皇太子妃は、称心が生きており、皇太子によって邙山の穀に匿われていると白状した。これは欺君の罪にあたる。徐慧は、称心が死人であれば問題ないと助言し、魏徴に全てを話せば解決策が見つかるだろうと告げた。徐慧は御書房で筆墨に仕えているため、皇太子妃の代わりに魏徴に伝えることを申し出た。
武媚娘は、徐慧が蕭薔への贈り物として用意した品々を乾祥宮に届けた。韋貴妃は、嫉妬による陥害を避けるため、蕭薔に外部からの贈り物を禁じていたが、蕭薔は中身だけでも見たいと言い、韋貴妃は許可した。蕭薔は贈り物の中からこっそりと香囊を取り出し、残りは武媚娘に持ち帰らせた。
徐慧は武媚娘に、皇太子が称心を邙山に匿っていると告げた。武媚娘は驚き、徐慧は皇太子妃が匿名の宦官からの手紙でこの事実を知ったこと、そして既に皇太子が監視されているため、すぐに皇帝の耳にも入ると説明した。二人は皇帝がこの事実を知ることを阻止しようと画策する。
武媚娘は政務堂で皇帝を待つことにし、もし皇帝が御書房に行った場合は、徐慧が奏上の後に皇帝を御花園に行かせないようにするよう頼んだ。徐慧は承諾した。
皇太子妃は魏徴を御花園に呼び出し、重要な相談があると伝えた。徐慧は御書房で皇帝に付き添っていたが、奏上が少なかったためすぐに終わった。徐慧は皇帝に御花園での散歩を提案し、皇帝は快諾した。二人が散歩していると、皇太子妃が魏徴に皇太子が称心を匿っていることを告白している場面に遭遇してしまう。皇帝は二人の会話を聞いてしまった。
武媚娘が到著した時には、皇帝は既に怒りながら御花園を去った後だった。徐慧は、皇帝が急に御花園に来たため止められなかったと説明し、皇帝は全てを知ってしまったと告げた。皇太子は称心と語り合い、幼馴染の承訓に顔が価ているため気に入ったと明かしていた。
皇帝は邙山を訪れ、そこで薪を割っていた称心と遭遇した。称心は皇帝を見てすぐに跪き、罪を悔い、皇太子を許してくれるよう懇願した。皇太子は称心を探しに来たところ、皇帝と称心が一緒にいるのを見てしまい、皇帝は称心の首をはねた。皇太子は刀を手に皇帝に襲いかかったが、侍衛に取り押さえられ、東宮に連れ戻された。
第32話の感想
第32話は、息詰まる展開で、見ているこちらが苦しくなるようなエピソードでした。特に、称心と皇太子の固い絆、そして皇帝の怒りと悲しみが強く印象に残りました。
称心は、皇太子にとって単なる寵愛を受ける存在ではなく、亡き友を偲ばせるかけがえのない存在でした。だからこそ、皇太子は命をかけてまで彼を守ろうとしたのでしょう。称心もまた、皇太子への忠誠心は深く、最後は自分の命を犠牲にして皇太子を守ろうとしました。二人の強い絆が、この悲劇をより一層際立たせています。
つづく