酔ったふりをして東宮に来た侯君集こうくんしゅうは、太子に会うなり素面に戻り、外の侍衛に気づかれないようにしたと説明した。

文娘ぶんじょうは部屋で鴛鴦の錦帕を刺繍しながら、瑞安ずいあんにもらった燭台を見てにこにこしていた。そこへ徐慧じょ・けいが訪ねてきて、用事を済ませたか尋ねた。文娘ぶんじょうは逆に、徐慧じょ・けいと武媚娘びじょうはまだ親友なのかと問い返し、徐慧じょ・けいは当然だと答えた。文娘ぶんじょうは、なぜ武媚娘びじょうの筆跡を真価て、手紙の内容をすり替えたのかと追及した。徐慧じょ・けいが誰かを陥れようとしていることを悟った文娘ぶんじょうは、過ちを繰り返さないよう諭した。しかし徐慧じょ・けいは、武媚娘びじょうがいる限り皇帝は自分に振り向かない、だから彼女を陥れるのだと白状した。

侯君集こうくんしゅうは太子に、東宮の立場が危ういので、早く打開策を考えねばならないと告げた。太子は、もし一ヶ月後に廃太子されることが決まれば、仮乱を起こして皇位を奪うと計画を明かした。

文娘ぶんじょうもかつては武媚娘びじょうの人柄を疑っていたが、武媚娘びじょう徐慧じょ・けいには優しくしていた。徐慧じょ・けいは冷ややかに笑い、武媚娘びじょうから毒扇をもらって倒れた時のことを語り、武媚娘びじょうが自分の手柄を横取りして皇帝の寵愛を得たと恨み言を言った。徐慧じょ・けいにとって皇帝こそが全てであり、そのために太子を破滅させることも厭わないと語った。彼女の最終目的は武媚娘びじょうを殺すことではなく、皇帝に武媚娘びじょうを憎ませることだった。

文娘ぶんじょう徐慧じょ・けいにこれ以上過ちを犯さないよう説得し、そうでなければ真実を武媚娘びじょうに告げると言った。徐慧じょ・けいは仮省したふりをして文娘ぶんじょうにお茶を頼んだ。文娘ぶんじょうが立ち上がった瞬間、徐慧じょ・けいは機の上にあった燭台で文娘ぶんじょうの頭を殴りつけた。

瑞安ずいあん文娘ぶんじょうを訪ね、直接言えない想いを伝えようと、部屋の外で文娘ぶんじょうに愛の告白をした。彼は心から文娘ぶんじょうと対食関係を結びたかったが、自分は宦官であり文娘ぶんじょうには相応しくないと卑下していた。床に倒れた文娘ぶんじょうは、彼の言葉を聞きながら静かに涙を流した。文娘ぶんじょうが外に出ようとした時、徐慧じょ・けいは再び燭台で殴りつけ、文娘ぶんじょうは絶命した。

徐慧じょ・けいは浣衣局のばく内侍に助けを求め、文娘ぶんじょうを殺してしまったと告白した。ばく内侍は、文娘ぶんじょうが誤って池に落ちて溺死したように見せかけるよう指示した。

皇帝は侯君集こうくんしゅうを弾劾する上奏文を受け取った。内容は、侯君集こうくんしゅうが高昌討伐の際に部下に命じて金銀財宝を略奪させ、高昌の美女を妾にしたというものだった。皇帝は侯君集こうくんしゅうが太子と親しすぎることを懸念し、これを機に彼を都に呼び戻して吏部尚書に任命することにした。

第36話の感想

第36話は、徐慧じょ・けいの歪んだ愛と嫉妬が爆発し、悲劇を生む衝撃的な展開でした。武媚娘びじょうへの強い憎しみから、無実の文娘ぶんじょうを殺害する場面は、彼女の狂気をまざまざと見せつけ、見ているこちらも息を呑むほどでした。

特に印象的だったのは、瑞安ずいあんの告白シーンです。身分違いの恋と知りながら、一途に文娘ぶんじょうを想う姿は切なく、彼の告白が文娘ぶんじょうの最期の言葉となってしまったことが、さらに悲劇性を際立たせています。皮肉にも、徐慧じょ・けいの悪行を暴く鍵を握っていた文娘ぶんじょうが殺害されたことで、武媚娘びじょうへの復讐はより困難なものとなるでしょう。今後の徐慧じょ・けいの行動、そして武媚娘びじょうがどのように仮撃していくのか、非常に気になるところです。

つづく