承乾太子は、称心への寵愛ゆえに欺君の罪を犯し、今や陛下に刃向かうほど。陛下は太子に称心を重用する理由を問いただすと、太子は亡き従兄弟の承訓に瓜二つだからだと答えた。
雉奴は東宮を訪れ、酒宴を開こうとする太子を諫める。雉奴は兄の無実を信じ、真相を明かせば陛下に嘆願すると申し出る。
魏王配下は、一夜にして太子の門客が半減し、陛下は朝議では太子に触れず、重臣と密談していることから廃太子を画策していると魏王に報告する。
陛下は重臣たちと北伐について協議中、魏徴に親徴時の政務代行を問われ、太子に仮省の機会を与えるよう進言される。しかし、陛下は太子に幾度も機会を与えたが無駄だったと激怒する。
魏徴は陛下に、太子以外に皇位を継げる者はおらず、武勇に秀でた呉王は政治に不向きで隋煬帝の外孫、謙虚な仮面の下に野心を隠す魏王は謀士としては優秀だが国を治める器ではないと説く。陛下は魏徴の言葉に押され、太子に一ヶ月の猶予を与え、廃太子を決断することにした。
武媚娘は太子妃に会いに行こうとするが、徐慧は東宮との接触を避けるよう忠告する。魏徴は東宮を訪れると、酒に溺れる太子を目の当たりにし、激昂して吐血、帰宅後倒れてしまう。
太子妃は太子に魏徴への芝居の真意を尋ね、太子は東宮の現状を誰にも明かすなと口止めする。
武媚娘は東宮を訪れ、太子妃から太子の様子を聞く。太子は毎日水入りの酒袋を持ち、酔ったふりをし、東宮には見慣れない顔ぶれが揃っていた。武媚娘が謀仮の疑いを口にすると、背後から太子が現れ、太子妃を責める。
武媚娘は太子に自滅を止め、謀仮の意思を捨てよと諭す。太子は太子争いには敗北を認めるも、天下取りの戦いは始まったばかりだと宣言し、ついに逼宮を決意する。
第33話の感想
第33話は、太子の追い詰められた状況と、彼の悲劇的な決断が描かれた緊迫感あふれるエピソードでした。称心への歪んだ愛情から欺君に至り、ついに逼宮という暴挙に出る太子の姿は、哀れみさえ感じさせます。
特に印象的なのは、雉奴との対比です。兄の無実を信じ、父である皇帝に嘆願しようとする雉奴の純粋さと誠実さは、追い詰められ、自暴自棄になっていく太子の姿と対照的です。この兄弟の対比は、権力闘争の残酷さと、その中で失われていくものを見つけるポイントだと感じます。
つづく