃しょう・しゅくひを利用し、自らの手を汚さずに韋貴妃い・きひを陥れようとする狡猾さは、まさに「蛇蝎美人」という言葉がぴったりです。蕭淑妃しょう・しゅくひの悲痛な叫びも、徐慧じょ・けいにとってはただの駒の一つに過ぎないのでしょう。

つづく