夜、李牧は武媚娘に会い、愛を告白し宮廷から共に去ろうと誘う。しかし武媚娘は、李牧は昔のままで好ましいが、自分はもうかつての武如意ではなく、また陛下への想いを断ち切れないと告げる。李牧は3ヶ月待つと言い、会いたければ牡丹を一輪門前に飾るよう伝えて去る。武媚娘は李牧に宮廷を去るよう促し、共に去ることはないと伝える。
李牧が去った後、雉奴が武媚娘を訪ね、語り合う。武媚娘は、陛下が後継者問題で悩んでいることを話す。呉王は武勇に優れるも政治に関心がなく、魏王は学識は豊富だが人心が良くないと。雉奴は太子になれるのは魏王しかいないと考えるが、武媚娘は魏王の腹黒さを指摘する。
長孫皇后の血筋は太子と魏王だけではないと、武媚娘は雉奴に皇位継承争いに加わるよう勧める。雉奴は気楽な王でいたいと辞退し、宮廷の権力争いには関わりたくないと言う。武媚娘は自分のために戦う気はないのかと問いかけ、雉奴は彼女を守ることを誓う。
大理寺は武媚娘の太子への唆しはなかったと結論づけ、死罪は免れるものの、才人の称号を剝奪され、清寧宮から追放、蔵書閣で書写の刑に処せられる。
夜、皇帝は侯君集と酒を酌み交わし、共に戦った日々を懐かしむ。生活は豊かになったが心は満たされず、山海の珍味も秦州攻略の際に食べた子羊の美味しさには及ばないと言う。皇帝は手枷をはめられた侯君集に酒を注ぎ、彼の兵権を剝奪したことを詫びる。
侯君集は長年仕えた部下に裏切られたことを語り、皇帝は侯君集も太子と共に自分を裏切ったと皮肉る。侯君集はすぐさま跪き罪を認める。皇帝は彼の妻子は嶺南へ送って命は助けることを伝え、安心して逝くよう告げる。
徐慧は蕭薔に宝石箱を贈る。蕭薔は宝石の趣味が悪く、下女に分け与えるよう命じる。夜、蕭薔は宝石箱に隠された徐慧からの手紙を見つけ出す。「時機到来、計画実行可」と書かれていた。
第40話の感想
第40話は、権力争いの渦中にある人間模様と、それぞれの思惑が交錯する緊迫した展開が印象的でした。武媚娘は李牧からの愛の告白を受けながらも、既に宮廷での生活、そして皇帝への複雑な想いに囚われており、かつての純粋な心を取り戻すことはできないと悟っている様子が切ないです。李牧のひたむきな愛情も、宮廷の冷酷な現実の前には無力に感じられました。
一方、雉奴は武媚娘への想いを胸に秘めながらも、皇位継承争いへの関与を避けようとする消極的な姿勢を見せています。しかし、武媚娘からの懇願によって、彼女を守るために戦う決意を固めるシーンは、今後の彼の変化を予感させます。武媚娘は、自身の窮地を脱するために雉奴を利用しようとしているようにも見えますが、同時に彼への真摯な愛情も感じられ、その真意は計り知れません。
つづく